コリーン テイラー セン著 カレーの歴史 | スパイシー丸山「カレーなる365日」Powered by Ameba

コリーン テイラー セン著 カレーの歴史

久しぶりに本の紹介でもしてみまーーす。

 

原書房から2013年に出版となった

 

コリーン・テイラー・セン著 『カレーの歴史』というカレー本を

 

ちょっと前に近所の図書館で見つけ、

 

内容が(資料として)けっこく良かったのでネット通販で購入してみました!


 

タイトルからカレーというか、それに近いスパイスの料理の誕生が

 

詳細に書いているかと思ったのですが、

 

残念ながら、そこについては曖昧な記述止まりに・・・。

 

ま、

 

カレー(またはそれに近いスパイス料理)の起源に関しては

 

記録として残っているものが、見つかっていないので・・・

 

仕方がないですね。。。

 

リジーコリンガム著「インドカレー伝」同様、

 

現在に通じるインドの食の形式が作られた16世紀以降の

 

ムガル朝の話から詳細に書かれているのですが、

 

『ほとんどの料理は、彼らより先にインドにい侵入したイスラム教徒の支配者たちによってもたらせたものと変わりない(バーブルはデリーで自分が倒した支配者に仕えていた料理人を数人雇ってさえいた)』

 

と、あるように、

 

ムガル朝以前から、ムガル宮廷料理とされる

 

料理の基礎があったというのは、興味深かったです!!

 

 

 

さて、カレーのはじまり。

 

スパイシーさんが知るうる範囲だと、

 

東大名誉教授でカレー博士の辛島昇先生が

 

9世紀の南インドの碑文に書かれていた内容から、

 

9世紀には南インドにカレーが存在していた!

 

と結論づけていることが、記録を通じて言える最も古いものかと。

 

※それ以前にもカレーのようなものはあったのか?と辛島先生に直接聞いたことがあるのですが、先生曰く、あったのかもしれませんが、記録として残っていないので、断言できないです、と学者さんらしい答えが返ってきました。

 

興味深いのは

 

リジーコリンガム著「インドカレー伝」に書かれてあった一文。

 

バグダッド(イラク)の統治者(カリフ)たちのもとで発達した

 

ペルシャ料理のくだりで、こんなことが書かれていました。

 

『トルコ、アラビア、エジプトなど、イスラム世界各地の料理人がバグダッドに集まり、それぞれの地域の料理を宮廷料理のレパートリーに組み入れた。インドの料理人すら、713年にアラブ人に征服されたシンド(現パキスタン南部)からやってきていた。インドの料理人たちは信用がおけて創意に富むことと、とびきり香辛料の効いた料理をつくることで知られていた』

 

と、

 

9世紀より前の記録で、

 

713年には、とびきり香辛料の効いた料理、

 

つまりカレー的な料理を作っていたことがわかるんですよね。

 

今回はこの情報以上のものが得られるかもしれないと・・

 

少しだけ期待していたのですが、やはり・・、なかったかぁ・・(涙)

 

 

では、

 

資料的にどのようなものが貴重だったのか??というと、

 

世界のカレー情報が、

 

今までにないくらい詳細に書かれていたこと!!!!!

 

 

カレー大国のイギリスはもちろん、

 

北米やオーストラリア、トリニダード・トバゴ、ガイアナ、


 

アフリカ関連の情報もけっこく多く、

 

さらに、ヨーロッパのカレー事情がたくさん書かれてあったのは

 

ものすごい収穫でした!!!!!


 

かいつまんで、へぇー!!と思ったことを書くと

 

まず、アメリカ(北米)には

 

カレーの文化はほとんどないと思っていましたが、

※メキシカンヒンドゥーは例外。

 

そもそも、その多くはイギリスからの移民なので、

 

最初のアメリカの料理書には、

 

東インド風チキンカレー、ナマズカレーのレシピが載っていたり、

 

初期の料理書にも、マリガトーニスープや

 

チキンカレー、チキンプラオのレシピが載っていたんだそうな。

 

そんな流れもあって、

 

カントリーキャプテンチキンなるカレー料理が

 

アメリカ南部にはあって、


今でも人気なんだとか!!!

http://www.tasteofhome.com/recipes/country-captain-chicken

 

※2000年にはアメリカ国防省が戦場で兵士に配るインスタント食品のメニューにカントリーキャプテンチキンが加えられた!それくらい人気のようです。
 

恥ずかしながら、この料理は知らなかったです!!!!

 

 

ただ、アメリカ全土で考えると、

 

都市部にインド料理店はあるものの、

 

IMG_20161203_223024290.jpg

 

インド料理(やカレー)になじみがないのは事実。

 

『アメリカとインドの間に緊密な歴史的関係がなく、中華料理、メキシコ料理、タイ料理の店がいたるところにあるためスパイシーな食べ物への嗜好が満たされているからだろう。』

 

と、著者は結論付けていました。

 

 

北米つながりで、カナダ。

 

カナダも同様にイギリスからの入植者が多かったので

 

かつての料理書にはカレーのレシピがたくさん載っていたんだそうな。

 

イギリスからの入植者がほとんどだった

 

アッパーカナダ(現オンタリオ州)では公式晩餐会で

 

カレーやマリガトーニスープのようなアングロインディアン料理が

 

よく出されていたそうです。

 

2001年の国勢調査によると、

 

90万人超のインド系移民がカナダにいて

(多くがトリニダード・トバゴ、ガイアナ出身者)

 

そのほとんどがトロントとバンクーバーに住んでいるとのこと。

 

このような街では多様なインドの食文化が栄えているそうです。

 

 

オーストラリア。

 

イギリスからの入植者がほとんどだったので・・

 

北米同様、かつての料理書にはカレーのレシピ多数。

 

インド独立、スリランカの独立と内戦後、

 

アングロインディアン人やスリランカのバーガー人が

 

大挙して流れ込んできたそうな。

 

下の写真のキーンズのカレー粉は

 

IMG_20161203_223023753.jpg

 

今もオーストラリアで人気のカレー調味料のようですね。

 

 

以前もブログアップしたことがあるのですが、

 

諸外国にあるカレー文化の多くは

 

イギリス支配下にあったインドにおける事実上の奴隷制度、

 

長期契約労働(1838~1919年)により海を渡った

 

インド人によるものが、ほとんどだったりするんですよね!!!

 

 

長期契約労働??という人も多いと思うので、少し説明してみます。


1833年、

 

自由主義的改革の一つとして実現した(黒人)奴隷制度の廃止。

 

制度廃止により各地のプランテーションでの労働力不足が起きますが、

 

これをインド人労働者によって補おうというのが

 

インドの長期契約労働。

 

小作農が法的拘束力のある契約を結び、

 

5~7年の間、労働力を提供し、その代償として、宿所、食料、医療品、

 

衣類、最低の賃金、渡航費用が与えられる制度だったのですが、

 

国から出て行ったら最後。。。。

 

ほとんど祖国へ戻れない、事実上の奴隷制度だったんですよね。。。。


制度とともに150万人がインドを離れ、

 

世界各地にインド人が散らばり

 

それとともに、彼らの食文化も1843年からモーリシャス島へ、

 

1845年から英領ガイアナ、トリニダード島、ジャマイカ島、

 

1870年代からは南アフリカ、

 

およびフィジー島へと広まっていったのであります。
 

 

 

話を本に戻しまして、

 

ソカミュージックなどで知られるトリニダード・トバゴですが、

 

人口100万人のうち、

 

インド系住民はなんと全体の40パーセント!!!!

 

残り40%のアフリカ系、20%が中国系、

 

数パーセントのヨーロッパ系、中東系で構成されていて、

 

料理もこれら全ての要素が組み合わさったもの。

 

とはいえ、40%もインド系なだけあって、

 

カレーに代表されるインド料理は国民のシンボルとされ、

 

カリプソやソカの歌詞にもなっているんだそうです!!!




ソカミュージックは好きで、一時期よく聞いていたのですが、

 

インド系が40%も占める国とは、

 

全く知らなかったですね!!!!!!!!

 

 

南アフリカに代表される、アフリカ系の話も

 

情報量は少ないものの、

 

ウガンダ、ケニヤ、モザンビーク、アンゴラ、

 

エチオピア、エリトリア、ナイジェリアなど、

 

東アフリカ、西アフリカの話が書かれてあったのは貴重すぎでした!!

 

タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポールなど

 

東南アジアのカレー事情はかなり詳細に書かれていて

 

これまた、資料として重宝しまくり。

 

 

ヨーロッパ編では、

 

以前、ブログアップしたスリナム共和国の宗主国である

http://ameblo.jp/maruyamashu/entry-12189974039.html

 

オランダでのカレー事情をはじめ、
(スリナム料理としてカレーが食べられている)

 

インドのゴアを16世紀から20世紀半ばまで支配していた

 

ポルトガルでは、へんぴな田舎でさえ

 

スープやシチューの味付けいカレー粉を使っている!!

 

という初めて聞く情報や、

 

ポルトガルのゴア料理レストランの情報も掲載。

 

カリーブルストでおなじみドイツのお話しもいっぱい載っています。

 

 

そして、インドとの歴史的背景がないのに

 

異様にカレーを愛する、日本についても

 

かなりのページ数を割いて紹介されていました!!!


 

日本にカレーライスを伝えてくれたイギリスについては

 

インドを支配していた時期から、

 

国内でのインド料理やカレーの盛り上がり、その歴史について

 

かなり詳細に書かれていましたが、

 

書かれている内容は、イギリス国内でのインド料理の話。

 

※イギリスでカレーと言えばインド料理のカレーのことになります。

 

 

日本に伝えてくれた、

 

西洋シチューとカレー粉が融合した

 

インドのカレーとは似て非なるカレーライスが

 

どれくらい親しまれていて、どのように衰退していったのか・・

 

一番気になる、このカレーライスの部分が全く書かれていなかったのが

 

ちょっと残念でしたね・・(苦笑)

 

※かつてのイギリスにあったカレーライスについて書かれている書籍はほとんどないのです。。。調べていると、あのカレーライスという食べ物は、ある時期のイギリスで流行った、亜流の特殊な食べ物。本物志向となってからは見向きもされなくなり、いつの間にか衰退。インドスタイルのカレーしか食べられなくなっていったようです。

 

 

とはいえ、

 

総合すると、リジーコリンガム著「インドカレー伝」以来、

 

久しぶりに充実した内容の、読み応えのある1冊でした!!!!!

 

カレーを深く学びたい方,、

 

カレーに関する資料が欲しい方にもオススメなので、

 

興味のある方はぜひGETしてみてくださーーい!!!!

 

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それにしても、

 

表紙など、図書館向けに作っちゃったのか??

 

なかなか手に取りづらい雰囲気があるのがもったいないっすね(笑)

 

ま、「食」の図書館シリーズだから仕方がないのか。

 

 

スパイシ~~♪♪♪

 

 

 

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