多様性社会において共存は可能なのか 第1章:法律は当事者を守れるのか ⑯
現在はあらゆる学歴にマイノリティを含む多様性が拡大していることから、これらの対応を進めることも求められるのだが、これらの対応をする際に難しいのは“ハード面の問題解決”だ。 現在は教育機関においても2性スペースを改修する動きや1人1人が選択しやすいようにあらゆる形態を設置するなど子どもたちが共存できるような動きも出てくるのだが、これらの改修を進めるためには膨大な予算と実施可能期間が限定されていることから、同時に進める事は難しいだけでなく、学校数が多い自治体の場合は複数年かけて改修を進めるため、改修計画を学校側と協議しなくてはいけないことや次年度入学者の中にこのような配慮が必要な児童・生徒が入学する学校がある場合にはこの学校の優先順位を上げて対応する事も必要になることから、どのように予算を配分するかも重要になってくるのだ。 しかし、昨今は自治体の財政格差や収支の高騰などによる事業優先度の再検討を進めなくてはいけないなど自治体によって置かれている状況も優先度も変わってしまう場面も増えてくる事から、このような改修計画が後ろ倒しになることや改修箇所が多い場合には緊急性の高い部分から改修を進めていき、段階的に全面改修に繋げていくことが求められるのだが、子どもたちの快適性を考えた時に改修の優先度が高い場合には施設修繕費の一部を転用することも検討しなくてはいけないなど改修するタイミングを判断するためのポイントが多岐にわたっていることも多い。 これを企業に当てはめてみるとトイレ等のハード面に関する改修作業や更衣室などの棲み分けが進んでいる事から次年度までには上位企業全社において雇用開始が出来るようになると思う。 しかし、中堅企業以下に関しては財政面の問題や社員教育の進捗が遅れているなど企業によって事情はさまざまなのだが、このような事情をどのように改善し、円滑なアプローチしていくかがかなり難しいといわれている。 その理由として、都市部の場合は当事者を採用する機会が多いのだが、地方の場合は企業差が発生することが多いため、自社で採用する機会の有無や採用時に必要な配慮項目および環境整備の必要性の有無に関しては企業ごとの判断となるため、各企業において実施判断がかなり難しいともいわれている。 そのため、多様性を重視する企業が増えている一方で実際に就業することを考えた場合に事前に解決しておくことが望ましい部分も多い事からこれらの問題をどのように捉えていき、そこから新たな可能性を見いだしていくかが今後求められる多様性への理解だろう。