新刊『ガレキ』出版後に思うことあれこれ | 丸山ゴンザレス オフィシャルブログ「ゴンザレスレポート」Powered by Ameba

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新刊の『ガレキ』では、各地の首長のほか、在日外国人、東松島市の臨時職員や元原発作業員をはじめとして被災地にいまも暮らす人々など、多くの声を収録している。

そもそも、この本を書くにあたって、取材を開始した5月、執筆を本格的に開始した7月時点ですでに過去のものとされつつあった。単純に震災ガレキ問題を取り扱うだけではダメだと考えていた。

なにより、私が伝えたかったのは単純なガレキ受け入れの推進でも反対でもない。今後、震災ガレキ問題が論議されるときの記録となるもにしたかったのだ。

東京都石原都知事の「黙れ」発言があった2011年11月から翌年5月の北九州市ガレキ受け入れ反対運動までの約200日を「ガレキ問題」と定義づけることにした。

私は世論の関心が薄れつつあるガレキ問題だが、もう一度考えるべきときがかならず来ると思っている。

あの200日で日本全体に突きつけられ、「当事者性」について総括されず、これほどまでに当事者性を問われた現象は稀有だと思う。だからこそ、この本に記録することに意味があると私は考えている。

その役割が果たされる日が来るのであれば、今は拙著『ガレキ』で伝えたいことが誤解されても、非難されてもいい。いずれ「あれは、そうだったのか」と思える時がくるはず。「今」正しいと信じていることが、ずっと正しいこととは限らない。

そんなときに悩んだり、議論したりするための材料のひとつにこの本がなってくれたら、これ以上嬉しいことはない。

即効性を求めてまとめた本ではないが、とはいえ「今」手にとって貰いたい本ではある。

是非、よろしくお願いします。