映画感想 「最後のフェルメール ナチスを欺いた画家」 & 「ナチスの愛したフェルメール」 | 映画や芝居の感想

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山田五郎の「大人の教養講座」をYouTubeで毎週見ているので

メーヘレン贋作事件を題材にした映画ということでこちらを鑑賞。

 

アマプラで399円でした。

「最後のフェルメール ナチスを欺いた画家」 

///アマプラより////

 

第二次大戦終戦後のオランダ系ユダヤ人のジョセフ・ピラー大尉(クレス・バング)は、戦争中に盗まれた美術品を捜査する任務に就いた。貴重なフェルメールの絵画を史上最高額でナチスに売りつけた罪として、美術愛好家ハン・ファン・メーヘレン(ガイ・ピアース)を突き止める。 死刑相当の重罪となる対独協力罪として、助手(ヴィッキー・クリープス)と共に捜査を進めていく中、事件の真相は思わぬ方向に進んでいく。
監督    ダン・フリードキン
出演    ガイ・ピアース, クレス・バング, ヴィッキー・クリープス

 

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正直、山田五郎さんの話の方が面白かった。

映画だと一貫性がある人間のように描かれるんだけども五郎さんの話だと人間の揺れが見えてもっと面白い。

裁判でもメーヘレンが最初は「イタリアの富豪から頼まれて販売」みたいな言い逃れをしていたっていうのが山田五郎さんが解説していたから真実だと思うけど、映画の方では最初から「自分が描いたんだ」って言いたくて仕方なかった感じで、しかも自身の哲学があってという印象。

 

映画の手法として、ハリウッドの裁判物には慣れているから入っていきやすいのだが、贋作か真作かの攻防をもっとドラマチックに作れたんじゃないかと。

オランダ映画の方では「売国奴の弁護人になるやつなんかいない」 ってなってたのにこのハリウッド版では弁護人が主人公になっている。 そして最後に弁護人のその後も語られるので弁護人はいたんだよね?

オランダ版はなぜに史実と反したことをわざわざやるの?? は不思議だった。

 

あと、肝心の贋作の画がこの2つの映画でなんだか違うんだよね。

あれ?? 絵の再現ができない? どっかに捨てられた?

 

あと、この絵なんだけど、どちらの映画でもメーヘレンはそれなりの才能があった(独創性はないにしても)というのだがこの絵、、、、どこがいいの? 体の向きもぎこちないし、キリストの表情もさえないし、、、パンもまずそう。正直フェルメールの絵と言われても、昔は下手だったんだなぁ 、、って感想になるくらいなんですが、、、、。

 

また「贋作」って、あるものを似せて書くことだと思っていたけど、全く新規に創作したものを有名画家の作っていうのもありだったんだね~。 ほんとに驚き。

 

一方この映画の前にアマプラで無料で見た

「ナチスの愛したフェルメール」では、自身を酷評したエリート鑑定や評論に苦しみ、飲んだくれ落ち込んでいった姿が描かれている。 ハリウッド版はしゃれおつなおやじで、こっちはかわいそうな盲執なおやじ。羽振りの良さもなんだか雲泥の差。主人公の作りこみに隔たりがあって元が同一人物とは思えない。 どっちがいいってことではなく真実に近い姿で描いてもらえないものだろうか。 十分面白い事件なので脚色はいらないんじゃないかと。。

それでフェルメール研究してたお偉いさんの奥さんを寝取ったのは事実なの? 全くのフィクションなの? 結構重要なポイントとなっていたので気になるところだ。

 

ハリウッド映画の構成に慣れているので多少観にくさはあるものの、オランダ版のこちらの方が芸術家の苦しみが描かれていたと思う。最後に署名偽造詐欺で罰金を言い渡され、「同じ絵なのに!」というメーヘレンに対し、裁判官が「フェルメールとメーヘレンの差だ!」と言い放つ。

芸術ってなんだ。絵画とはなんだ と問いかけがあり、評論家に相手にされないばかりに埋もれてしまった才能へのレクイエムになっているもの。

 

ただ、、、上にも書いたけど非常に残念なことにメーヘレンさんの画がどうも今一つで。

 

あと、こちらの映画では何度も何度もメーヘレンの画の凡庸さ、独創性のなさが語られるんだよね。 

 

以上、予習万全。今週末の五郎さんの第2弾の解説が楽しみです。