やっぱりとってもだいじだとおもうもの。
当日記筆者の勤め先は、コロナ禍で始まったリモートワークが今でも続いております。まぁさすがに、当初の“緊急事態宣言”が頻繁に出た頃の「オフィスへ来るのは最小限にせよ」という状態ではなく、「時々はオフィスに出てきましょう」というスタイルではありますが(実際、筆者の場合で半々程度です)、それでも2010年代のオフィスの光景にはもう戻らないんだろうな…という感じになっております。
そうやって、リモートワークに巻き込まれてからもう4年も経つというのに、、、
SlackだのMeetだのZoomだのといった、テレコミュニケーションの手段が掃いて捨てるほどあるというのに、、、
“生”とか“直に”でないと伝わりにくいニュアンス等々は、やっぱり存在するんだろうなという感覚がずーっとありまして。
生業の世界だけでなく、当日記のメインコンテンツである“おと”や“ぶたい”も、そういったところは当然に存在し。。
もちろん、“緊急事態宣言”下では、やむを得ない手段として「配信公演」は使われましたし、現時点においても、どうしても都合がつかない等々というときの救世主であるのは確かではありますが、これまでたびたび書いてきた通り、どうしてもそれぞれのステージが発する熱量は、やっぱり“生”とか“直に”受け取る方が格段に心地よいと感じます。
同じように思い感じる人々、ここにあり…という公演だったかもしれません。
ということで、久々にソロ名義としての神原晶さんの舞台であります。
この晶さん、昨年の当日記にも、少なくとも3度は登場しているはずですが、いずれもユニット「3card!!」での「リーディング公演」でして、ちゃんと演技しているところを観るのは、おととしの夏以来ということになります。
#いわゆる“オフ会”系のイベントは
当日記では原則カウントしておりませんので、
このような感じになります。。
もしもそれらを加えたならば、
筆者、もうお世話になりっぱなし…です
この公演、お題を示した看板は掲げられておりません。
普通に会場となったバーの看板があるだけ。
で、その風景の通り、本物のバーでの公演。入場するとまずはこのようにワンドリンクから。。
カウンター(ここと厨房部分がステージになります)と、その後方の“客席部分”を足しても20人強くらいでいっぱいになる感じ。数字だけ見ると「少なっ!」ではありますが、そもそもがバーなのでお店自体はこじんまり。ぎゅぎゅっと詰まった雰囲気なので、開演までに結構賑やかな空間へと変わっていきました。
物語はバーの中。
まずは、カウンターでお仕事中のCMクリエイターとマスターが登場。
フライヤーにもあるイメージセンテンスの通り、その会話には愚痴も混じります。
CMクリエイターといえば、その陽キャな部分のほうが目立つという印象がありますが、ここに出てくるアイスさん、それとはちょっと違うみたい。。どうも筆者の生業に似てる感があります。そして、語られる愚痴は、裏方稼業の筆者の生業から出てくるであろうそれと相通じるものがありそうな。。
しかし、こういったお酒が入る空間というものは、いろんなひとが交わる空間であるわけで。
それぞれに陰陽を抱える、映画制作者アブさんに中学校の先生であるマリエさん、そして美容整形外科の女医さんの古南先生。
さらにはバーのママであるミカさん…という4人が、少しずつ、陰キャと思われる部分から生まれる、アイスさんの堅さをほぐしていきます。
それぞれには全く生業が異なる4人。でも、共通しているのは“陰”の部分もだいじにしていること。そのほぐしかたは「だから大丈夫」という、シンプルだけど魔法のエッセンス。
もっとも象徴的だったのは、古南先生の“ココロを整形する”香水だけれど、、
アブさんのあっけらかんとした部分に
マリエ先生の笑顔と優しさ。。
ミカママの愛情いっぱいのハグ。。。
“陰”を知っているからこその感情。
こういうご時世だからこそ、絶対に必要なもの。。
バーでじ~んとくるなんて、、と思うかもしれませんが、本当にそうでした。
モチーフにはもう一つ、ゾンビが登場してきますが、これはココロを奪われてしまった人間を象徴するものとして描かれているようで。普段ゾンビっぽく仕事をしているとまでは思いませんが、時として出会ってしまうギスギスとした場面には、こういう感情が見え隠れしているのかもしれませんね。
さて、晶さんの役どころはマリエ先生。
その設定は、晶さんの素のまんまに近く、久々にお見かけする“演技しているお姿”としてはとっても良きもの。
観客は、実際のバーのカウンターで演じられる舞台を、同じ店内の後方部分から観る感じですので、どうかすると目の前10センチくらいのところで、演者さんが発する感情が放たれていきます。否が応でもそれぞれの演者さんに感情移入、しちゃいますよね。。
そして、感情移入したまんま突入した後半…というか、、
もともと、3時間強の“公演時間”のうち、ステージ後の2時間分が「飲食イベント」という案内ではあり、このようにメニューがガラッと変わって、、
ドリンクメニューには、ステージ中に出てきたカクテルが登場して、いよいよこのバーの雰囲気に没入できる感じ。。
(実際のステージ中ではノンアル仕立てだったそうです)
↑これはマリエ先生バージョンの「アメリカンレモネード」
だったはずなのですが(笑)
こんなおあてが出てきたら、それは当然のように“少々カオスな新年会”に早変わり。
出し巻きたまごならぬ「推し巻きたまご」。
指名した推しの演者さんがだし巻きたまごを作る…という趣向(笑)
ちなみに、上の写真のそれは、筆者がオーダーしたものでして、当然ながら晶さん作であります
ま、その場のお写真はオーダーした当人以外NGでも、作っているところを観るのは自由。。
従って、だし巻きたまごのプレーヤー…、いや、作者が変わるたびにギャラリーがいっぱい(笑)
コロナ禍で登場した「リモート飲み会」なんてものは、落ち着きを取り戻してくるにつれて、いまではほぼ聞かなくなりましたが、それは、この場の雰囲気を感じ取れば明らかなことで。意図的にバッサリ切ることはないけれど、感覚的にやっぱりそういうものは成り立たないとわかっているからでしょう。
このお話の作者さん=当日のPAさんでしたので、店内の演者さん+スタッフさんは総勢7人。
晶さん以外の方々は完全にお初だったのですが、劇中からそのまま飛び出してきたかのような柔らかな雰囲気をお持ちの皆さんでした。こういう人々だと、やっぱりみんなで意気投合するのかな。
最後まで賑やかな店内なのでした。
こういう光景を「ステージの上だからでしょ」と言ってしまうのは簡単かもしれません。
ですが、どの世代のひとも多分欲しているものであろうことは、容易に想像できるわけで。。
とかくジェネレーションギャップ等々がクローズアップされがちなご時世ですが(おやじギャグには気をつけますです、ハイ。。。)、アップデートしつつもその本質はきっと変わらないはず、、と思うのでした。
また立ち寄りますね、このお店。