審判員となった保護者は審判員という共通の話題を持った保護者同士で群れをなし、審判員という肩書のお土産を片手にチームの運営者たちとも親交を深めていきます。
皆さんがお会いするコーチのなかには、このような審判員あがりのコーチの方々がいることを忘れてはいけません。
このようなコーチの方々も自身の時間の多くを子供たちのサッカーのために費やしていらっしゃることは間違いありません。
そして、子供たちのことを思う気持ちも強く持っていらっしゃることでしょう。
ただ、時間を費やし気持ちがあればサッカーのコーチになれるのか・・・
そもそも〝コーチ〟とは本来選手たちを進むべき目標に向かって導くという存在である。
選手が進むべき方向やその方法(技術)をよく理解しているものが、本当の〝コーチ〟と呼ばれるべき存在である。
小学生年代の〝コーチ〟には本当の〝コーチ〟が少ないのも現状です。
一般的な人々にとって普通の生活のなかで〝コーチ〟と呼ばれることは早々ないはずです。
そして〝コーチ〟と呼ばれ、敬われる立場になることは非常に居心地が良いのです。
実際保護者の立場からすると〝コーチ〟という言葉がつくだけで、何か少し偉大な存在に感じ、大切な存在と位置づけてしまうものです。
実は私も〝コーチ〟と呼ばれた時期がありました。
私自身はちゃんとしたサッカー選手としての経験はなく、にわか審判員でもありません。ただ、子供が入団した時期が発端で他の保護者より早く練習の手伝いをしていただけです。
それだけで子供たちからは〝コーチ〟と呼ばれ、保護者からは「ご指導をお願いします」と頭を下げられていました(その後、〝コーチ〟と呼ばないようにお願いしましたが・・・)。
もうひとつ別な形で〝コーチ〟になる(なってしまった)〝コーチ〟もいます。
それは少年だチームを卒団した子供の保護者〝コーチ〟です。
自分の子供がチームから離れていったあともチームに〝コーチ〟として残っている保護者です。
サッカーの技術や指導方法など、しっかりとした教育を受けていない素人の保護者が自分の子供と一緒にチームでの活動をするうちに楽しくなり〝コーチ〟として大きな顔をして残っている元保護者です。
彼ら彼女らにとって、サッカー少年団で過ごした時間はあまりにも大きく、休日の生活の主軸になってしまうです。
そのため、ほかの過ごし方もなくそのままサッカー少年団で過ごすことが最適になってしまう方々もいらっしゃるようです。
自分の子供がいるときからチーム活動に携わっているわけだから、当然入団したばかりの子供の保護者よりチームの雰囲気、活動内容、決まり事などは良く把握しています。
だけど本当サッカー、技術、そのほかの知識に関しては素人と同じ〝コーチ〟が多いのもの現状です。
そして、最もやっかいでホントの姿が見えにくい〝コーチ〟は、サッカー経験者の〝コーチ〟です。
学生時代に部活などでサッカー部などに所属していたという経歴から、サッカーの指導には持論を持ってます。
でも、サッカー部所属の経歴があるとは言え多くの方々は単にサッカー部所属という経歴があるだけです。
なかには、ちゃんとした指導も受けず、しっかりとした技術を身につけていない経験者〝コーチ〟も多くいます。
この種の〝コーチ〟がやっかいなのは、サッカー経験があるというだけでいろいろと語りたがります(その経験の中身は関係なく・・・)。
また、自分自身の〝サッカー経験がすべて〟という価値観だけで指導する方が多い、いやそこから抜け出せないのも事実です。
そしてこうした自らの〝サッカー経験〟がすべてと考える〝コーチ〟は柔軟性が少なく、指導者としての発展が難しいのです。
サッカーだけではありませんがスポーツは発展していきます。
技術、フィジカル、メンタル、そしてトレーニング方法、ルールなどは時代とともに変化していきます。
つまり経験者〝コーチ〟自身が指導を受けたことはすでに過去のものであり、現代のサッカーとは異なっているものも多いのです。
一例をあげると、よく話題になる『水分補給』。
現在〝コーチ〟を行っている方々の多くはトレーニング時の〝水分補給〟を禁じられて育成されてきた世代です。
水分補給するプレーヤーは〝ダメ〟とされていた時代です。
それが現在では適切な〝水分補給〟は必須であり、適切な〝水分補給〟ができないプレーヤーは〝ダメ〟とされます。
まさに正反対です。
そして、もうひとつの変化はその指導者の態度です。
指導者がプレーヤーを奮起させるという名目で罵声をあびせることが〝正しい〟とされた時代がありました。
そんな指導を受けて育った世代がいま〝コーチ〟として指導についています。
数年前にはYouTubeで片手にペットボトルを持ち、選手の頭を叩いているコーチの姿が掲載され、さまざまなサッカーサイトで話題になりました。その後すぐに映像は削除されましたが、、、
こんなコーチは特殊ですが、自身の経験と変わらず小学生の子供たちに罵声をあびせ続ける指導者が多いのには驚きます。
時代の変化を学ぶことなく自らの経験だけで指導にあたる〝コーチ〟が多いのも事実です。
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