しかし、多くの企業は“私たちの採用計画は間違っていない”と思って採用計画や採用基準の見直しを行わず、これまでの基準で採用活動を継続していると思われる事例や人事担当者が“自分たちの人材選別眼に自信があり、これまでの採用経験から間違った人材は採用したことがない”というこれまで新卒採用で採用した学生であっても経験者採用で採用した社会人であっても会社にとって利益になる人材を獲得してきたという確信が人材獲得の弊害になる事も少なくない。

 

私は若い人材の考え方として“ステップアップ型キャリア形成”が主流になっているのではないかと思うのだ。

 

 その理由として、現在は自分のゴールに向けて必要な知識や体験・経験を積む人が多く、本人が“この企業で自分が必要な知識や業務経験などを十分に積んだ”と考えると新たな企業に転職し、必要なプロセスを全て終えたと判断した時点で自ら起業して独立することで自分がどのくらい出来るのかを試そうとする人も多い。

 

 そのため、企業側も”定着人材“を採用するのではなく、採用した人材が転職をする可能性がある事を前提に採用計画を立てることで初期費用として人件費は高くなるが、求人掲載料や出張費などの”採用活動における固定費“の余剰支出を避けることが出来るため、企業にとっては経費削減にもつながる。

 

 そして、採用者のカテゴリーも“企業採用”と“外部採用”という2つの枠を使い分け、企業採用の社員は本社や支社など企業と直接契約を結び、企業側の雇用契約や労働契約に準ずる形で働くことで“企業の成長”と“長期的な人材確保”につながると思っている。

 

 ただ、企業採用の社員は転勤の有無でも条件が変わりやすく、その度に引っ越し費用や維持費など給与に対して必要な費用の割合が高くなることで生活維持が困難になる可能性も否定出来ない。

 

 特に単身赴任等で賃貸などを現地で借りなくてはいけない場合に“住宅手当”、長期の着任の場合は戸建て等の“購入補助金”など本人たちの家族構成や必要な住環境に対する支援分の上乗せも賃上げと同様に忘れてはいけないと思う。

 

 一方で外部採用の社員は企業採用とは異なり、企業とマネジメント契約を結び、お互いにアイディアなどを出す代わりにこれらのアイディアで得た利益や商標・特許など権利関係は企業に既属しないという“フリーランス型”になり、企業側との利益配分比率に関しても個人の方が割合を多く出来るようにすることで、個人の企業との連携強化を図る際に企業では企業側の配分が全てになることも多くなる“利益配分”も適正な割合で受け取れる可能性やアイディアの提供が積極的になることで企業と個人が共に成長していける可能性もあるのだ。