ケララの家庭料理の話
ケララつながりでケララ料理の話!!
※ケララ料理とはインド最南端の州、ケララ州で食べられている料理のことです。
インタビュープロジェクト、Diggin'では、
浅草の南インド(ケララ)料理店、サウスパークを舞台に
ケララの家庭料理のお話をたっぷりと聞いているんですよね。
南インド料理に興味のある多くの皆さんに読んで欲しいので、
(料理の話を中心に抜粋し)こちらのブログでも紹介してみます。
長文ですが、ぜひ、最後まで読んでみてくださーーーい!!
※全文を読みたい方はDiggin’をチェックしてみましょう。
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サウスパークのキッチンを仕切る奥様4人がきてくださいました。みなさん美しいドレスで素敵です。
紫のサリーはミニーさん。今日はココナッツフィッシュカレーを作ってくれました。奥様の中で一番日本語が達者です。
ピンクのサリーのディーパさん。玉ねぎのティーヤルを担当してくれました。
グリーンのサリーはニミタさん 。子供の頃、初めての料理はサンバル覚えたそうですよ。ココナッツチキンカレーを作ってくれました。
赤いサリーのアーシャさんはベジタリアン。旦那さまは肉も魚もいける口だそうです。今日は里芋のカレーを担当なさっていました。
アディティちゃんは11歳。飛び入り参加してくれました。ミニーさんの娘さん。日本語も英語もすごくきれいで上手です。
ス
僕はインド料理を作るのが好きで、ケララの料理も調べてよく作るんですけどティーヤルってもう一つよくわからないんですよね。ティーヤルはどんな料理ですか?モールはヨーグルトのカレーですよね。ティーヤルは、、、
デ
今日のティーヤルは玉ねぎのカレーです。フライドココナッツと玉ねぎを使います。だから少し黒い色がつきます。ローストしたココナッツの色ですね。それがベースです。
ス
なるほどローストしたココナッツ!今日は玉ねぎのティーヤルですね。それでティーヤルはほかに何を入れてもいいんですか?
デ
コリアンダーパウダー、チリパウダー、ターメリックパウダー、トマト、タマリンド、そういうものがベースになる材料です。
ス
たとえば今日は玉ねぎがいっぱい入ってますね。ポテトとかを入れちゃダメ?
デ
それならじゃがいもじゃなくて、たとえばナスとかドラムスティックとかのティーヤルはあるんですよ。
あ、やっぱりあるんですね、具材の違うティーヤル。
そういえば今日のメニューの中にはサンバルとラッサムはないですよね。サンバルは普通は毎日出るものではないんですか?
ミ
毎日ではないですよ。ラッサムも毎日ではないですね。
ア
毎日ではないわね。
二
うふふ、、、(頷く)
ス
どれくらいの感じなんでしょう?
ミ
うーん、1週間に1回とか、、、
デ
うん、1~2回ですね。
ス
へえー、そうなんだ。僕たちは南インドの日常を知らないので、皆さんは毎日サンバルを食べて毎日ラッサムを飲んでいるって勘違いしている人が多いんですよ。
ミ
わたしはケララですが、チェンナイの人は毎日サンバルとラッサムを食べている人が多いですよ。私たちは毎日違うものをね。
デ
今日はカリー、明日はサンバル、、、
ミ
毎日サンバル、というのはないです。
(一同頷く)
ス
ベジタリアン料理が多いですか?
ミ
ここではアーシャさんがベジタリアンですよ。
ア
私はベジタリアンですけど主人はノンベジなのでお肉料理も魚料理も作れますよ。
ス
ベジタリアンということですがお肉料理などの味見はどうしてます?
ア
しませんよ。口には入れません。グレイヴィを作ってそこまではベジなので味見をして、その後に肉や魚を入れて完成させます。
あっ!なるほどお!そうなんだ。そうなんですねえ、グレイヴィだけ。なるほど、うわーすごいスッキリした。味見しないとわからないですよねえ。どうしてるんだろうと思ってました。
ア
それはそうですね(笑)
(一同笑い)
ア
そして自分用のベジ料理はまた別で作るんですよ。
ス
うん、そうか、成り立ちが違うものですもんね。
さっきアディティちゃんに少し聞いたんですが、小さい時に料理なんかを作りたくなるでしょう?でも初めは作り方はわからないですよね。それで、インドの女の人たちはすごく料理が上手なイメージがあるんですが、何才くらいから料理を覚え始めるんですかね?
ミ
興味がある子供は早くから覚え始めます。(アディティちゃんを指差して)うちの子は早かったですよ。
ス
必ずやらせるとかじゃなくて、、、
ミ
そうです。ママが作っていると子供達がやってきます、ママの料理を見ていて「わたしもやりたい」って言い出して、それで少しずつ手伝わせてあげます。お嫁さんに行ってから慌てて覚える人もいますよ(笑)
*
奥様たちは大爆笑。アーシャさんはのけぞって大笑いしています。うーん、こういうのは日本もインドも同じくあるんですねえ。サウスパークの奥様たちはもちろん小さい頃から料理の腕を鍛えて美味しいものをたくさん作っています。
ス
子供の頃に覚え始める料理ですが、何から教えてもらうんですか?
ミ
チャイですね。
ス
それは普通のチャイ?マサラチャイ?
ミ
普通のチャイです。
(一同頷く)
ス
うんうん。えーと、では飲み物じゃなくてお料理、一番最初に作れるようになった料理って何か覚えてます?
ミ
わたしはカレー。エッグカレーです。
デ
わたしはプットゥ。
ス
おお!ディーパさんはプットゥですか!あの、細長いにゅって出てくるごはん!
デ
そうですそうです。
ス
アーシャさんは?
ア
アヴィアルです。
ス
アヴィアル!ココナッツヨーグルトカレーですね。
ア
あと、野菜が入ってますね。
うんうん、そうですね。じゃあ、ニミタさんは?
ニ
サンバルです。
ス
ああ~!サンバル。サンバルって初めて作る料理としてはちょっと大変じゃないですか?豆を始めに仕込んで、それから野菜もたくさん使って、、、
ニ
ちょっと大変ですよね。
ミ
うん、ちょっと手間です。やることが多いですね。
ア
でも、サンバルはベジタブルカレーの王様ですからね!ベジタリアンにとって一番重要なカレーなんですよ。
*
うん、さすがアーシャさん。ベジタリアンの人が言うととても説得力があります。野菜カレーの王様はサンバル。そうかもしれません。
ス
僕も家でインド料理をよく作ります。サンバルでしょ、ライス、ポリヤル。これで基本の3品で、これで完成でもいいですけど、でもこれだけだと寂しいですよね。ちょっと少ない。
(一同ニコニコと頷く)
ス
それで、そこにラッサム、ダール、もう少し頑張ってアヴィヤル。これくらいあると楽しいですよね?!でも、これだけ作るとすごく大変だと思います。皆さんはどうやってたくさんの種類の料理を作ってらっしゃるんですか?毎日何種類くらいの料理を作ります?3つくらい?
毎日、、、うーん、、
デ
ノンベジの料理を一つ、グレイヴィのカレーを一つ、ポリヤルと、パッパルと、フィッシュフライと。
ス
だいたい4種類くらいとパッパルですね。
ア
あと忘れちゃいけないのはピックル。それとヨーグルト。
ス
あ!そうか。どちらもインド料理だと欠かせないですね。
*
ノンベジの料理は例えばお肉の炒め煮のようなカレー、それにグレイヴィ、汁っぽいカレーと、ポリヤルは野菜炒めです。パッパルは豆の粉のおせんべいのこと。これは売っているものを買ってきて揚げるだけです。フィッシュフライは日本の焼き魚をスパイスで仕上げる感じに似てるかもしれません。例えばポリヤルは炒め物だから毎回作らなきゃいけないですね。カレー2種は作り置きで2日くらいは保つでしょう。おせんべいは簡単です。揚げるといってもフライパンに薄く油を敷いて揚げ焼きでも仕上げられます。でもこれだけ作るのは結構大変ですね。ピックルはまとめて作ってストックですね。
ア
ピックルとヨーグルトはいつでもあって、あとは毎日作るのはポリヤルだけとかね。
ス
ああ、日本と同じだね。毎日作るのは無理だもの。そりゃあそうです。
ア
色々なお母さんがいて、土日はみんないろいろ作りますけど平日は品数は少なくなりますよ。あと、働いているお母さんもいますからね。
ス
うん!そうですよね。
あの、インド料理って作るのなんであんなに時間かかるんですか?
(一同笑い)
ス
玉ねぎをたくさん時間かけて炒めるでしょ、ガーリックもそうでしょ、トマトも、、、
ア
それはやっぱりフレッシュから作らないとちゃんと美味しくならないからですねえ。
ス
それはそうですね。美味しい方がいいもんね。
例えばですけど、作りすぎるときなんかがあるじゃないですか。いっぱい作って料理が余ってしまって、それはどうしていますか?次の日食べるんですか?
ノンベジは次の日でもオーケーです。食べられますね。ベジはあまり良くないです。毎日作りなさいってお母さんに教わりましたよ。
ミ
朝ごはん、昼ごはん、夕ごはん、それを上手に回せばその日のうちに食べきれますよ。
ス
でもありません?どうしても余っちゃう時とか、、、
ミ
そういう時は自分で次の日に食べますね。家族には新しく作ってあげます。旦那様はね、ほら、、、
ス
ああ、そうかあ。なーんだよ、昨日のと同じじゃないかあ、なんてね(笑)
あ、なんかそれ日本の奥様たちと同じですねえ。
ア
そうなのよ!(笑)
ス
うわあ、大変ですよねえ、それは!
(一同笑い)
ス
冷凍庫、フリーザーがあるじゃないですか。日本だと結構冷凍食品があったり作ったものを冷凍保存したりするんですが、インドではみなさんどう使ってらっしゃいますか?
ミ
インドでは冷凍庫はあまり使わないですね。料理をする前のお魚の保存とかね。
ア
アイスクリームと氷オンリーです(笑)
ス
デザート専用ですね(笑)いやあしかし、厳しいですねえ。基本は毎日作る、フレッシュから作る、なのですねえ。
ミ
基本はマーケット、スーパーじゃなくて市場で毎日フレッシュな野菜や肉、お魚を買う。その日買ったものを調理する、ですね。
ス
日本ではなかなかできないですよねえ。そのスタイルでは難しいでしょう?
ミ
そうですね。でも御徒町とかに行ったりしますよ。
ス
あ、なるほど。市場に似てますね。
僕はインド料理を作るのが好きなんですけど時間がなかったり大変だったりというのもあるのでたくさん作って冷凍でストックすることも多いんですよ。
それで、食べる日は何種類かその場で作って、それだと少ないから前作ったものを解凍して合わせて食べるんです。これ皆さんがやったら旦那さんに怒られちゃう?
(一同爆笑)
ア
ダメです(笑)
ス
さっきディーパさんがプットゥっていう話をしてましたよね。皆さん朝ごはんは、、、
デ
プットゥ、イドゥリ、ドーサ、アッパム、ウッタパム、プーリ、、、
ス
ティファンですね!
こういうのも全部自分で作るんですか?今はミックスも売っているでしょう?箱に入ったパウダーの、、、
ニ
そういうのは使いませんよ。
ス
全部グラインダーで?ココナッツ、豆、米、、、
ミ
そうですね。粉を作ります。それから作る。ミックスフラワーは使わないですね。
ス
ケララの人はみんなそれを覚えるんですね?
ミ
そうです。
ス
電動グラインダーもありますね。ミキサーも。
ア
でも昔からあるグラインダーでもやりますよ。ハンドルのついた石のリングのタイプ。
ス
ああ、あれだ、クラシックスタイル。フィットネスに使うような!
(一同爆笑)
*
石で出来た車輪の真ん中に1本棒が通ってて、ゴロゴロと前後に動かすあれですね。フィットネス関係の通販で輪がゴムとプラスティックでできた腕と腹筋を鍛えるものがそっくりの形をしています。
日本の人でもティファンを自分で作る人がいますけど、困ってることがあるんですよ。ドーサとかは発酵生地じゃないですか。その発酵の温度管理とかが難しいです。日本はケララより寒いですし。
ミ
ホットボックスってわかりますか?発行を促すための入れ物です。インドではそれを使うんですよ。
ス
日本では売ってないですよねえ。
ミ
日本ならシャトルシェフってありますよねえ。
ス
ああ!あれだ!保温鍋。一度火にかけて、あとは保温ケースに入れて余熱で調理するあれ、、、なるほど!!
ミ
同じ原理ですから使えますよ。
ス
そうかあ。納得です。でも日本だと寒いし発酵が上手にできないことが多いんですよね。
デ
前の日にグラインドして粉を作って生地は前の日から仕込むんですよ。長く時間をかけて発酵させます。例えばオーブンを少し温めて、その中に入れて翌日の朝まで置いておいたり。
ス
そうかケララだったら2時間で発酵もちゃんとするからその日に作れるけど日本は寒いので長い時間をかけないとちゃんと発酵しない、だから時間をかける、ということですね。
(一同うなずく)
ス
日本でインド料理を作るときに、何が一番困りますか?材料が見つからなかったり、高かったり。例えばガーリックが違うし玉ねぎはホワイトオニオンしかないですよね。ココナッツもなかなかフレッシュが売ってないですよね。
ミ
うん、そうですね。まず、魚の味が違うんですよ。取れる場所、海が違うと魚の味が変わります。インドでいつも食べている魚は日本ではあまり売っていないんですよ。料理すると味が違ってきてしまいます。野菜も同じです。
ス
材料の味が違うのが難しいんですね。日本も野菜の種類はたくさんありますけどインド料理に使う野菜とは違いますよね。
ミ
日本の玉ねぎは水分が多いですね。トマトも違う。でもそういうのは大丈夫です。調節をします。困るのはドラムスティックがないことですね。ドラムスティックの葉は特に手に入れにくいです。ヘルシーですごく美味しいんですよ。
(一同うなずく)
ス
ドラムスティックの葉!知らなかった!食べたことないです。ドラムスティック自体そんなに食べたことがないからわからないんですが。
ア
ドラムスティックは、それ自体、葉っぱ、花、みんな食べられてみんな美味しいですよ。バナナの花も料理しますよ。
ス
バナナの花も!あ、そういえばバナナで思い出しました。バナナの葉は今でも食卓で使いますか?
ミ
使いますよ。プレートの上に敷きます。ビリヤニの時に下に敷いたり、神様のお祝いの時にも料理を載せたりします。
ス
ああ、プージャでね!
ア
おうちの外に行ってバナナの木からパキッと折ってとってきて洗って使うんです。フレッシュじゃないとね。
ミ
そうね。あと、ドラムスティックとかカレーリーフも外に行ってパチンと折ってきて使いますよ。フレッシュが一番!
ス
ああ~外にそういうのがみんな生えてるんだ!いいなあ、すごいなあ。
ア
あとはグリーンチリね。ケララの小さい種類のチリなんかもありますよ。小さくて、とても辛くてフレッシュで美味しいんです。カンダリと言います。
デ
ヘルシー&スパイシー、ですね!
ス
そうだ、辛さの話し。今日の料理はそんなに辛くないですよね。しいて言えばニミタさんが作ったココナッツチキンカレーが少し辛さが強いくらいですよね。これは旦那様の好みで決めるんですか?自分に合うちょうどよさとか、、、
ア
私自身はそんなに辛いものは好きじゃないですよ。ベジタリアン料理はあまり辛くしないです。ミディアムスパイシーでフラットに作ってあとはチリで好みに調節したりします。ある程度辛いのはノンベジの方のケララ料理ですね。
ス
ああ!それわかります。ケララに旅行に行った時に色々なものを食べましたけど、肉料理は結構辛いんですよね。他のものはそんなに辛くなかったですよ。
ア
ノンベジタリアンの料理にはモールを合わせることも多いです。モールはヨーグルトベースのカレーなので辛くしていません。これを混ぜたり途中で食べたりして辛さを調節、バランスをとります。
ス
へぇー、モールでバランスをとるんですね。勉強になります。
みなさん自分のお母さんから料理を習いますよね。それで、結婚すると旦那さんと一緒に暮らし始めるわけですが、旦那さんのお母さんの料理も覚えなきゃいけないんですか?
ミ
そうです。自分のお母さんの味を覚えてきて、それと別に旦那様のお母さんに教えてもらった味も覚えるんですよ。
ス
アーシャさんはベジタリアンですよね。旦那さんはノンベジで。そういう時はどうやって教えてもらうんですか?
ア
旦那様に教わったり味を見てもらったりしますよ。自分では肉などが入ると味見が出来なくなりますから。
ス
なかなかそれは大変ですねえ。
そうだ、アディティちゃんはお母さんからどんな料理を教わってますか?
アディ
インドの料理はあまり興味がなくて教えてもらってなくて、フレンチトーストとか。
あと、ごはんが(インドのごはんと違ってて)味が美味しくて好き。あと好きなのが唐揚げとかコロッケとかハンバーグとか照り焼きが好き。
ス
そうだよねえ、美味しいもんね。
ミ
うちの子はインド料理より日本の食べ物が好きみたいなんです(笑)
ス
そうかあ、子供の世代になると日本の料理が好きになったりするんですねえ。給食なんかもありますもんね。
アディ
お餅も好き。
ス
そうか、お餅はインドにはないですよねえ。
ミ
お餅はないんですけど似たものがあるんですよ。コラカタっていいます。お餅みたいに伸びる感じではないんですが、ライスパウダーとココナッツファインとジャガリで作ります。ボール状にして蒸すんですよ。
ス
それは知らなかったです。知らない料理はまだまだ多いなあ。
今度は結婚のことを聞かせてください。インドの人はお見合いが多いじゃないですか。えーと、マリッジミーティング、です。お父さんが旦那さんを決めて連れてくることも多いですよね。
ミ
そうですね。
ス
その時に旦那さんのお母さんや家族に料理のテストをされるって聞いたことがあるんですがあれは本当?新しいお嫁さんが料理ができるかどうか試すタイミングがあるって聞いたことがあるんです。
デ
ないですないです。
ス
ケララではないんだ?
ア
ないない。ないですよ。
ス
ああ、違うんだ、ないんですね。
じゃあ、いつ初めて旦那さんのお母さんに料理を食べてもらうんですか?
ミ
そういうんじゃなくて、一緒に暮らし始めて、旦那さんのお母さんと一緒に料理を作ります。どちらかが作るっていうのじゃなくて一緒にね。味見とかテストとかじゃなくてね。
ス
ああ、なるほどなるほど、そうか。一緒にね!なんか勘違いしてました。そういうのがあるのかなあって思っていたんです。
ア
日本ではそういうのがあるの?
ス
いえ、ないですよ。少し前にこのシリーズのインタビューで西インドの人にそういう話を聞いたことがあったんです。カンダポヘとかを作ってお母さんが味見をするとか。
ミ
地域によってそういうのがあるのかもしれないですね。
ス
うん、そうなんでしょうね、これは。
あ、そうだ、チャパティ。チャパティがちゃんと膨らませて綺麗に焼けるようになると一人前でお嫁さんに行く条件だよ、なんて話も聞いたことがあります。
ミ
地域によって食べるものも文化も違いますよね。それで違うこともあると思います。それと旦那様の家族になるとその家族のスタイルがあります。そのスタイルは覚えないとダメですね。
ス
日本人もインド人もそういう大事なところはおんなじですねえ。
最近僕は自分でチャパティをよく焼くんですよ。誰にも教えてもらってないんですけど、インドの人が作ってるYouTubeを見たりしてね。それで、始めは1~2分捏ねるだけだったんですけど、10分ぐらい捏ねるんですね、あれは。
(一同うなずく)
それで、たくさん捏ねてから焼くと上手くいくようになったんです。
日本の白い小麦粉だと1~2分捏ねて焼いてもうまく行くんですけど、アタでちゃんと作るときは1~2分だと美味しくできないんですよね。
ミ
あと、30分くらい置いておくといいですよ。
ス
あっ!そうなんですね。
ミ
こねるのは5分くらいで大丈夫で、そのあとに30分くらい置いてから焼くと美味しくできますよ。
ス
いいこと聞きました。本当にね、最近上手にできるようになってきてね、ほらこれ、写真見て見ます?綺麗にできてるでしょ?
ア
きれい!上手です。(拍手)
*
スパイシーさんはインドの奥様達にチャパティーの腕自慢の話をし始めました。奥様方も興味深そうに写真を見ています。アーシャさんからお褒めの言葉をもらってテンションマックス!今度はどうもうまくいかなかった時の原因を究明してもらい始めました。
ス
焼きながらぷくーっと膨らませるじゃないですか。あれでうまくいかない時があるんですよ。一部分だけ膨らんだり。なんでかなあ。
ア
それは多分ミキシング不足なのかも。
ミ
もしかすると生地の柔らかさが足りないのかも。そうじゃなければ水の量が少ないか、どちらかしら。
ス
ああ、少し生地が固いんですね、きっと。
ア
水を入れるときに柔らかさに気をつけながら少しづつ足していくといいですよ。それと火の強さです。なるべく強火でやる方がいいんです。
ミ
最初から最後まで強火でね。
ス
ああ、そうなのか。でもね、難しいんですよ。日本のガス機器は温度センサーがついていてあんまり熱くなりすぎると自動で止まりますよね。空焚き防止の機能です。
(一同うなずきつつ色々な意見が)
ス
インド料理を日本でやるときはみなさんあれを困ってる人多いでしょうね。
ニ
困りますね、チャパティを焼くときは。
ス
うーん、これは東京ガスに連絡しましょう。
(一同爆笑)
ス
話が変わりますがお弁当の話を聞かせてください。旦那さんのお弁当だったり、お弁当はよく作るんですか?
ア
バナナリーフのお弁当はとても美味しいですよ。
デ
バナナリーフで包むのはとてもいいですよ。ご飯を入れて、カレーを入れて、、、
ミ
色々入るけど分けないんです。おかずもごはんも一緒にね。
デ
ライス、セミドライ、ドライ、ピックル、チャトニ、フィッシュフライ、、、
フィッシュフライは別で包んでね。
デ
そうそう。
ス
たとえば学校にもこのスタイルで持っていくんですか?
デ
学校へはスティールのいくつかに分かれた、、、
ス
ああ!インドの3段弁当!!
デ
4段もありますよ(笑)
ス
じゃあバナナリーフのお弁当は?
デ
今ならピクニックとかに持っていきますし、あとは、昔の人が持っていたスタイルですね。
ミ
あとは長距離の電車で車内で売りに来ることもありますね。
ス
ダッバワーラー!!(お弁当屋さん)
ミ
そうそう。
ア
場所いらずでしょう?お弁当箱じゃないと捨てればいいですから。
ス
バナナの葉ならそうですね!
甘いもの、デザート、スイーツもみなさん作りますよね?
ハルワとかラスグッラとか、、
ア
ラスグッラは北インドですよ。
ス
そうだ!
アディ
パヤサム、いろんな種類があるよ。
ス
なるほどなるほど。フライドタイプのスイーツは北インドに多いですよね。
(一同うなずく)
ア
ケララで揚げたスナックならウニアッパム(Unni appam)というのもありますよ。茶色くて丸いたこ焼きみたいな見た目です。 米、ジャガイモ、バナナやローストココナッツで作る油で揚げたお菓子ですね。
ア
パーランプリ(pazham pori)というケララのバナナフリッターも揚げ物のスイーツね。インドのフライドスイーツはほとんどがライスフラワーで作ります。
ス
おお、米粉なのですね。
ジャックフルーツも使いますね。甘いやつ。
ス
ジャックフルーツは日本ではあまり売っていないんですよね。えーっと、缶詰ならみたことがあります。スリランカ産のやつかな。新鮮なジャックフルーツは美味しいんですか?
ア
美味しいんですよ。カレーでも使います。
*
ジャックフルーツは世界一大きなフルーツとしても知られます。大きいものは80センチ30キロになるものまで!スリランカや南インドにも多く自生していて東南アジア全般に見られます。ケララのマラヤム語のChakkaが語源なので南インドとは結びつき深い植物だと言えますね。ちょっとドリアンに似た形ですがくせはなく、その弾力ある果肉はあまり水分が多くなくて、ベジタリアンの人が肉の代わりに料理に使ったりするんですよ。
ア
トーレンとかポリヤルにも使います。ドラムスティックと一緒にすることもあります。
ス
うーん、興味深いですね。どんな味にしてるのかな。
そうだ、みなさんは南インドケララの方ですが、他の地域のインド料理は食べたりしますか?あんまり好きじゃない?
ミ
北インドの料理は食べますよ。でもナーンは食べなかったです。日本に来てから食べるようになりました。
日本の人はインド料理にナーンが必ず付いてくるというイメージを持っていますね?
ス
うん!そうなんですよね。ナーン&カレー。これがインドスタイルと思っている日本人はいっぱいいます。あとバターチキンカレーですね!あなたのオーダーは?バターチキン、ナーン!あなたは?バターチキン、ナーン!あなたも?もちろんバターチキン、ナーン!!(笑)
(一同爆笑)
ス
日本に来た時不思議だったでしょ?バターチキン、バターチキン、バターチキン、ナーン。
(一同うなずく)
ミ
なんでなんだろうって思いましたよ(笑)
ア
南インド、ケララ、タミルはやっぱりパロタです。美味しいですよ。
ス
ああ、そうですよね!美味しいです。僕もパロタは作りますよ。
ミ
そうなのね!すごいすごい。
ス
こうやって、こねてこねてコロコロやってヒモ状にしてそれを同心円にくるくるっと巻いて、、、バンバンッ!
(一同喝采!)
ス
パロタはすごくたくさん油を使いますよね。
ア
はい、そうですね。
ス
そうだ、一番最初に聞かなくちゃいけなかった。みなさんはケララですよね。ケララのどこ出身なんですか?
ミ
キャピタルオブケララ、ケララの州都です。ティルヴァナンタプラムと言います。
ス
日本ではトリバンドラムと言う通り名で呼ぶ人が多いですね。
ミ
わたし、ミニーとディーパさんはトリバンドラム。アーシャさんはアラプーラ。
ス
ニミタさんは?
ニ
コチです。
ス
同じケララでも料理や食べるものって違うんですか?
ミ
うん、違いますね。
ス
同じケララの中に順番でトリバンドラム、アラプーラ、コチって並んでますよね。これでも地域の中でちょっと違ったりしますか?
デ
違いますよ。例えばパン類のミックスの内容がちょっと違っていたりします。
ニ
あとは貝とかお魚とか、、、
ス
え!貝を食べる!?
ミ
アラプーラとかでは食べますよ。
ア
エビとか貝とか、私の生まれたアラプーラでは食べますね。
ス
貝はインドでも食べる地域は食べる?
アディ
海のものはいっぱい食べるよ。
ミ
コチは貝も食べますよ。
ス
貝、食べるんだ。日本の人は勘違いしてて、貝はインドの人は食べないって思ってるんですよ。食べる人は食べるんだね。ある時YouTubeで料理のムービーを見ていたらインドの女の人が貝の料理を作ってて驚いたんです。
ミ
アラプーラは食べるのは海水魚じゃなく淡水魚が多いですよ。淡水魚、とても美味しいです。貝は食べることは食べますけどあまり一般的じゃないかもしれないです。
アディ
あまり売ってないの。
ス
うーん、そうなんだ。アラプーラとコチでは比較的貝を食べるんですねえ。驚いた。
ミ
お魚はカリミーという名前のお魚をよく食べますよ。
ス
カリミー、カリミー、カリミー、、、マナガツオだ!ほら、これですよね。検索したら出てきた。日本のマナガツオとはちょっと違うんですね。いや、違うな。カリミーは淡水魚ですよね。だから違うね。
僕をこのレストラン、サウスパークに連れてきてくれた友達がトリバンドラム出身で、彼は料理をするんだけど彼の作るラッサムがちょっと違うんですよ。
ミ
ラッサムは本当にたくさんのスタイルがあるんですよ。本当にたくさん。
ア
彼女(ミニーさん)のラッサムはアメージングよ!
ス
おおお~!!
デ
トマトレスのラッサムもありますよ。
ス
トマトなし!
僕はインターネットでいろいろなラッサムを調べてたんですがココナッツラッサムっていうのも見たんですよ。
ア
それはココナッツを少し入れる感じのものですね。
ス
ああそうか、少しココナッツを入れるだけなんですね。
ア
ただ入れるだけでなくて、シーズニング(香りづけ)も違ってくるんですよ。
ミ
フレイバーが違えばシーズニングも変えるんです。
ア
食事の一番最後にラッサムをぐいっと飲んで終わり、というスタイルもありますよ。
ス
ああ、なるほど。ラッサムを飲んで、最後にヨーグルトを少し食べて終わり。
デ
違うの、ラッサムにヨーグルトを入れて飲むんですよ。
ス
ミックス??
デ
そう。それをライスにかけて食べるの。
ス
ああ、ああ、ラッサムライス。そうか!ごはんの上で混ぜないでラッサムに溶いてからかける!!
ミ
どっちでもいいですよ。
ア
人によってラッサムライスで終わりにする人もいればヨーグルトラッサムを飲んで終わりの人もいるの。
※抜粋は以上です。
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※アメブロの字数制限により抜粋してお届けしてみました。全文を読みたい方はDiggin’をチェックしてみてください!!