
昔住んでいた東京のど真中、西麻布においてもこの季節、霜柱は至る所にあった。
今はもう、現在住んでいる横浜においても霜柱を見かける事は稀になってしまった。
コンクリートとアスファルトに包まれた街。
高度に発達した交通網。
眠らない街。
享楽に溺れる日々。
「街」と言う名の衛生的な環境は「自然」を徹底的に排除して行き、
「快適な空間」を生み出す。
今や野良猫すら住むのは許されない。
そこでは効率的な人生が展開している。
「自然」が人間に優しいなんて大嘘だ。
キャンプする者は皆知っている。
如何に「自然」が人間に厳しいかを。
寝袋とテントだけで過ごす真冬のキャンプ。
朝、生きていた事に感謝し、外を歩く。
霜柱の道をサクサクと。
これはちっぽけな快楽だ。
けれども。
季節を身近に感じ、土と共に生きるのは。
悪くはないと思う。
終わり