これはこれまでの日本における“人材採用”や“個別評価に対する相対賃金”など身近なテーマに関しては議論される機会が多いのだが、これらの議論は“浅広議論”(=これらのテーマに対して必要領域もしくは必要範囲まで下げるのではなく、現状に即した議論を主とする)となることが多く、必要事項は含まれているのだが、想定パターンがかなり少ないことから、企業側・公機関側双方が適正な対応方法を検討できないという可能性がある事やマルチマネジメントリスクケース(=複数の想定ケースが同時に発生し、企業等の社会的信用や人材育成評価が著しく低下するなどして転職者の選択肢に入れてもらえないこと)が発生し、実際にはこれらの事象が発生した前例がないことで対応が後手になるという事も考えられるのだ。

 

 そのため、本来は“深狭議論”(=これらのテーマに対して必要領域外まで掘り下げ、浅広議論では取り扱わない領域もしくは範囲まで拡大し、一般的には想定されないケースやパターンまで網羅する議論を主とする)をすることが求められる項目に関しても現在は“浅広議論”が主となっていることから、問題やトラブル、組織的課題が見つかった場合に対応が後手になるもしくは対応が困難になり、ドミノ崩壊するリスクが高まるのだ。

 

 例えば、Aさんは週に3日間最大20時間働くことが出来る契約になっているのだが、ある週は17時間しか働けなかったため、雇い主から“契約時間まで働けないなら辞めて欲しい”といわれた場合に本人の事情があったとしても企業の事情が優先されてしまうという事も考えられるのだ。

 

 これは日本における“労働契約”や“個別事情”による“就労制限”や“所得低下”につながり、これらの状況を鑑みた判断が難しくなっているという事も考えられるのだ。

 

 実際に現在は“人手不足”や“人材不足”といった企業における組織的課題の深刻化や地方の若年層の居住数低下など地方における人材確保がかなり難しくなっており、これらの背景にはいくつかの問題があると思っているが、これらの問題が直接的な影響を与えているということは多角的な視点で考えてみても十分に証明できると思うのだ。

 

 なぜなら、現在は地方における若年層の流出が高くなっている事が多く、若年層の減少が企業の事業継続に大きな影響を当てているという事も考えられるのだ。

 

そのうえ、現在は同じ都道府県でも人口増減が大きく変化することから、これらのデータから人材流動性の分析を進めていくことで原因が可視化されやすいという事も分かっているが、実際にはこれらのデータを活用したとしても実状は浮かび上がらないという場合も多く、正しい検証結果が見えてこないという事も考えられる。

 

その理由として、これらの問題に直結するポイントとして“年間就職者数と年間離職者数”が挙げられる。

 

 現在は企業数に対して労働人口が下回っていることから就労可能人材を全ての企業が雇用する事で全員雇用が可能になる計算なのだが、これらの条件を満たすためには企業側の財政状況がある程度の水準を維持することや企業利益が必要人件費を上回っていることが必要になるため、これらの実現を目指すためには企業間格差が大きくなるだけでなく、多様な雇用形態を設定し、適正賃金での雇用が必要になるため、相互認識の乖離が発生する可能性や相互基準のミスマッチによるトラブルが発生するという事も考えられるのだ。