人は行きつ戻りつしながら歳をとり、衰えていくのでしょう。誰も偉そうなことは言えませんし、気弱にならないことが大事です。

 

 確かに去年の自分より今年の自分は食べる量が少し減り、胃や腸の容量が小さくなったのか、それが生理現象にも反映しています。毎朝、ベッドで四種類のストレッチをして起き、ベッドに坐って別の運動もしますが、1、2、3…10。2、2、3…10、…と数えますが、数え間違うことも増えています。ウオーキングも、1日休めば前に戻るのに努力がいるのは70代では考えられないことでした。こうした中、心が老いに負けたり気弱にならないのが肝心です。

 

 主夫の食事作りに段々と慣れが出て来て、メリハリの効いた味が落ちて来たように感じるのは気のせいでしょうか。それとも、妻が少しだけ回復して、自発的に皿を出したりサラダを盛ったり僅かに手伝うようになり、料理の出来ばえや味については今も感謝の言葉をいただいていますが、段取りや食材の使い方などは、長年のプロの目から文句の一つ二つが聞こえて来るようになりました。それで、面白がって楽しんでしていた食事作りがしづらくなり、手が鈍ってメリハリをなくしているかも知れません。ああ、それなのに、それなのに、毎日が私の誕生日祝いのご馳走ね、もうあなたが主役よ、私は隠退と言われるのですから、主夫のわが身はどう身を処せばいいというのでしょう。

 

 バイデンさんのタラップを降りる足取りが去年よりも弱々しくなり、かなり用心して降りるようになったのも当たり前。勝利するまでは安心できませんが、次期大統領候補者がハリーさんに代わって一先ず世界はほっと胸をなぜ下しています。誰しも判断力、対話力、切り返す瞬発的鋭さも年齢には勝てません。足の速さも頭の回転も落ちて行きます。今は威を振るうトラ、とら、虎のトランプさんも、数年すれば、おぼつかない足どりになり、たどたどしい話し方になっても、汚物を投げるように人をこき下ろし廻っているかも知れません。4年後と言わず、3年もすれば巨体を支えることもおっくうになり、汚物を産み出す頭脳自体がボロボロのトイレの汚物容れに似たものになるかも知れません。

 

 本題に戻りましょう。人の攻撃は私の趣味ではありません。ただ人間の常として、歳をとればとるほど諸々の心配は泉のごとく出てきますが、首都圏を襲う大災害がしばしば囁かれ、巨大地震でなくてもあちこちのマンションで避難訓練がされます。あの避難訓練では、寝たきりの人や車いすの人、また足腰が弱った人らは、どう訓練に参加するのでしょう。10階以上に住む場合、訓練でもエレベーターの使用は禁止でしょうから、こういう人はどう訓練に参加するのでしょう。万一の場合、最も救出が必要となる人らが避難訓練に参加できないなら心が痛みます。

 

 それとも、集合住宅の場合、一人ひとりの自己責任だから他の人は関係ありません、家族が責任を持って下さいということになるでしょうか。でも独り住まいも増えています。もちろん集合住宅は運命共同体ではないので、他の居住者への義務はありませんが、足手まといの人たちを放っておいていいわけはないでしょう。これらは今後マンションに入ることを考えている、今はお元気な高齢者も考えておかなければならないことです。中年の人も考慮していいでしょう。いずれにしても、マンションの住人の希薄な人間関係が気になります。ひと言で言えば、人間が環境や建物に負けて冷たくなっているって感じで、温かい人の素顔が見えにくいのがマンションです。

 

 訓練には消防署に来てもらうでしょうから、今あげた課題は前もって署に相談しておくべきでしょう。彼らにはノー・ハウがあるでしょうから。また現実の緊急避難の場合、今あげた居住者はどうすればいいのか、訓練の場でよくよく聞くことが大事でしょうね。

 

 「ダビデ王は多くの日を重ねて老人になり、衣を何枚着せられても暖まらなかった。」(列王記上1章)