歌舞伎「天竺徳兵衛韓噺」国立劇場(東京・隼町)
今月の国立劇場では「天竺徳兵衛韓噺」なる通し狂言がやっています。
国立のこの種の歌舞伎はかなり面白いケースがあるのと、
また珍しく三等席に空席があったため、先日行って来ました。
先に行ったブログ友達が感想を書いてくれていて、
「中村芝翫が登場するまで辛抱」と言っていたので、
もしかしてこれは微妙なのでは?と思っておりましたところ。
ブログ友達の指摘では「中村芝翫が登場したら凄く面白いけど、それ以外は・・・・・」
と言うニュアンスにも受け取れたのであります。
このご指摘・・・全くをもって正しかったと思います。
中村芝翫(成駒屋)は今や凄い演技をする人だと思っています。
そもそも、私が今から25年以上昔、初めて歌舞伎を鑑賞して、
凄く面白いと大感動して、以来歌舞伎にハマッたのは、
中村芝翫(当時橋之助)の「戻橋」と言う舞台を観たからでした。
当時はまだ若手でしたが、実に勢いのある演技で、
鬼退治をして、京都のどこぞの寺の屋根まで飛ばされてもビクともせず、
斬り落とした鬼の片腕と刀を構えて大見得を切った最後のシーンを目の当たりにして、
「こ、こ、これが歌舞伎かーーーーーーーーーーっ!!」とブッ飛んだのであります。
今や中村芝翫はベテランでやたらと存在感のある演技をして来ると思います。
今回もまさしくそうでした。
が。
が。
が。
全体的な印象としましては。
私はこの種の「妖怪七変化成敗物」が大好きなのです。
ケレンの妙味とか派手な舞台装置とか。
斬り殺すとか、妖術を使ってブッ殺すとか。(笑)
今回も大蝦蟇の化け物が登場して屋体崩しと呼ばれる見所もあるのですが・・・・・
最初の幕では本当に芝翫が登場するまでは、
イヤホンガイドを聴いているにも関わらず、何を言ってんだが良く分からず、
とうとう私は深い眠りに・・・・・(苦笑)
そうして次の幕ではいよいよ中村芝翫が登場して、
一気に面白くなって来たのですが・・・・・
何かこう・・・いなくなると萎んでしまい・・・
所々うつらうつらしてしまい・・・・・
大蝦蟇の登場シーンでハッと我に返ったと言いますか。(苦笑)
大立ち回りも、これ、どうなんでしょう。
あくまでも私的な感想ですが、
「戦力の逐次投入」と言う最もやってはいけない事をやってしまったと感じています。
最初に1対2で戦い、次に1対4で戦い、最後に1対8で戦う、と。
しかも特に変わった演技もなく、
オーソドックスな立ち回り・・・・・
従って恐ろしく地味な立ち回りになってしまったと感じています。
正直な感想を言うと。
これはいかんな、と。
アウトかも。
お客さんは正直で休日にも関わらず空席が目立っていました。
好きな方には申し訳ございませんが、
私的にはパッとしない舞台でした。(苦笑)
終わり