「東海道中ひざびっくり」、東海道五十三次の49番目の土山宿を歩いています。
 
 
 
 
新年早々(2019年1月4日)だったため、土山宿関連の施設が軒並みお休みでしたが、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
東海道伝馬館(てんまかん)、ここは開いてそうです。早速中に入ってみましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
前回も触れましたがここ土山で森鴎外の祖父森白仙が亡くなっていることから鴎外も墓参りにこの土山を訪れています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それではお邪魔します。
 
 
 
 
 
 
 
問屋場がありました。
 
 
問屋場とは宿場町での人馬の引継ぎを行うところ。伝馬所ともいわれています。それで伝馬館なんですね。
 
 
 
 
 
 
 
 
問屋場を見ていると先客の70代後半ころと思われるご夫妻が見学していました。この人夫が持っている秤?のようなものを写真に撮っていると奥さんが近づいてきて
 
 
「わあ、なつかしいわあ。兄ちゃんこれ見たことある?」と気さくに話しかけてきました。
 
 
「いや、僕は始めてみました」なんて、やりとりをしていると、
 
 
 
 
 
 
 
ガラガラと母屋の扉が開いて、「お待たせしました」と案内係の女性スタッフさんが出てきました。この日が新年初めての開館日でわたくしたちは新年の見学客1番乗りだそうです。奥さんが
 
 
「兄ちゃんよかったなあ。なんでも1番はええことや」
 
 
言葉はコテコテの関西弁ですが、ご夫婦ともに背筋がピシッとした上品な感じの印象です。
 
 
大阪の方(どの辺か聞きそびれた)から来られて、前日は愛知蒲郡の竹橋を見たとのこと。たまたまこの付近を通りかかって宿場町ということならちょっと見てみようと寄ったのだそうです。
 
 
スタッフさんからまずは別棟の蔵を案内されました。
 
 
 
 
 
 
 
 
ここには参勤交代をしている様子の京人形が展示してありました。本職の京人形職人さんが作ったもので100体もの人形があるそうです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
100体それぞれ顔の表情が違うようです。
 
 
 
 
 
 
 
これは藩主の乗っている駕籠ですが、かついでいる人は何だか楽しそうですね。
 
 
 
 
 
 
 
ここでしばしご夫妻・スタッフさんと旅談義に花を咲かせます。
 
 
 
旦那さんが「この土山宿って宿場町の面影が思ってた以上に残っているけど、観光地化してなくて自然な感じでええですなあ。車も普通に通っているし」と。
 
 
ご夫妻は日本各地の宿場町も旅されていて、人気が出て小綺麗な店舗ができて観光地化された宿場町を見て残念に思ったことがあったそうです。
 
 
スタッフさんが土山宿は鉄道網から取り残されてしまったので
 
 
「ここを通るしかあらへんですから」
 
 
と旧東海道がそのまま生活道路として残ったこと、たまにマスコミが取材に来るがこちらの事情も考えず振り回されて大変だったことなどを話した後
 
 
「メディアで取り上げられて人気が出ても一時のもので長続きしない。やっぱり地元のために地道にやっていくのが1番ですわ」と。
 
 
全くもって同感でした。土山宿は関宿ほどではなくとも宿場町の風情が残っていますが、何となく自然な形で肩肘張らずにありのままの姿が残っているように感じて好感が持てます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
その流れでわたくしも東海道を歩いて旅していて今日明日で京都目指して頑張って歩いてる最中だというと奥さんが
 
 
「兄ちゃん若いのにえらいなあ。若い人って宿場町に興味ある人が少ないからなあ。若いうちに色んな所行って歩いて経験するのがええよ。私らは今はもうそんなには歩けへんけどな」と。
 
 
奥さんは(もちろん旦那さんも)日本各地を旅して山も良く登ったとのこと。一番思い出に残っているのは喜寿のお祝いで富士山登ったことだそう。
 
 
えっ?喜寿で富士山?喜寿って77歳のことだよね。
 
 
と、わたくしもスタッフさんも目を丸くして驚きました。
 
 
お歳を聞くと何と今88歳だそう。顔ツヤもよく、全然腰もまがってなく背筋がピンとしていて歩く足取りもしっかりしています。そして何よりも楽しそう。
 
 
だいぶ体力落ちてきたけど今でも階段100段くらいは普通に歩けるとのこと。本当に元気なおばあちゃんだニコニコ
 
 
 
 
 
 
 
 
母屋の広間へ。
 
 
土山宿に関する展示のほか、ここで地元の方々の絵の展示やコンサートなどを開催しているそうです。地域に開かれた感じでいいですね。元々ここに住んでいた家族はこの建物を寄贈して近くに住んでいるとか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
階段を昇ると大きな梁のある部屋が。
 
 
ここには地元出身の方が趣味で始めた、歌川広重の浮世絵を立体的に表現した
 
 
「盆景」があります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こんな風に東海道五十三次の浮世絵と盆景が一緒に並べられています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
これは宮宿(熱田)ですね。
 
 
すごく細かく出来ててとても趣味で作ったとは思えない出来です。浮世絵の世界がリアルに飛び出してきた感じです
 
 
 
 
 
 
 
奥さんが「兄ちゃんはどこから来たの?」と聞いてきたので
 
 
「ここにある保土ヶ谷に近いところですよ」「保土ヶ谷ってどの辺やったかな?」
 
 
すかさず旦那さんが「横浜の方やね」と。旦那さんはその年代の中では背の高いスラッとした博学そうな感じの方です。あちこち写真を撮っていました。
 
 
 
 
 
 
 
 
土山宿の雨が降っている様子はこうして細い枝で表現しています。芸が細かいですねニコニコ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
別の部屋では切り絵や、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
東海道五十三次の各宿場の名物のミニチュアもありました。岡崎の八丁味噌蔵や蔵の町有松のことなども話しました。
 
 
一通り展示を見終わりました。展示は無料ではもったいないくらいの素晴らしい充実度でした。案内係の方もとても親切で丁寧です。改めて奥さんに
 
 
「うちの母よりも一回り(干支が)上なのに、母と同じかそれよりも若く見えますよ」と本当に元気いっぱいなのでお世辞抜きに言うと、
 
 
「あら〜、若いって言われて嬉しいわあ。あ、ちょっと待ってこれあげる」とバッグをごそごそとして
 
 
 
 
 
 
 
 
のど飴を(裸のままですが)6粒もらいました。
 
 
わ~い、大阪のおばちゃんから飴ちゃんもらいました爆笑
 
 
ほんとに飴ちゃんって持ってるもんなんだね。
 
 
 
 
ここでお二人とはお別れ。お互いに「お気をつけて」と手を振ります。
 
 
 
名前も聞かずじまいで(写真をちらっとだけでも撮っておけば良かったかなと後から思いましたが)、おそらくまたお会いすることはないかと思いますが、色々なお話ができ一期一会の素晴らしい出会いとなりましたニコニコ
 
 
 
 
 
⑪に続く。
 
 
 
 
 
※ご夫婦や案内係さんのお話は要約したものです。変てこな関西弁でしたらすみません(^_^;)。