仮にこれらの個人心理が社会における基本心理と合致していった場合には人材の集まりやすい企業と人材の集まりにくい企業が明確になってしまう可能性があり、この事が社会における企業競争力を低下させる可能性や特定企業において人材獲得競争に留まらず、人材争奪競争に発展することで雇用状況が不安定化することや企業が求める人材を獲得出来ないことでこれまで事業拡大を目指していた企業方針を転換し、現状維持もしくは企業において事業縮小などこれまで展開してきた業務内容を見直す動きが出てくることで今後の企業戦略を多角的に検討する事態に発展する事も懸念されるのだ。

 

 そのうえ、現在は企業の賃上げが“企業主体型賃上げ”と“社会主体型賃上げ”に分かれるが、実際に情報分析等をしていくと前者よりも後者の割合が高くなっているように感じる部分が多い。

 

 これは現在の企業における業績が判断基準として算定されることが多いが、多くの場合は最低賃金に合わせていかないと企業経営が困難になることから、賃上げが社会の流れに沿って行われるということが基本となることで、企業間の賃上げ割合が十分に考慮されないということも考えられるのだ。

 

そのうえ、現在はこれらの人件費を含めた諸経費の上昇により都市部・地方部問わずリストラや解雇などを行い、企業の財政健全化を進める動きが顕著になっていることやこれらの問題を考えた時に対象となった社員や従業員の所得低下や再就職先の決定長期化など生活水準の低下が翌年以降の納税などにも影響が出ることから、このような経済悪化が本人の社会的信用や社会における個人義務の遂行困難にも暗い影を落とすことになるのだ。

 

現在は倒産等の件数も一定数ある事からこれらの企業に勤務していた社員や従業員の受け皿が十分に確保出来ているかと言われると難しいだろう。

 

その理由として、これまで正社員として勤務してきた人にとっては①自分を受け入れてもらえる企業があるのか・②今の生活水準と同じもしくは大きく低下しない状況が出来るのかなど経済的な不安もあるが、転職経験のない社員の場合は自分自身の社会的信用がどの程度あり、自分の能力がどの程度通用するのかを理解するところからスタートしなくてはいけないことから、企業選択を進めるにしても時間がかかる可能性も高いのだ。

 

そのため、これらの間に必要な契約やローンなどのあらゆる行動に制限がかかる可能性がある事で所得が下がることは自らの生活水準が下がるリスクが高いのだ。

 

これらのリスクを回避するためには企業における“雇用維持”や“人材確保”といったハード面の課題をどのようにクリアし、対象者の離職期間を短くしていくことで、個人の所得低下を避けることや経済循環の低下を防ぐことで企業の業績を上げることも、個人の消費行動を高められるなど社会全体の利益につながる行動が増加していくのだ。