ココイチでデートや商談!?! | スパイシー丸山「カレーなる365日」Powered by Ameba

ココイチでデートや商談!?!

なんと!!!

なんと!!!

タイのココイチはカップルのデートから商談まで行われる、

大人気スポットになっているんだとか!!!!!

興味深い記事だなぁ!!!!!!!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カレーのココイチが、タイで人気沸騰のワケ

デートも商談も「3000円カレー」を食べながら


東洋経済オンライン 2014年4月15日



 皆様は、カレーチェーンの「Coco壱番屋」をご存じだろうか。通称、「ココイチ」。「一度も店に入ったことがない」という人から「週1回以上行く」という人まで、使い方は人それぞれだと思う。だが、ココイチで「勝負デート」あるいは「ビジネス商談」をしたことのある方は、いらっしゃるだろうか。

タイ・バンコクにある「ココイチ」の店舗。日本の店舗とはまったく違い、同じ会社が運営するカレー店とは思えない。カップルや家族連れなどが集う、大人気店だ(筆者撮影)

実はいま、それが現実になっているのだ。といっても、日本ではなく、アジアでの話だ。今、ココイチがアジアで熱い。日本のリーズナブルなイメージとは違い、カップルからビジネスマン、ファミリー層まで大賑わいだ。

ココイチがアジアで人気の理由とは何なのか。それを可能にした決断とは?今回はグローバルマーケティングの視点を踏まえながら、アジアでのココイチ成功の裏側を探っていこう。

カップルのデートから商談まで、大人気スポットに

現在ココイチは、アジアを中心に世界各国に出店中。なかでも最近熱いのはタイだ。日系のチェーンでは最大規模に迫る店舗数をバンコク中心に出店。店をのぞくとカップル、家族連れで大にぎわいだ。夕方ともなれば、仕事帰りのOLやサラリーマンも多い。

話を聞いた、タイ人のワタポーン・ナヤラポットさん(仮名、25歳女性)も、そんなひとり。目抜き通りのデパート前で彼氏と待ち合わせをしてデート。今日のディナーはココイチだという。2人が楽しくおしゃべりをする横では、男性ビジネスマンが2人でカレーを食べつつ、仕事の打ち合わせをしていたりする。

筆者も多くの日系企業を支援しているが、そもそも、日本の外食ブランドをそのまま海外に出せばうまくいくというのは幻想だ。勢いだけで海外進出して、痛い目をみたチェーンも少なくない。そう、ココイチがここまで成功しているにはワケがあるのだ。

では、皆様なら、どのような戦略で進出を図るだろうか。少し考えていただきながら、読み進めていただきたい。

高級ブランド化、「おしゃれな日本式カレー」演出

照明を落とし、高級感を演出

ココイチの標準的なカレーの価格は600円ほどだ。だが、シンガポールならともかく、そのままの価格で現地に持って行っても、そのまま受けいれられるのは難しい。タイのサラリーマンの標準的な月給は、日本の4分の1から5分の1(たとえば飲食店正社員なら、4~5万円程度)だ。

ということは、600円のココイチのカレーは、日本人の感覚でいえば4~5倍、「3000円くらいかけて、店に行くイメージ」だ。当然、日本と同じ価格を許容できる「海外在住の日本人」を対象にすればおのずとマーケットは限られる。しかし、安くすれば現地のローカルフードとの競合になるし、採算も取りにくい。日系外食チェーンがよく陥るジレンマだ。

そこで、ココイチが採った戦略は、日本では比較的リーズナブルなイメージを、なんと高級ブランドへと、転換することだった。日本式カレーをベースに、オシャレなブランドイメージを実現したのである。

価格を日本と大差ない200バーツ(600円)程度にするかわりに、写真のように、照明を少し落とし、高級感のある内装にして高級ブランドイメージを打ち出した(上の写真)。店内は、ゆったり食事をしてもらえるように一人向けカウンターはなく、テーブルが主体だ(下の写真)。しかも出店は、高級デパートなど超1等地中心に行い、日本式の高級カレー店のイメージを定着させた。

日本と全く異なる内装。高級感が漂う

ただ、逆に、核となるカレーの味だけは、変えなかった。味の決め手になるルーは、コストをかけてでも日本からの輸入にこだわった、コメも日本米を使用した。

日本と全く同じ味で、現地のカレーと差別化を図ったのだ。トッピング好きなタイ人向けに、具材トッピングや辛さを選べる楽しさもアピールした。

その結果、日本式の高級カレーのイメージを創りあげ、デートやら、ビジネス層までにぎわう店づくりを可能としたのである。

差別化の核となる味は変えないが、日本の成功には全くとらわれず、「市場に応じてブランドや店づくりを大きく変える」、という「変える点」「変えない点」の決断が、成功の1つ目のポイントだったワケだ。

「結婚相手」を、間違えない

ココイチが成功したもう1つの大きな理由は、「結婚相手」を間違えなかったことだ。つまり、自前主義にこだわらず、現地パートナーとの協業にうまく成功したことだ。

多くの日系企業が自力での展開にこだわる中、ココイチは現地の大手外食チェーンと手を組み、しかもフランチャイズ展開で運営母体は現地チェーンに任せることにより進出を図った。

進出したばかりの日系企業が単独で事業を進めるといっても、そうそう簡単に的確な物件情報をつかめるものではない。1等地の出店は大きなリスク。しかも、どのエリアがどんな客層が主体なのかといった、マーケティング情報もない。現地での食材調達や、人材採用・オペレーションの確立も難しい。そこをうまくクリアさせたのが、パートナーの存在だったというわけだ。

タイで組んだ相手は、大衆日本食チェーンの大手、「FUJIレストラン」というグループ。現地での大手チェーンとしてのノウハウを持っているため、日系が進出する際に直面する問題をうまくクリアしてくれた。

もっとも、同業と組めばうまくいくと言うわけではない。客層が競合してしまう場合や、方針がズレた場合などは決裂することも多い。ココイチが、味・メニューのノウハウを持ち、店舗出店や調達・運営に関しては、パートナーであるFUJIの力を借りた。この場合、FUJIは、日本食といっても大衆食のため、客の奪い合いもなかった。成功の果実を共有できる「結婚相手」を、他に取られる前に選んだことが、もう1つの勝因だったのだ。

ココイチのタイでの成功の要因を2つあげたが、現場には日本では考えられないほどの苦労があるものだ。「立ち上げたときは、本当に大変だった」と語るのは、タイの1号店出店当初から現地の代表を務める浅川幹大氏だ。まだ数店舗しかなかったときに、こんなことがあったという。

ローカルマネジメントは試練の連続

あるとき、浅川氏は店舗で現地指導を行い、気がついたことをこまかく指導した。すると、店長が30分たっても1時間待っても、戻ってこない。ちょっと前に、「トイレに行く」といって、トイレに入ったのを見届けたばかりだ。「狭いトイレで、何をサボっているのか」と思いきや(サボるのはアジアではどの地域でも、必ずしも珍しいことではない)、店長が突然失踪してしまったのだ。店はオープンしたばかりである。結局、その店長は何日経っても、戻ってくることはなかった。

しばらくたってから、失踪した理由がわかった。実は、ミスを指導された後、トイレで田舎に電話したら、母に「寂しいなら田舎に戻ってきたら」と言われ、つい寂しくなってそのまま帰ってしまったのだ(!)。

店長として求められることを、日本の感覚でごく普通に指導をしたのだが、これは全く予期せぬ出来事だった。そもそも、日本と海外ではカルチャーも違う。日本であれば、先輩が新人に教えるのは当然だが、タイでは全く教えないのだ。

「自分の仕事がなくなるから」とか、「調和を重視するので、部下を叱るのが苦手」など理由はいろいろあるのだが、放っておいてもなかなかココイチのやり方が伝わらない。かといって、あまり厳しく指導をすれば先述の店長のようになりかねない。

小さな成功体験を積ませて、現地スタッフに自信をつけさせることに成功した浅川氏。タイの現地事情を理解しつつ、多店舗化戦略を進めている

そこで、浅川氏も、日本のように普通に指導するだけでなく、小さな成功体験を積ませて、できたことはこれでもかと褒めた。普通にカレーをお客さんに出せただけでも、挨拶ができただけでも日本では当たり前の、「低いレベル」のことでも、自信をつけさせていった。家族的なつながりを重視するカルチャーにも配慮、全従業員を集め自腹でパーティーをすることもあった。

カルチャーの違う中では、現場も日本と同じやり方だけでは成功しないのだ。
筆者が、日系企業を支援するにあたって、良く遭遇する失敗のケースは、日本の成功事例にとらわれ過ぎて、おごりが出てしまうことだ。

実はココイチも、アジア進出当初は相当な苦戦を強いられた。そのなかで、パートナーとの協力関係を一つ一つ築き上げていった。何を変えて、何を変えないのか。自前でやる部分はどこで、外部の力を借りるのはどこか。この一つ一つのこまかな決断がビジネスの成否を分けているのだ。

日本市場が伸び悩む中、いかに海外で日本の事例にとらわれず勝負するか。ココイチから学ぶ点は多い。世界の多くの新興国のココイチで、デートや商談をする時代がやってくるかもしれない。