母親は彼女がつかまり立ちし始めた事は嬉しかったが、彼女がつかまり立ちを始めて、少し動くと苦しそうにしていたこともあったため、母親としてはどうするべきなのか分からなくなってきたのだ。

 

 検診が終わり、車で家に戻った。車を車庫に入れて、玄関の中に入ると、彼女が歩きたがっていたため、玄関からリビングまで歩いて行かせてみることにした。

 

 そして、彼女を玄関に降ろすと、ハイハイから立ち上がろうとしていたが、何度か立とうとすると転んでしまう。そして、再び歩こうとすると彼女がフラフラしているように見えた。

 

 そこで、母親が立つために自分の手を貸そうと思い、彼女に手を差し伸べると、その手をはねのけて泣き出してしまったのだ。“彼女はどうしても1人で歩きたかったのだろう。しかし、歩けないことが悔しくて泣いていたのだろう。”そう母親は思っていた。

 

 しかし、母親は彼女の足を見てある違和感を察知した。それは、彼女の両足に赤いアザのような斑点が出ていて、歩こうとすると痛いのか、いつものように足が動いていなかったのだ。

 

 そこで、彼女の足の斑点に子供用のベビークリームを塗って様子を見ることにした。その日の夜は落ち着いていたが、翌日になり、彼女が立ち上がろうとすると顔をゆがめて立つのを止めてしまう事もしばしばだった。

 

 そして、お姉ちゃんが学校から帰ってくると抱っこをせがんでいたが、お姉ちゃんが足を持つと彼女は痛いのか、姉に対して「降ろして欲しい」という動作を見せていたのだ。

 

 そこで、母親は小児科の先生に連絡し、どうするべきなのかを聞くことにした。

 

 そして、先生が小児整形外科の先生に連絡を取って彼女の状態を伝えると、“もしかすると軽い打撲のような状態になっていて、打撲のようになった所をかばうようにしているのではないか?”と状況だけを読み解いた判断をしてくれた。そこで、今は経過観察を行い、3日経っても状態が良くならない、つかまって立たせてみて痛がる場合は病院に行くことにした。

 

 そして、夕飯の時間になり、彼女にご飯を食べさせようとしたが、普通のご飯を食べさせるべきか、おかゆを食べさせるべきかで悩んでいた。

 

 なぜなら、実琴に最近は普通のご飯を小さくして食べさせたが、食べることは出来ても飲み込む際に一苦労という感じの表情を見せることが多く、スープのような流動性の高い汁物はすんなりと食べられるが、少しずつスプーンですくって食べさせないと以前に誤嚥してしまった事があったため、未だに食事も両親が食べさせないといけない。そんな葛藤の中で母親は毎日ご飯を食べさせた。