近畿日本鉄道アルミ製構体の一般車両リニューアル車 リポートその② | ふなたんのブログ

ふなたんのブログ

乗り物全般(主に鉄道・バス・飛行機)を撮影した写真をマイペース(極端に少ないですが)で更新。
稀に自分自身の事や考えをアップすることも。
画像の無断転載・転用は禁じています!!

近畿日本鉄道(以下,近鉄と略)は,令和5年度からアルミ製構体車両のリニューアル工事を順次進めています。令和6年3月下旬にリニューアル工事が完了した1233系1237編成(2連),同年4月にリニューアル工事を終えた1026系1035編成(4連)はこれまでのリニューアルに加え,新たな設備が設置されるなど仕様の変更が行われています。

今回はこの2編成で行われた仕様の変更点(2編成に共通する設備)を判別出来た範囲でレポートします。またその①で出来なかった4連編成中間車に新設された車椅子・ベビーカースペースも併せて紹介します。

 

※:画像の無断転載・無断転用はご遠慮ください!!

【1233系】

▲1233系1237編成(VE37編成 モ1237-ク1337),「快速急行 大阪難波」行。

令和6年3月29日付でリニューアル工事(ク1337に車椅子・ベビーカースペース設置を含む)が完了しました。

近鉄では令和6年4月より列車が駅を発車する際、乗務員の目視に加え更なる安全レベル向上を図るため、車両側面にカメラと運転室にモニタを設置し、モ ニタに表示される映像の視認性の検証を行います。2連,4連各1編成にカメラとモニタを設置し,難波・奈良・京都・橿原・天理の各路線で昼夜,悪天候時など,さまざまな環境において車両の側面のカメラで撮影し,モニタに表示される映像の検証を行います。

2連編成は東花園検車区配置の当編成を用いて検証を行うこととなり,リニューアルと同時に近鉄で初となる側面にカメラを1両あたり片側2箇所(両側4箇所),運転室にモニタを設置しています。令和6年6月4日(木)奈良線鶴橋駅-今里駅にて

 

▲1233系VE37編成,「急行 京都」行。リニューアルと併せ,各乗降扉横に乗客が操作できる扉個別開閉スイッチも設置(撮影時点では稼働せず)されました。扉個別開閉スイッチは令和6年10月運行を開始する新形一般車両8A系にも導入されています。

令和6年6月2日(火)奈良線新大宮駅にて

 

▲1233系VE37編成,「区間準急 大阪難波」行。リニューアル工事で両先頭車両の電気連結器が増設され2段化されました。それにともない前面台枠下部覆い(排障器)の開口部の形状が変わりました。これまでのリニューアル施工車両では電気連結器の増設は行われておらず,今回が初めてとなります。制御装置など主要機器類の変化はありません。

令和6年5月25日(土)奈良線鶴橋駅-今里駅にて

 

【1026系】

▲1026系1035編成(VL35編成 モ1035-サ1185-モ1085-ク1135),「普通 大和西大寺」行。令和6年4月にリニューアル工事(サ1185,モ1085に車椅子・ベビーカースペース設置を含む)が完了しました。

4連編成での検証は西大寺検車区配置の当編成を用いて行われることとなり,VE37編成と同様に車両側面にカメラと運転室にモニタを設置されています。

令和6年6月4日(木)橿原線畝傍御陵前駅にて

 

1026系VL35編成ク1135以下4連,「普通 大和西大寺」行。外観はこれまでのリニューアル施工車両と同様,研磨を行い新たな塗装を行い美装化が図られています。VE37編成と同様に両先頭車両の電気連結器が増設され2段化されました。それにともない前面台枠下部覆い(排障器)開口部の形状が変更されています。令和6年5月25日(土)京都線新祝園駅にて

 

【前面窓下部】

▲1233系VE37編成モ1237の前面下部。これまでのリニューアル工事施工車両と同様「先頭転落防止外ほろ」が設置されています。VE37編成から新たに両先頭車の連結器下部の電気連結器が2段化され,排障器(スカート)の形状が変わりました。阪神電鉄非対応一般車両では初となる2段化となっています。令和6年6月2日(火)京都線大久保駅にて

 

【前面窓ガラス】

▲運転台に設置されたモニタの背面。使用されていないためかケーブルの一部が外された状態で留められています。写真は1233系VE37編成モ1237。令和6年6月2日(火)京都線京都駅にて

 

【乗務員開き戸付近】

▲1233系VE37編成ク1337の乗務員開き戸付近。これまでのリニューアル工事施工車両と同様に乗務員開き戸,各乗降扉上部に水切りが新設され,乗務員室直後の車椅子・ベビーカースペースのピクトグラムは青地に白抜きとなっています。新たな装備として乗務員開き戸上部に側面カメラが取付られ,各乗降扉横に扉個別開閉スイッチ(撮影時点は使用不可)が設けられています。令和6年6月2日(火)京都線京都駅にて

 

▲1026系VL35編成モ1035の乗務員開き戸付近。これまでのリニューアル工事施工車両と同じく乗降扉の窓ガラスは緑色のUⅤカット窓ガラスへの更新が行われています。また同じく乗務員開き戸上部に水切りが設置されていますが,形状が直線から端部が曲線形状に変更されました。VE37編成と同じく側面カメラ・扉個別開閉スイッチが新たに取付られています。

令和6年5月25日(土)京都線新祝園駅にて

 

【側面カメラ】

▲1両あたり片側2箇所(両側4箇所)設置された側面カメラ。更なる安全レベル向上を図るため、車両側面にカメラを設置しモ ニタに表示される映像の視認性の検証を行うためVE37編成,VL35編成に近鉄の車両では初めて取付られました。写真はVE37編成ク1337乗務員開き戸上部のカメラです。カメラの下に「安全確認カメラ作動中」と標記されたステッカー貼付けられています。令和6年6月2日(火)京都線京都駅にて

 

【扉個別開閉スイッチ】

▲VE37編成,VL35編成の各乗降扉横に扉個別開閉スイッチが新たに取付られました。令和6年10月運転開始の8A系にも導入される近鉄の車両(ケーブルカーは除く)で初めての設備となります。8A系に先駆けて設置されていますが,撮影時点で稼働していないため,8A系で貼られている案内ステッカーの貼付けは行われていません。VL35編成以降にリニューアル工事1回目を終えた西大寺検車区所属の1233系VE38編成などには設置されていません。

令和6年6月2日(火)京都線京都駅にて

 

【客室】

▲1233系VE37編成ク1337の車内。内装はこれまでのリニューアル工事施工車両と同様,令和6年10月営業運転を開始予定の新型一般車両8A系に準じており,壁は木目調のメラミン化粧板,床敷物は円形模様,座席表布は花柄となっています。各座席端部に半円形の大形袖仕切が新設。縦手すりを併用した強化ガラス製で,安全性と快適性を向上。天井の化粧板は白色系のものに張り替えられています。縦手すり設置にともない定員が変更されています。新たに各乗降扉横に扉個別開閉スイッチが設置されました。令和6年6月2日(火)

 

【乗降扉】

▲乗降扉の化粧板もこれまでのリニューアル工事施工車両と同様木目調ですが,両端に設置してある縦手すりは扉個別開閉スイッチ設置にともない,設置箇所の手すりは長さの変更(子どもに手すりを握ってもらうことで,戸袋に手が引き込まれるのを防止するため,下部への長さ延長は変わらずに上部を変更)されました。写真は1026系VL35編成モ1035。令和6年6月2日(火)

 

【扉個別開閉スイッチ】

▲VE37編成,VL35編成では8A系同様に新たに各乗降扉横に扉個別開閉スイッチが設置されました。近鉄で初めて(ケーブルカーは除く)となる設備です。撮影時点では使用していないため,写真のように金属製のカバーがされていました。写真は1026系VL35編成モ1035。

令和6年6月4日(木)

 

【車内案内表示器】

▲乗降扉上部には42インチ大形画面のLCD表示器は,1両あたり4台設置されています。VE37編成は平成30年10月に液晶ディスプレイが取付られていました。リニューアル工事1回目により取替られました。VE37編成からカバーが木目調から白色系に変更されました。

写真は1026系VL35編成モ1085。令和6年5月25日(土)

 

【防犯カメラ】

車内案内表示器の各対面となる乗降扉上部には防犯カメラが設置されていますが,車内案内表示器同様にカバーが木目調から白色系となりました。VL35編成以降のリニューアル工事1回目施工車両も白色系となっています。写真は1233系VE37編成モ1237。令和6年6月2日(火)

 

【車椅子・ベビーカースペース】

▲1026系VL35編成の中間車サ1176形1185・モ1076形1085に車椅子・ベビーカースペースが新設されました。レール方向に2段の手すりを設けています。また非常通話装置も設置されています。写真はモ1085。令和6年5月25日(土)

 

▲1026系VL35編成1035編成の中間車サ1185・モ1085に新設された車椅子・ベビーカースペースの壁面にヒータが設置されました。写真はモ1085。令和6年5月25日(土)

 

【日除けカーテン】

▲1026系VL35編成の中間車サ1185・モ1085の車椅子・ベビーカースペースの側窓の日除けカーテンは溝にカーテンの端を引っかけるタイプからフリーストップ式に交換されました。

写真はモ1085。令和6年5月25日(土)

 

【運客仕切部分】

▲VE37編成,VL35編成では,消火器が運客仕切扉下部に収められました。

写真は1026系VL35編成モ1035。令和6年5月25日(土)

 

【運転台】

▲VE37編成,VL35編成の運転台は左手主幹制御器(マスコン)・右手ブレーキの2ハンドル式と変わりませんが,マスコンとブレーキの間に乗降扉に関するスイッチの取付,計器類上部に新たな表示パネル設置と表示パネルの準備(圧力計の上部)が行われました。

写真は1233系VE37編成モ1237。令和6年6月2日(火)

 

▲マスコンとブレーキ弁の間に設置された乗降扉に関するスイッチ。乗降扉開閉スイッチと思われ,将来のワンマン運転を見据えたものでしょうか。またモニタを使用しての乗降扉開閉の検証の際にも使用されるのでしょうか。写真は1233系VE37編成モ1237。令和6年6月2日(火)

 

▲計器類の上部に新たにパネルが設置されました。制御電圧計の上部のパネルの一つは「カメラ」と標記されています。その箇所には日除けカバーが取付られています。圧力計の上部にもパネルが取付られる(既に設置済みかも)ように準備がなされ,その部分にはカバー覆われています。写真は1233系VE37編成モ1237。令和6年6月2日(火)

 

▲VE37編成,VL35編成の各運転台上部に2画面のモニタが設置されました。

写真は1026系VL35編成モ1035。令和6年5月25日(土)

 

▲これまでのリニューアル工事1回目車両と同様,乗務員室の腰掛け表布も客室の一般席と同じ赤色の花柄模様に交換されています。写真は1233系VE37編成ク1337。令和6年6月2日(火)

 

▲VE37編成,VL35編成は運客仕切扉に消火器を設置。その箇所を乗務員室から見た(客室から撮影)もので,出っ張りしている部分に収められています。

写真は1233系VE37編成ク1337。令和6年6月2日(火)

 

▲VE37編成,VL35編成では車掌スイッチの横に扉開閉個別開閉スイッチ関係の機器,扉予告のランプを挟み下には乗降扉再開閉ボタンとベル押釦(合図)が一体となったものが新たに設置されています。

写真は1233系VE37編成ク1337。他編成との連結で乗務員室が通路となっている時に撮影。

令和6年6月2日(火)

 

▲乗降扉再開閉ボタンとベル押釦(合図)が一体となったものを別の角度から撮影。「扉個別」と書かれたテプラが貼られその下に再開閉と同じ丸形状があり,扉個別開閉スイッチを使用する際に使用するボタンが準備されていると思われます。再開閉ボタンの下に放送マイクをかけるフックが設置されています。乗務員室が通路となる場合は車掌台側は仕切扉がないため,マイクは取り外されています。写真は1233系VE37編成ク1337の車掌台側。令和6年6月2日(火)

 

▲VE37編成,VL35編成の運転台側に設置されている車掌スイッチなど。車掌台側と同じ機器配置です。編成中間となる時は仕切扉と前面貫通扉で運転台が仕切られるので放送マイクは取り外されていません。写真は1233系VE37編成ク1337。令和6年6月2日(火)

 

▲リニューアル工事1回目施工車両の乗務員室の床敷物も客室と同じく水面に広がる波紋をイメージさせる円形模様,ダーク調の色使いとなっています。写真は1233系VE37編成ク1337。

令和6年6月2日(火)