転勤について | 東京・横浜物語

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西麻布に生まれ育ち、現在は横浜に居住する筆者が、
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今朝、NHKの番組で転勤族の奥さん達について放送していた。

全部は見る事が出来なかったが、概して「キツい」「限界」と言った声が上がっていた。

先ず、この転勤の制度を考えた場合、何度か記事にしているが、
今回は別の視点から考えてみたい。

比較文化のもう少し突っ込んだ考え方だ。

ソニーにおけるイギリスの転勤について、盛田元社長が優秀なイギリス人に栄転を打診したら「バラ園を残して行くことは出来ない」と言う理由で断られた話を以前書いた。

実のところ、海外旅行で欧米を訪れた時と、
ちょっと腰を据えていた場合とでは決定的に日本とは違う感覚がある。

それは「強烈な自己主張」だ。

ブロンドの可愛らしい若い女性が堂々と激しく、時に怒鳴り声を上げて自己主張して来る。

これは優しい日本人からすると脅威的な世界に見える。

欧米の文化には「ディベート」に代表される論戦の文化が定着している。

自分の考えを人前で堂々と主張出来ない限り大人とは看做されない文化と言っても良い。

良かれ悪しかれ、転勤と言う制度について考えた場合、
このような文化的背景は実に上手く働く。

上記のソニーの例にある通り、それが栄転でも自分にとって都合が悪ければ、
「堂々と断わる文化」が定着している。

もちろん、最近の多くのアメリカ映画にもチラリと描かれているようになっているが、
彼らにとっても栄転やビジネスチャンスのために転勤を選ぶかどうか迷う場面が出て来る。

ここで日本と決定的に違うのは、
彼らは「夫婦間で熱心に議論している」点にある。

決して、上司の顔色を窺ってはいない。

あくまでも映画の話なので、実際にはそれぞれの職場により違いはあるだろう。

しかしながら、転勤とはあくまでも家族の問題であって、
断わる選択肢があると言う点において日本とはまるで違う。

日本の場合、欧米と違って「自己主張の文化が皆無」なので、
事態は非常に深刻である。

NHKの番組でもあったが「限界です」と叫ぶ投稿もあったのである。

実際、転勤により家庭が崩壊してしまった例は少なくない。

あるいは、自分の家庭が転勤族だった場合、
心理的に大きなダメージを受けてしまい、
結婚する時あるいは親になった時に異常な選択をしてしまった例も身近にあり、
この問題は想像以上に危険で極めて深刻だと思わないといけない。

日本と言う国は、主張出来ないようにされてしまう危険性が非常に高い。

多くの組織にその傾向が見られる。

これは学校時代、スポーツ部で顕著に見られる先輩・後輩の関係から徐々に構築されて行く。

こう言っては何だが、主張の出来ない組織や職場は悲惨だ。

最終的に簡単に犯罪まで行き着いてしまう。

某スポーツ協会などでも重大な殺人事件まで起きてしまい、
未だにうやむやになっている例もあるほどだ。

職場の場合、おかしな上司が1人でもいたら、
その環境は一気に狂気に憑かれた悲惨なモノとなる。

現実に精神的に病んでしまうまで追い込まれてしまう例は私の周囲にも非常に多い現実がある。

これはひとえに文化的背景に問題がある。

・自己主張が出来ない

・自己主張が嫌われる

↑これこそが諸悪の根源なのである。

他ならぬ自分の人生において、どこで暮らし、どのように生きて行くのかと言う選択肢が、
「会社の一存」と言う非常に曖昧な命令により、
否定されてしまう現実がある。

何事においても仕事を優先させると言う文化は異常だ。

これは国民を不幸にしている諸悪の根源と言っても良い。

長時間労働、休日返上、過労死、転勤、単身赴任。

職場の環境改善は現時点では非常に難しいだろう。

何故なら、これは悪しき文化に由来しているからだ。

自己主張が出来ない文化の中で暮している限り、
絶対に不可能だ。

私達は義務教育機関において「人間は平等だ」と学ぶ。

しかしスポーツ部に入った途端「先輩は絶対」「監督は絶対」となる。

完全に偽善と欺瞞の世界に成り下がっている現実を直視すべきだ。

文句を言う事は許されない組織に叩き込まれ、
一旦入部したら簡単に抜ける事は許されず、
徹底的に洗脳される。

こうして悪しき循環が完成する。

この体質は企業において最も威力を発揮して来る。

NHKはようやくこの問題を取り上げて来ているが、
まだまだ全然弱い。

文化的側面から切り込んで行き、
私達の社会に巣食っているおぞましい体質を一掃しない限り、
問題解決には程遠い。

終わり