テレビをつけると大谷翔平かトランプが映し出されて、私は変わり者なのかうんざりしています。大谷は日本人に夢と希望を与えるということになっているらしく、どのテレビ局もコメンテーターを立てて絶賛しますが、彼がそこまで夢と希望を与えると普遍化できる存在か、私はまだ本当のことはよく分かりません。有名人にどっと押し寄せる大衆娯楽社会の風潮に不気味なものを感じ、この偉人化、偶像化は正常なのかと、私は横目で見ています。

 

 トランプに至っては、暗殺未遂事件後、神はトランプに味方した、彼は神に認められた大統領候補者だとか何とか、センセーショナルものがお好きのマスコミはトランプ株上昇を報じ、今や圧倒的にバイデンを打ち負かすとの威勢のいい無責任な憶測をしています。事件後の共和党大会を前に、何年も分断を意図的に煽った語り方から、急に傲慢さを控えて全米の団結を訴える姿に変身して人気をさらうと報じましたが、役者じゃあるまいし、果たしてそんな芸当ができるとは私は思いません。事実その後、バイデン氏について、「彼は立候補するに値しないし、大統領に適してもいない」、「彼はウソとフェイクニュースで大統領の座についたにすぎない」「医師やメディアを含め、彼の周囲にいたすべての人々は、彼に大統領になる能力がないことを知っていた」などと、露骨な言葉でパワハラ的に相手を罵倒しています。勝利の予測に酔って相手を手玉に取り、黒を白、白を黒と断定する頭の狂ったような語り方、すべて自分に手柄を引き寄せる語り方で、益々反対者を排除する傲慢さが現れれば、「主は逆らう者を打ち砕き、天から彼らに雷鳴をとどろかされる」(サムエル上2章)といった神の逆鱗に触れないとも限りません。

 

 彼が二期目の大統領になればいったい何を仕出かすでしょう。黒を白と言い張る傲慢で人を騙し、民主主義を後退させ、アメリカに追随して来た日本でも一段と民主主義が衰退する恐れがあります。そもそも日本の民主主義はほぼアメリカからの輸入で自らの血を流して奪い取ったものでなく、親方が変われば容易に尻尾を振ってついて行くのが日本の国民性です。何しろ今の日本人の哲学は、何でもかでも経済第一、情況を見て、得をするのはどの道かで生きる功利的な便宜主義ですから。

 

 フランスでもイタリアでも自国第一の右傾化が進み、ハンガリーではもう権威主義的政権になってロシアとも交流しています。ドイツは戦後長く続けてきた反ナチ教育のおかげで、右翼が抑えられているものの、徐々に賛同者を増していると聞きます。発端は以前からありましたが、特に第一次トランプ政権、プーチン軍のウクライナ侵略、シリアや中東からの大量難民とアフリカ・南米難民の激増。これらが各国経済を圧迫して自国労働者らに大影響を与え、国内の経済的格差の拡大とグローバルな格差拡大を押し上げました。そうしたなか、地球の温暖化を否定する自国第一主義は、ほぼ経済再生のために化石燃料への依存に戻ろうとしており、今後ますます温室効果ガスが増えて地球高温化が促進されるでしょう。

 

 今や、これまでの民主的な論理が通用しない暴力的世界がやって来るのでないかと多数の人が恐れています。その上、日本では国の借金が異常に膨らみ、この間イギリスの有力紙が危機的な日本経済の論説を紙面に載せたところ、論説が消去されました。日本政府かどこかから圧力がかかって削除を迫られたのでしょう。記事が客観的なこととして世界で読まれたら日本は大変なことになると介入したのでしょう。今、日本の実態はどういう所にあるのか、隠蔽なしに包み隠さず知らせてほしく思います。

 

 世界的な危機、そして日本経済と政治危機。今日は気が重くなることばかり書いてしまいました。いずれにせよ、世界の人々が今の事態に目覚めなければ、どうにもなりません。長い目で見れば、闇の力は光に勝つことはなく、悪が善に勝利しないと私は確信していますが、それが一日も早く来るように願っています。

 

 「『然り、私はすぐに来る。』アーメン、主イエスよ、来りませ。主イエスの恵みがあなたがたすべての者と共にあるように。」(黙示録22章。聖書全巻の最後の言葉)