北ドイツの香りと若さと希望と | 東京・横浜物語

東京・横浜物語

西麻布に生まれ育ち、現在は横浜に居住する筆者が、
色々語って行くブログです。

#ダイエット#筋トレ#ランニング#登山#富士登山#クラシック音楽#美術館#能#マラソン#ジム#横浜#東京#バッハ#アート#フィットネス#山登り#トレッキング#クライミング#ボルダリング

「北ドイツの香りと若さと希望と」

トッカータとフーガ ホ長調 BWV 566

バッハにしては珍しい構成の曲。

第1トッカータ、第1フーガ、第2トッカータ、第2フーガで構成されている。

これは北ドイツ的な並列構成とされ、
若きバッハが北ドイツを旅した時にヴィンツェント・リューベックの演奏を聴き、その影響が強く見られるという。

個人的には、リンクを貼った動画だと7分41秒から開始される第2フーガをとても好んでいる。

提示される主題は若さ故の威厳を志向し、それは虚勢とも感じるが、
その虚勢すらも複雑な対位法音楽の構築と共に1つの巨大な激しくもスピーディーな塊へと化して行く。

複雑から単純へ。

聴者としてはこれがフーガなのを忘れてしまう。

だが、バッハはその渦中にペダルの重低音で再度主題を提示し、これが明らかに対位法音楽であるのを思い知らせる。

そうして曲はある種の上昇感を伴いながら進行し、
クライマックスの直前でペダルソロを導入し、重低音をこれ見よがしに響き渡らせ、終結へと向かう。

あくまでも私的な感覚で、笑われてしまうかも知れないが。

この曲は長調であるが故に、絶対に有り得ないのは百も承知の上で。

ピカルディの三度を何故か感じる。

上昇し、抜けて行くような感覚。

ピカルディ終止は聴者に上昇感、希望といった明るい未来を予感させる効果があると思う。

長調ではあるが、威厳と虚勢を感じさせる曲調故にそう感じさせるのかな?と思う。

まだまだ若く傲慢なバッハが魅せてくれる素敵なフーガかと。

https://youtu.be/HUWZ06JqK0I