vol.289 バスブラ2018⑩ 廃線跡をバス専用道に!日本最古の”BRT”? 福島・白棚線 | 旅ブログ Wo’s別荘

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  今年のバスブラは、ツーリング作と兼ねて、バイクで福島まで行ってまいりました^DASH!

福島県南部・白河市から棚倉町まで、かつて鉄道路線だった軌道敷を一部利用したバス専用道を走行する路線があります。今で言う、いわば"BRT"のはしりのような存在です。

どんな路線なのか、乗ってきました。早速スタートしますバス

 

Wo号で東北道を走って、福島県に入り白河ICで降りますDASH!

初夏の日差しが眩しい、まずまずの天気晴れ

(※行ったのは6月上旬です)

福島県・中通り南部の中心都市、白河市に入りますカメ

東京から北上して東北に入った最初にある都市である白河、東北のゲートシティとも言えます^チューリップ黄

白河市内に入ると、道路の至るところにあるのが↑の看板目

『小峰城/南湖公園/白河の関』、この3カ所が併記された標識が街中にあり、これが白河の”3大名所”です星

 

予告になりますが、次作からおおくりする『白河ツーリング』で、この3ヵ所をご覧頂きます。しばしお待ちをヒツジ

 

それはさておき、今作はバスブラなので、早速JR白河駅に向かいます走る人

着きました。↑三角屋根が印象的な、ちょいレトロな駅、JR白河駅です電車

駅前は広々としたロータリー、バス停もここにあります。

この日乗るのは、↑JRバス・白棚(はくほう)線ですバス

"白棚"とは、ここ白河駅と、反対側の起終点、JR水郡線・磐城棚倉(いわきたなぐら)駅を結んでいる事から、その一文字づつ取った線名ですクリップ

バイクは、白河駅駐車場でお留守番あせる

駅前バス停は無人で、"ターミナル"という感じはなく、ごくフツ~の停留所ですあせる

白棚線をバスブラに選んだ訳ですが、この路線は一般バス路線とはチト違う、独特の経過を歩んできたからです。

発車前に、白棚線の歴史について纏めておきますクリップ

 

元々、この路線は鉄道でした。

この白河駅から、東北本線でさらに北へ進めば、次の主要駅は郡山駅ですが、郡山駅へは常磐線・水戸から斜めに北上して郡山へ至る水郡(すいぐん)線があります。

同線の途中駅・磐城棚倉駅と、ここ白河駅とをショートカットするように結んでいたのが、旧鉄道省・白棚線です。

 

旧白棚線(鉄道)は、1916(大正5)年、私鉄として開業しました。

当時白河近辺は石炭や金などの鉱山が複数あり、その輸送を目的としていましたが、いざ開業してみれば貨物はふるわず、専ら旅客輸送に力を入れはじめます。しかし、並行してバス路線が戦前にして早々開設、旅客の奪い合いが始まりましたあせる

 

列車の増発や駅の増設等で対抗しましたが万策尽き、開業17年後の1933(昭和8)年、早くも廃止申請を国に提出叫び

しかしここからが白棚線の歴史の面白いところで、ほぼ同時に、『国が買収してくれ』という請願も提出するという奇策に出ました。

 

折しもこの頃、磐城棚倉駅で接続していた水郡線が水戸~郡山の全線で開通。ショートカット路線として一定の存在感も出てきた同線は廃止されず、最終的には”国が借上げ”という形に落ち着き、鉄道省の白棚線として運営され始めましたDASH!

 

戦況悪化が顕著となった1944(昭和19)年、国は不要不急線区として同線を休止、線路を撤去して代行バスを走らせます。

 

戦後も再び線路が敷かれる事はなく、線路敷跡を一部バス専用道にして、国鉄バスによる本運行が始まりました。この状態が現在に至るまで続いているのが、現白棚線です虹

 

この「バス専用道」というのが今作の肝です。

そろそろ発車時刻です時計

出発します!

(※↑のバスは実際乗ったのとは別の車です)

白河駅9:15発に乗りました。6時から21時までほぼ毎時1本運転され、"まぁ使える"ダイヤ構成になっています宝石ブルー

白河~磐城棚倉間約23km、所要1時間程の路線ですしっぽフリフリ

(※2018現在、白棚線バスは磐城棚倉から、さらに少し先の祖父岡まで運行される便も多い)

まずは白河市内のバイパスを通っていきます。

立ち並ぶロードサイド店、全国の郊外によくある光景ですビル

実は僕が乗ったバス、ラッキーな事に”白棚線60周年記念車”で、車内には開業当時の古い写真が沢山掲示され、なかなか楽しめました^^カメラ

↑開業当時の専用道を走る当時のバス、鉄道駅のホーム跡や駅名標も写っている貴重な写真ですキラキラ

バイパスを抜け、新幹線新白河駅にも立ち寄ったバスは、緑深い国道289号へ入ります霧

前述の"白河3大名所"、南湖公園の横も通ります(※3大名所については、次作からのツーリング作で訪問します^)

JR東日本電車と同じ、↑優先席表示のシールも貼られています。

このあたりはさすがJRバスバス

快調に国道を走ってゆくバス・馬

 

先程『今作の肝は専用道だ』と書きながら、まだ専用道のセの字にも入ってませんがw、実はこの白棚線、路線の大半は国道289号と並行しており、国道の整備がすすんできた近年では、専用道の意味をあまり成さなくなってきています。

国道の整備が進むと共に、同線が専用道を走る距離は短縮されてきて、2018現在、同線で専用道を走る距離割合は1/4程になっているとの事ですあせる

 

そして~

白河駅から走ること約20分余、バスは国道から外れ、いよいよ専用道に入ります注意

↑の写真、専用道に突入したところです。

廃線跡なので線路単線分しかなく、バスの幅ギリギリの道です。

勿論専用道なので、一般車や歩行者は通行禁止になっています車

↑の写真、小さく写ってますが今時珍しい"警笛鳴らせ"の標識があります。一般道との交差点で散見されましたが、実際僕が乗ったバスはほとんど鳴らしてなかったですベル

一般道との交差点は、各々の地点の状況により、↑のようにバス専用道側が『止まれ』の場合と、一般道側が一時停止になっている場合との両方があります旗

 

ここで、バスを一旦降り、乗車後バイクで撮影に行った、外からの写真をご覧頂きます目

↑一般道と専用道の交差点。写真でどれだけご覧のかたに伝わるか自信ないんですが、明らかに、一般の交差点とは異質な雰囲気を醸していると僕は思いましたカメラ

↑写真の、左下から右上への道がバス専用道、右下から左上へが一般道です。『踏切だった名残』が感じられると思いますが、いかがでしょうか・

勿論バス専用道は一般車通行止のため、交差点には↑注意看板が立ててあります注意

中には、↑国鉄時代からの古い看板も残ってました目

『高速度専用』の文字がみえますが、同線はかつて『白棚高速線』と呼ばれ、主要国道でも砂利道が主だった昭和30年代、この専用道は当時珍しかったアスファルト塗装を施されました。

国鉄バスが名神高速に日本初のハイウェイバスを走らせる前には、ここで高速バス車両の試運転もしたそうです新幹線

 

しかし、次第に地方の一般道もアスファルト舗装が当たり前となり、最先端だったこのバス専用道も意味合いが薄れてきました。

ダイヤ改正の度に一般道を走行する区間が徐々に増えていき、当初は起終点付近を除けばほとんど専用道だったらしいんですが、2018現在、全体の2割程度になってしまいました汗

単線鉄道を道路化したので基本的にバス1台分の幅しかなく、すれ違いは出来ません。

なので所々、↑の"離合場所"が設けられています。

現在のダイヤは公道部ですれ違うよう組まれてるみたいで、僕の乗った便は専用道部では、対向車との離合はありませんでした。

専用道の脇で、↑『国鉄時代の土地境界標』を発見目

これ、当別荘の過去作にも時々登場している、僕のすきな"鉄道の脇役"ですが、明治初期に鉄道を司っていた役所『工部省』の工がレールの断面と似ているので、一世紀以上使い続けているマークグッド!

(※現在は、JRマークのものに取替がすすんでいます)

これがあるという事は、専用道は今もJRの所有という事なんでしょうか?サーチ

専用道を撮影するうち、バスが専用道を走ってきました!

鉄道写真を撮ってるのと、ほぼ同じ感覚ですwカメラ

意義は薄れてきたといえ、専用道なら一般車や歩行者を気にしなくていいし、渋滞や信号待ちも無く定時運行に資する利点もあるので、そのあたりが現在も一部残してある理由なのかもですひらめき電球

当初『白棚高速線』と名乗っていたという事は、前述しましたがBRTのはしりのような存在という事をよく表していると思いますクローバー

 

-*-*-

再び、バス車内に戻ります^

↑わかりにくい写真ですが、前面左側にバス停の半屋根があります。専用道部にも数ヵ所停留所が設けられています左右矢印

日中なので乗客まばらですが、ご高齢のかた中心に、途中の乗降もけっこうこまめにありました。朝夕は高校生で満車になる便もあるとの事です女の子

路線のほぼ真ん中あたり、一旦国道に戻ったバスは、同線で一番主要な途中停留所の磐城金山(いわきかねやま)駅に到着あじさい

バス停半屋根の横には↑本格的(?^)な待合所もあり、鉄道風の駅名標まで掲げてあります。

かつてここは"金山村"といい、名の通り金を採掘していたとの事で、大変な繁栄だったそうです(※現在は閉鉱、白河市へ合併)

 

また、国鉄末期までの同駅はもっと立派な(!)駅舎があり、駅員も配置されて切符や手荷物の取扱もしていたとの事。まさに鉄道主要駅と変わらない風格だったそうですが、僕の乗った便は金山での乗降ゼロ、一瞬停っただけでした(笑汗)コスモス

磐城金山を出ると、もう一度専用道に入りますバス

2018現在残っている専用道の区間は、先程の磐城金山駅を挟んだ2区間となっています。

なんせ"単線"、バス1台ギリの幅なので、アスファルトにはハッキリとバスの轍が出来ていますとかげ

専用道ラストには↑”緑のトンネル”が!^クローバー

それを抜けるとすぐ↑国道と合流、味わい深い専用道区間がおわりました。

バスは白河市をあとに、棚倉町へ入ります。終点近しうり坊

棚倉の街中へ入っていきます家

終点・磐城棚倉駅に到着しましたフラッグ

僕の乗ってきた便は、↑60周年記念にSLのラッピングが施してあるバスでした^キラキラ

駅前の観光案内版、棚倉町もけっこう見所豊富なようです。

将来水郡線の鉄道作をやる時には、途中下車しなければガーン

駅の待合室には、↑5種類もの趣向を凝らしたパンフが。全て頂いてきました^w

 

磐城棚倉駅舎内です。

↑の通り、券売機やみどりの窓口もある有人駅で(※2018当時)、離合線もあり、同線では主要駅です。バスブラでこれを書くのもナンですがあせる、やっぱり鉄道の存在感・安定感はバスにはなかなか出せません・クマノミ

ちょうど列車が入ってきたので、鉄ちゃんしていきます電車

JR東日本がローカル線用に新製したディーゼルカー、キハE130系ですDASH!

だいぶ昔ですが、僕この水郡線で水戸~郡山を乗り通した事があります。全線距離約140km、40駅以上を各駅停車で約3時間以上かかりますカメ

駅前のロータリーは↑物凄い広さ虹

かつては旅客・貨物の集積地だった名残を感じます。

ラッピングバスは駅前の営業所にあった洗車機へ入っていきましたw

 

昨年バスブラの新潟BRTや、2013年の三陸大ツーリングで寄った気仙沼線BRT、はたまた過去のバスブラで取り上げた名古屋の基幹バスやガイドウェイバス等、近年我が国のバス路線では"新時代のバスシステムへの模索"が本格化しています。この白棚線こそ、それらの原点であり、先駆者だと思いますキラキラ

 

専用道を使用した安定感と定時性、この形態を終戦直後から一貫して、この東北の小さな街で半世紀以上続けている事にも驚きますが、まさに地方バスの在り方のモデルケースといえるでしょうグッド!

 

今作ここまでです!次作はこの白河を、ツーリング作としてバイクで訪ねていきます。お楽しみに^馬

 

おかげさまでバスブラシリーズは、今作で10作を数えましたクラッカー

10作を記念して、来年のバスブラは超大型企画(?w)を検討中です。こちらもお楽しみに^虹

 

 

 

 

 

(※2023.8 文一部修正)