さて、前回で無事国道134号を完歩しましたが
これまで歩いてきた地域は主に神奈川県の海岸線沿いでした。
スタート近くの横須賀市内は東京湾沿いの所もありましたが
コースの大半は相模湾沿いでした。
この相模湾に面した地域は広い意味で
「湘南」
と呼ばれていますね。
海岸沿いを歩いた時も「湘南海岸」という名前がついていたこともありました。
また、ゴール地点大磯近くの鴫立庵には
「湘南発祥の地」
の碑もありました。
しかしながら
実は「湘南」という名前の地名はないんです。
冒頭に言ったように相模湾沿いの海岸付近の地域を漠然と呼ぶ名前なんですね。
以前でも触れましたが
地元民の方々にとどまらず、他地域の神奈川県民(わたくしはここに入ります)や他県民の中でも
「湘南」ってどこからどこまでのことなのか
という
「湘南どこからどこまで論争」
が話題になることがあります。
いわゆる「湘南」に住んでいる訳でもない部外者で
地元の方には少々失礼かもしれませんが
その「湘南どこからどこまで論争」についてお話したいと思います。
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まずは神奈川県の行政区分を見てみましょう。
それによると
湘南地域は
藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町・平塚市・大磯町・二宮町・伊勢原市・秦野市
の8自治体の事を指すそうです。
基本的にはこれでいいのかな、とは思いますが、伊勢原市や秦野市といった内陸部の自治体が入っているのは「湘南」としてはちょっと意外かな、と思います。
※画像お借りしました。
また、行政区分とは異なりますが
自動車の「湘南ナンバー」はこの地図のピンクのストライプの地域です。
箱根の方まで湘南ナンバーなんですね。
こちらのリンク先は
「湘南ってどこからどこまで」かをアンケート調査したものです。
詳しく見てみましょう。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20211210/11/masa-rinrin/9c/a6/p/o1080108015044215887.png?caw=800)
しかしながら住民からの機運もまだ低く、平塚市長選で反対派の候補者が当選。他の自治体でもトーンダウンし、結局は白紙撤回となりました。
もしかしたら「我こそが湘南の中心」とそれぞれの自治体が張り合う形になったのもまとまらなかった原因の1つかもしれないです。
さらに、「湘南はどこからどこまでなのか」という論争は
ブラタモリでも取り上げられました。
湘南と言えばどの辺り?調査#ブラタモリ pic.twitter.com/1BNZipEzfS
— 江ノ島さんぽちゃん (@enoshimasanpo) October 13, 2018
番組内のアンケート結果はこちら。
「ブラタモリ」の中でタモリさんは「湘南発祥の地」大磯や茅ヶ崎を訪れたのですが
地質学に造詣の深いタモリさんらしく
フィリピン海プレートと大陸プレートがぶつかるのが大磯付近という事に注目します。つまりこの辺りは「プレートのヘリ」ということだそうです。
プレート同士がぶつかって隆起した「ヘリ」によって盛り上がったのが江の島であり烏帽子岩で
波によって盛り上がった部分が浸食されて出来上がったのが湘南の砂浜なのでした。
それを端的にサザンオールスターズの名曲「いとしのエリー」になぞらえて「いとしのヘリ」と呼びました。
そしてその「ヘリ」の部分が「湘南」だという事で逗子・葉山までをブラタモリでは定義しました。
葉山町〜大磯町
ということになりました。
またかなり大胆な説としましては
こちら、Feel SHONAN
という神奈川の「海」の魅力を発信するプロジェクト。
相模湾沿岸部の自治体も協賛し、総合プロデューサーは神奈川県内在住の木村太郎氏が務めます。後輩アナウンサーの黒岩知事も推進しています。
そのFeel SHONANが定義する「湘南」とは
こちら
相模湾沿岸部の全自治体を
SHONAN
と呼ぶというものです。
「SHONAN」とローマ字表記なのがポイントなのでしょうね。
イメージとしましては
藤沢市〜大磯町が「湘南」かなあ、と思っています。
あくまでも個人のイメージです。
今まで見てきた中にあるように鎌倉市は入ってないの?
と思われるかもしれませんが、あくまでもわたくしの中では
「鎌倉」は別格と言いますか、単独で「鎌倉」というジャンルといいますか。「古都鎌倉」というイメージが強くて「湘南」とはまた別かな、と思うんです。
逗子市や葉山町も高級な別荘地というイメージありますから、ちょっと違うかな、と。それを言うと大磯町もそうなんですけどね。
逗子市と葉山町はそもそも三浦半島にありますし
「湘南」の「湘」の文字は相模湾の「相」にさんずい(水ですから海の事でもあります)、その「南」側で「湘南」とも言えますから西向きに海岸のある両自治体は入らないかな、と。
二宮町はどうなの?というとこちらは小田原市などと一緒に「西湘」かな、と。あくまでも自分の勝手なイメージです。
「イメージ」という言葉が相次いで出てきましたが
まさにこちらで文化地理学を専門とする増淵敏之教授がいうように
「湘南」とは「イメージ」である
という言葉はなかなか説得力があります。
「湘南」という場所は特定されていませんが
元々鎌倉の文人たちが持っていた「歴史のあるハイソサエティな土地」というブランドから
石原慎太郎「太陽の季節」や茅ヶ崎出身のサザンオールスターズの楽曲などのコンテンツが加わり
「きらびやかな湘南」というイメージが出来上がりました。
さらに「湘南爆走族」や「スラムダンク」といったマンガから「ヤンキー」要素も加わったと。
そしてそうしたコンテンツから出来上がった「湘南」からさらに新たな創作が生み出されて重なってまた新たなイメージが作られていく、と教授は話しています。
そして「湘南はどこからどこまでか」を議論するのは意味がない。それぞれが勝手に解釈すれば良い、と。
・・・と言われると今まで散々論じてきたのが何だったんだ?という事にはなりますが(笑)。
長々と話してきましたが
結論としてはそれぞれが自由に「そこが湘南」だと思ったら「湘南」で良い。
という事になりますね。
まあ、身も蓋もない結論になっちゃいまいしたが(笑)。
そもそもが大磯の「湘南発祥の地」は「ここって(中国の)湘南っぽくてきれいな場所だねえ」というイメージから入っていますからね。
そういう意味では「どこが湘南か」を考えたり論じるよりも
「湘南」らしさを感じて楽しめばいいんじゃない?
ってことなんじゃないかと思います。
ブルース・リーの名言「考えるな。感じろ」ってことで
まさに「Feel 湘南」なんでしょうね。
と、言う事で「国道134号歩き旅」これにてお開き。
「湘南」を感じながらの楽しい歩き旅でした。