なぜなら、現在の中小企業の廃業や倒産などが起きている背景に原材料価格の価格転嫁が困難になっていることや価格転嫁を実行したことによる取引停止、機器更新を行うために十分な予算が確保出来ず、新たな商品開発や商品改良を求められた場合に対応に時間がかかるもしくは対応できないという部分が出来てしまう事で継続的な経営戦略を組むことが困難になり、取引先が減少してしまうことや取引先からの一方的な契約終了など人員整理が必要になる状況になり、配置人員を見直す、人件費を削るなど企業努力を重ねたとしてもカバーできない状況になりやすい。

 

 そのため、このような企業に賃上げの要請をしたとしても設備投資や固定費を取引継続のために負担を増やしているため、賃上げまで資金が回らないだけでなく、賃上げを行うために銀行などから追加融資を検討しなくてはいけないなど企業側がリスクを負ってまで社員の労働環境を整備しなくてはいけないとなると場合によっては企業と社員が共倒れする可能性がある。

 

 このような状況にならないためにある程度の段階に達した段階で行政や銀行などが介入し、必要な対応を公官庁に対応を仰ぐなどして企業の倒産による地域雇用の衰退や個人所得の減少などを防がないと今度は地域における雇用情勢の悪化や労働需要の低下による状況の悪化につながる可能性もある。

 

 実際に現在もあらゆる業種の企業が毎日のように自己破産や“民事再生法”を適用した倒産申請など事業を継続するか、事業を終了するかの選択を迫られる状況が増えており、これも地方の人口減少や地方における労働者不足のさらなる深刻化につながる可能性もある。

 

 これは、少しでも時給の高い地域に引っ越すなどして個人の所得を増やすという選択をする人が近年増加し、地方部の賃上げ意識の向上が進んだとしても都市部の賃上げには追いつかないため、都市部に引っ越して自分の所得を上げなくてはいけないと言う意識が高まっているからだろう。

 

ただ、この差をどのように改善し、公平的な人材定着に繋げていくかを考えていかなくてはいけない。

 

 これは賃上げもそうだが、労働内容や福利厚生も時代に合わせた改善や社会情勢の変化を加味していくことが大事だろう。

 

 特に非正規雇用に対する賃上げが十分に進まず、同一賃金のまま長年勤続している従業員や賃金改定の際だけ昇給し、それ以外は変わらないという状況が地方を中心に顕著になっており、この状況が昨今の物価上昇等の際に大きく影響を与えてしまうだけでなく、公共料金の滞納や税金滞納が進んでしまったとしても差し押さえできる資産が口座などしかなくなるという状況も出てきてしまうのだろう。