そこで私もさまざまな手段を使って実状を調べてみたが、調べていくと表には出ていない情報や実際の書類に記載されている内容など本来は表面化していなくてはいけない内容が表面化出来ないまま闇に葬られていたのだ。

 

 特に多かったのは“同業他社への転職禁止”や“取引先などの関係企業への転職禁止”など現所属企業と関係のある企業への転職などを禁止することで自社の利益を優先していると取れるような内容や“本社所在地周辺の企業への就職禁止”・“勤務先周辺の企業への転職禁止”など本人が就業するエリアを限定しているケースもあることから、このような行為に関してはきちんとモニタリングすることやこれらの行為が慢性化しないように労働基準監督署や厚生労働省が適正管理を進めるためのシステムを整備する事も大事だと思うのだ。

 

 現在はこのような行為に対する監査や検査が行われていないため、企業においてこれらの行為が慢性化し、違法行為であるという認識が薄れているという可能性もあるのだ。

 

 そのうえ、現在は転職理由の多くが表向きは“ステップアップ”や“違う仕事をしてみたい”というコメントが多いが、実際にはこのような状況である人もいるが、ハラスメント等を受けたことで精神的に追い詰められてしまい、転職を余儀なくされるケースや自分のアイディアや意見を周囲に理解してもらえないなど組織内における孤立や孤独状態の長期化による転職も増加傾向にある。

 

 私は多様性を尊重する社会を作っていく上で就労や消費など“生きていく上で必要な最低限度の生活”はきちんと保障されなくてはいけないし、これらの生活において差別や偏見などが起きる事も避けなくてはいけないと思うのだが、現在の社会においてはこれらの多様性があまり良い方向に動いていないように感じるのだ。

 

 なぜなら、日本社会において多様性が進んでいる事に対して肯定的な見方をしている人と否定的な見方をしている人が存在しており、これらのバランスが十分ではないことから新たな社会評価を受けるとなった場合に個人の価値観を反映させるためには相手の価値観を理解し、正しく分析する、活用する事が求められるのだが、これらのプロセスが十分に機能していないことも多く、自分の価値観を信じて過ごしている人にとっては新しい価値観を学ぶことが出来るのか、学ぶことは成長につながるのだが、相手が自分自身を理解してくれるのか、自分の意思が尊重されるのかなど多様性ならではの不安や問題が生じるというケースも年々増加しており、この部分に関してもきちんと道筋を立てながら、時間をかけて何らかの形で物事が動いていくことが求められるのだ。

 

そのうえ、本人も社会も置かれているもしくは与えられている選択肢で状況が変化するという事になるため、これらの選択肢を増やしていくことも相互理解や社会における多様性のあり方の拡充につながっていく。