今、ニュースなどを見ていると出てくるのは暗いニュースばかりで明るいニュースはほとんど出てこない。そして、明るいニュースがあったとしても暗いニュースに隠れてしまい、一瞬で打ち消されてしまう。

 

 最近の傾向としては暗いニュースが流れる度に“命を軽視しているのか?”と思う人もいるだろうが、有効求人倍率などの数値が低下していることで、雇用の不安定傾向が加速し、労働可能年齢に達している労働人口に対して十分な雇用機会が充当されていないような部分も見受けられる。その結果、相対的に失業者も増え、経済も停滞してしまっているように感じる。これらの状況を打破するために何らかのアクションが必要になっているように感じるが、プライマリーバランスの停滞により一時的な効果しか期待できないのが現状だろう。そして、商業関係も撤退や事業規模の縮小、店舗の吸収など試行錯誤が繰り返されているが、これらの影響は労働者側に跳ね返っており、失職による無所得に陥っている人もいる。これら以外にもあまり公にはなっていないがさまざまな未遂事件が増加している。

 

 なぜ、そのような行動に出てしまうのか?私はそのような人たちの共通項や背景から推測できることと自分自身の気持ちが合致することもある。

 

 1つ目は“喪失体験”だろう。今の労働基準法では正規雇用者は基本的には終身雇用が保証されているため、解雇等になることはほとんど無い。しかし、非正規雇用者は終身雇用が保証されていないため、企業の状況に左右されてしまう。例えば、企業の経営悪化など組織を建て直さなくてはいけなくなるなど従業員の雇用を維持・継続雇用が困難になる状況下におかれた場合に人件費を削減することが必要になる。すると、一番先に解雇等を受けるのはアルバイトやパートなどの非正規雇用者と派遣社員や契約社員などの準非正規雇用者だ。これらに該当する人たちは基本的には退職金が発生しない(契約社員は所属企業、派遣社員は派遣会社との契約に準ずる)ため、リストラを含めた人員整理などをする際に余計な人件費がかからずに退職もしくは解雇することが出来るのだ。

 

しかし、正規雇用者は会社都合である場合には事前通知をしなくてはいけないし、場合によっては退職金を支払う必要が出てくるのだ。これらの格差が今まで蔑(ないがし)ろにされてきたことで所得格差などの経済的格差、育児などの際にも仕事をその都度辞めなくてはいけないという待遇格差などの保証格差が顕著に表れてしまっている。その結果、このような雇用形態の人にとっては個人の生活が崩壊してしまうことで経済的に困窮し、一時的であっても生活保護などの公的支援に頼らざるを得なくなる。そのため、現行の状態では受給者が急増してしまうのだ。その上、パート・アルバイトと契約・派遣社員の間にも失業保障の格差が出ているため、前者は次の仕事が見つからないと所得がなくなってしまう。しかし、後者は失業保険を会社側で加入していた場合には会社都合として失業保険を受給できる。そのため、短期間なら職が見つからなくとも生活には困らないのだ。