PGTの行き詰まり・・・
日本よりも早い段階から海外ではPGTの導入が進んでいます。技術的な検討はもちろんですが、倫理的な検討も進んでいます。産み分けであったり、胚移植後の妊娠率が高まることを表現されているPGTですが、この技術はかねてから言われているように、万能な技術ではないですし、魔法でもなんでもありません。そして、今回以下のような論文が紹介されています。We have reached a dead end for preimplantation genetic testing for aneuploidy.(PGT-Aの行き詰まりに達している)Norbert Gleicher et al.,Hum Reprod. 2022 Mar 31;deac052.もともと言われているところですが、・モザイク率が高いので、胚の選別過程で良好胚を捨ててしまう可能性・胚生検をする過程で胚にダメージがいってしまい、不良となるケースが注目されており、それらを差し引きすると、PGTを行うメリットは実はあまり多くないのではないかということです。国内でも、いくつか報告されていますが(論文にはさすがにならない)、施設感の格差はとんでもなく大きいことが示唆されています。胚移植あたり妊娠率がいくら高いと表現をしても、採卵をして、胚盤胞に到達する可能性が低いのだとすれば、その分患者さんはたくさんの治療をしなければならなくなりますし、たくさんのPGTを実施することになります。日本では医療経済の観点から語られることは少ないですが、PGTは概ね1胚あたり10万円前後の費用がかかります。確率を考えれば4-5胚を一度に出すでしょうから、50万円前後です。保険診療の対象であれば、採卵から新鮮胚移植までを3回はできる可能性があります。PGTは大切な技術ではありますが、誰にでも等しくメリットのあるものではなく、限定的なものだということが明らかになってきているのかもしれませんね。