子宮頸管内授精vs.子宮内授精(人工授精)
人工授精というのは、一般的に子宮内授精とよばれます。運動良好精子のみを選別して、子宮の奥の方まで注入する方法です。そうすることで、子宮頸部から体部までの距離を短縮できますし、子宮頸管性の不妊症である場合には、そこを回避できるというメリットがあります。実は以前から、この子宮内授精と子宮頸管内授精のどちらが優れているかという研究が行われています。(日本産科婦人科学会の見解では、子宮内授精に軍配が上がっています) Intracervical insemination versus intrauterine insemination with cryopreserved donor sperm in the natural cycle: a randomized controlled trial(自然周期で凍結保存されたドナー精子を用いた子宮内授精と子宮内授精の比較:ランダム化比較試験)PAL COP et al.,Human Reproduction, deac071,平たく言うと、患者さんを集め、半分は子宮内授精(IUI)に、半分は子宮頸管内授精(ICI)に振り分けて、その妊娠率等を比較したというものです。凍結精子を用いているのは、ドナーとして使用される精液は精液所見が優良であるためです。男性の変動要因をできるだけ、なくした状態で、純粋にICIとIUIを比較したいということではないかと思います。期間としては、2014年6月から2019年2月の間に、対象には421人の女性が含まれ、そのうち211人の女性がランダムにICIに割り当てられ、210人がIUIに割り当てられました。6回までICIなりIUIを行い、その治療成績を追跡調査しています。女性の平均年齢は、両方の介入で34歳(SD±4)でした。出産した症例は、ICIに割り当てられた51人の女性(24%)とIUIに割り当てられた81人の女性(39%)で発生しました(RR 0.63、95%CI:0.47〜0.84)。IUIのほうが優れていることを示している。と著者は強調しています。結果として、ICIは凍結保存されたドナー精子を用いた自然周期のIUIよりも出生率の点で劣っていたため、IUIがより好ましく、より標準的な治療法であると考えられます。治療を考える際には、適応、患者さんへの侵襲、リスク、治療成績などから医療者も提案しています。現時点では、人工授精は子宮内授精(IUIやAIHと言われます)が標準と考えて良いのではないでしょうか。