小田急電鉄30000形「EXE」甲種輸送 平成30年9月19日日(水)撮影 | ふなたんのブログ

ふなたんのブログ

乗り物全般(主に鉄道・バス・飛行機)を撮影した写真をマイペース(極端に少ないですが)で更新。
稀に自分自身の事や考えをアップすることも。
画像の無断転載・転用は禁じています!!

※:画像の無断転載・転用はご遠慮ください!!

平成30(2018)年9月19日(水),小田急電鉄の特急車両30000形「EXE(エクセ)」30254編成(6連編成)がリニューアル改造を行うため,松田駅(3:49発)-9685列車-沼津駅(5:14~5:33)-9861列車-西浜松貨物ターミナル駅(8:41~9:41)-9771列車-豊橋駅(10:15~11:04)-9773列車-豊川駅(11:18着)-日本車輌製造専用線の経路で甲種鉄道車両輸送により日本車輌製造豊川製作所へ輸送されました。小田急電鉄新松田駅-松田駅-西浜松貨物ターミナル駅間はJR貨物新鶴見機関区所属のEF65形2086号機が,西浜松貨物ターミナル駅-日本車輌製造豊川製作所間はJR貨物愛知機関区所属のDE10形1725号機がけん引しました。30254編成は所属の海老名検車区から新松田駅まで自力もしくは他車けん引による回送が行われています。

30000形「EXE」は老朽化していた3100形「NSE」置換用として平成8(1996)年から平成11(1999)年にかけて6両編成(1~6号車)と4両編成(7~10号車)それぞれ7編成が製造されました。6両編成の新宿駅方6号車,4両編成の小田原駅方7号車は分割併合に備えて前面が貫通構造の先頭車となっています。愛称の「EXE」は「Excellent Express」の略で小田急電鉄の特急車両で唯一「SE」が付いていません。小田急電鉄の特急車両で初めて20m車10両編成による組成で,通勤ライナーにも活躍する汎用特急車両です。

小田急電鉄の特急車両で初めてVVVFインバータ制御装置・シングルアーム式パンタグラフを搭載しています。また分割併合を行うのも小田急電鉄の特急車両では初めてです。

就役から20年が経過し高齢化の進展や訪日外国人旅行者の増加など社会の変化する中,多様化する乗客のニーズに合致した車両サービスを実施することを目的として平成28(2016)年度からリニューアル改造が開始されました。リニューアル車両は平成29(2017)年3月から営業運転を開始しています。リニューアル車両は愛称が「EXEα(エクセ アルファ)」に変更,デザインや機能を一新し,プラスアルファの要素が盛り込まれている事を表現しています。リニューアルは全7編成が施行予定となっています。

主な改造内容は,客室内:気品と落ち着きのある明るい車内空間とするために天井面は明るい仕上げ材に,壁面は木質系の仕上げとされ,照明はLEDの直接照明と間接照明の組合せに変更。腰掛は表地をベージュ色と青色に変更,テーブルと肘掛も一新され,手掛けやフックを新たに設置。窓側席に電源コンセント設置(リニューアル改造施工第2編成以降)。訪日外国人旅行者への対応として客室などに大形の荷物収納スペースを新設。従来の売店スペース(3・9号車)は授乳時や体調不良などに利用できる多目的室,車販準備室に一新。トイレは従来2・8号車に男女共用・女性専用・男子小用,5号車に男女共用・車椅子対応用設置から和式タイプを廃止し,5・8号車に車椅子対応の「ゆったりトイレ」を設置,2・5・8号車に男子小用,2号車に男女共用・女性専用設置に変更。「ゆったりトイレ」・男女共用・女性専用トイレは温水洗浄機能付き便座を備えています。各車両出入口・客室内部に防犯カメラ設置・点字案内・乗降扉にドアチャイム・ドアランプの新設が実施されています。

機器面:制御装置がIGBT素子適用のVVVFインバータ制御装置からフルSiC素子適用のVVVFインバータ制御装置に換装,主電動機は全密閉式に変更。空調装置は低騒音タイプのものに交換。6両編成の3号車サハ30400を電動車化し形式をデハ30400に変更,4両編成の9号車デハ3000は新宿駅方に付随台車を配した0.5M0.5Tから付随台車を電動台車に換装。運転台は主幹制御器(列車を加速・抑速させる装置,マスターコントローラー:自動車のアクセルに相当)とブレーキ装置が一体となったワンハンドルマスコンが右手操作式から左手操作式に変更が行われています。

外部塗装は「ハーモニック・パールブロンズ」から,「シルバー+グレー系」のツートンに改められ,ツートンの境目にはロマンスカーの伝統色・オレンジバーミリオンのラインが引かれた塗装に変更が行われます。

デザイン設計は50000形「VSE」・60000形「MSE」・70000形「GSE」のデザイン設計を担当した岡部憲明アーキテクチャーネットワークが担当しています。

 

リニューアル改造を行うため甲種鉄道車両輸送により日本車輌製造豊川製作所へ向かう30000形「EXE」30254以下6両編成(クハ30254-デハ30204-サハ30354-サハ30454-デハ30504-クハ30554)。手前のクハ30250は分割併合に備えて前面が貫通構造の先頭車両で自動ホロ装置(操作スイッチで連結・分割をワンタッチで行い,短時間での連結・分割作業が可能)を装備しています(4両編成の7号車となるクハ30150も同じ)。リニューアル改造により乗務員室の運転席側(乗務員室扉の脇)に小窓が新設されます(4両編成の7号車となるクハ30150も同じ)

 

JR貨物新鶴見機関区所属のEF65形2086号機のけん引により日本車輌製造へ向かう30000形「EXE」30254編成。JR貨物EF65形は新鶴見機関区所属のみで全機が更新機で「更新機」であることを識別する必要が無くなった事,JR貨物EF64形1000番代も同じ理由なこともあり国鉄標準色で塗装すればこれら機関車の塗料は青15号とクリーム1号の2色を用意すればよいことを鑑みて,平成29(2017)年からEF65形は国鉄色(特急色)に全般検査時に塗装変更始められているので,画像の様に貨物更新色による甲種輸送けん引する機会もいずれ無くなるかもしれません。

 

JR貨物新鶴見機関区所属のEF65形2086号機と30000形「EXE」30254編成クハ30554の連結部分。クハ30554はスカート,格納式簡易連結器が取り外され,連結器は機関車と連結するために並型自動連結器が取付られています。

 

小田原駅方10号車となるクハ30550(クハ30554)(新宿駅方1号車クハ30050)は非貫通構造の先頭車です。リニューアル改造により前面の列車愛称表示器・「EXE」ロゴマーク上の画像でJR貨物EF65形2086号機とクハ30554の連結部分では「EXE」ロゴマーク上部)が撤去され,各灯具はLED化されます。

 

2号車のデハ30500(30504)。リニューアル改造により制御装置はフルSiC適用のVVVFインバータ制御装置に換装され,主電動機は全密閉式に変更されます。3号車寄りの「EXE」ロゴマークは変更されます。「EXE」ロゴマーク部分はトイレが設置されています。左側の車両3号車サハ30050はリニューアル改造により電動車化され,形式車号はデハ30400に,車種もT2車からM2´N車に変更されます。

 

30000形「EXE」30254編成のクハ30254はに備えて,連結器が電気連結器付き密着連結器から機関車と連結できる並型自動連結器に交換のうえ取付・輸送時に障害(連結器・ブレーキ管取付時)となるスカートの撤去・機関車からの空気ブレーキ作動のための空気ブレーキ管の仮設取付・後部標識灯の代わりとなる赤色円板の取付など甲種鉄道車両輸送ならではの光景が見られます。「EXE」のロゴマークはリニューアルにより消える事になります。

 

▲30000形「EXE」30254編成(6両編成)のクハ30554の側窓に特殊貨物検査票。甲種鉄道車両輸送では必ず特殊貨物検査票が掲出されます。

 

画像は全てJR東海東海道本線草薙駅にて

 

参考文献:「鉄道ファン 2017年3月号」(交友社)

       「鉄道ピクトリアル 10月臨時増刊号 新車年鑑 1996年版」(電気車研究会)