マレー旅シリーズ、第4回です^
前作までは同国北部の島・ペナン島でしたが、今作から本土・マレー半島を、首都クアラルンプール市を中心にみていきます
前作はペナンからフェリーで本土側へ渡ったところで終わってました。今作では、マレー半島北端近くのバタワースから、首都クアラルンプール(※以下KLと略)へ、マレー半島を縦断する同国国鉄・マレー鉄道の夜行列車に乗ります。ではスタートします^
前作ラストは・↓
ペナン~バタワース間のフェリー、車両甲板のど真ん中に客席があるという、日本では考えられないフェリー内部の写真で終わっていました。対岸のバタワース市へ航海中です
約25分の短い航海、ウロウロ船内を歩き回っている人も多かったです。船旅25分といえば、明石海峡の淡路航路(※明石~岩屋)と大体同じです^
フェリーは2隻で両岸からピストン運航され、スライドする光景も楽しめます
↑写真ではわかりにくいですが、はるか遠くにうっすらとペナン大橋も見えました
(※なお、第2ペナン大橋も建設中との事)
↑車両甲板の先頭で海を見て過ごしました、自由な雰囲気で居心地のいいフェリーでした^
短い船旅は終り、↑バタワース港の桟橋が近づいてきました
バタワース市には港のほか、これからKLまで乗るマレー鉄道、そして大きなバスターミナルもあるマレー北部の交通の要衝ですが、特に著名な名所は無く、"乗継ぎの街"という感じです
フェリーから降りると、港→鉄道駅&バスターミナルへ、通路で直結しています。鉄道駅もバスターミナルも、港のすぐそばです。
なお、前作でチラッと書いた『乗船時フリーパスだったフェリーの運賃は、どう収受しているのか?』ですが、バタワース港の出口でも運賃を取ってなく、結局“無料”でした
ただ、バタワース側からペナンへの通路には自動改札機のようなものが見受けられたので、ペナン島へ渡る場合は運賃を取っているみたいです。どうして大陸側へは無料なのかは不明でしたが・
(※2014当時)
まずは、↑港に隣接するバスターミナルから見学^
KL等、マレーシア各地への長距離バスのほか、ペナン島から大橋を渡ってやってくるrapid penan社の路線バスも発着。タイやシンガポールへの国際バスもあり、バラエティに富む路線網を擁するターミナルです
空席のあるバス便では、バス会社の人が大声で行き先を叫んで勧誘している、東南アジアっぽい光景もみられました
そしてバスターミナルの横には、↑ドデカいフードコートもあり、旅行者は街中へ出なくても、港周りで用は済むようになっています
フードコートでちょっと早めの夕食^
マレー料理といえば“ナシゴレン”(※マレー風チャーハン)という事で、ここで頂きます^
なおどの店でも、注文は"ナシゴレン"だけではダメで、必ず「何のナシゴレンか?」聞かれます。日本なら、“五目チャーハンかエビチャーハンか”という事です(?)
一番メジャーなのは”ナシゴレン・アヤム”(ayam)で、こう言えば大抵普通のを食べさせてくれます^
ここ、バスターミナル食堂のお味は適度なピリ辛で、素朴ながら本場の味みたいでした
それより特筆したいのが、↑の写真右側に写っている、店員のお姉さんが勧めてくれた桃色のジュース
人参と数種類の果物が入っているとの事だったんですが、これがメッチャ美味でした
あまり美味しかったので、帰ってから自宅で人参やいろんな果物をミキサーにかけて色々試してみたんですが、どうしても”バタワースの味”は再現できませんでした
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バスターミナルを出ると↑線路を跨ぐ陸橋、これから乗るマレー鉄道の駅へ向かいます
↑陸橋から線路が見えています。線路幅1mちょうどの『メートルゲージ』と呼ばれる軌間で、日本JRの在来線(1067mm)より少し狭い幅です。お隣のタイ国鉄との間に国際列車もあるので(※バンコク~シンガポール間)、タイも同じくメートルゲージです
2014現在、バタワース駅は改築工事をしていて、駅への途中、↑完成間近い新駅舎もありました
↑写真の通り、既に電灯も煌々と灯っていて、近日中にオープンすると思われます
一方、行った時使われていたのは、↑トタン造りの仮駅舎
ちなみに2014.2現在、このバタワース駅から出ている定期列車は、僅か日2本のみです(※他に週数本、タイ~シンガポール間の国際列車が停車)
新駅舎完成後はもう少し増発したら?とも思いますが
駅前には、↑かつて活躍していたSLが1両、ひっそりと保存されていました
マレー鉄道の歴史は古く、当初はマレーで産出されていた鉱物やゴム等、主に貨物輸送を目的に、19世紀末から順次開通してきたとの事です。
現在運営は、国が出資する『KTM』という公社(※日本の旧国鉄のような公共企業体)が行っています
北はタイ国境から、南はシンガポール国境まで、マレー半島を縦断する長い路線を有していますが、旅客列車の本数がお隣タイ国鉄と比べると少なく(※但しKL近郊区間では頻繁に運転)、長距離列車に乗りたい時は早めの予約必須です(※日本からネット予約可)
役目を終えて静かに横たわるSLの運転台は、↑ネコの遊び場になっていました^
↑仮駅の内部です。わりとスッキリきれいな待合室で、予約していたKL行きの夜行列車を待ちます
しかし、隣のバスターミナルに比べると閑散とした感は否めません
マレーシアでは鉄道輸送(※旅客)の占める割合は、バスや飛行機に比べ、大幅に少ないシェアしかありません
しかし駅前には、売店と外貨両替所がしっかり営業していました
待合室には、申し訳程度ですが↑ペナン観光案内図も
(※↑右側がマレー鉄道の路線図です)
そして22時過ぎ、定刻より約30分程遅れて、↑KL行き夜行急行が到着!
改築工事もほぼ終った真新しいホーム上屋の下に、ちょっと場違いな感もある^、年季の入った列車が入ってきます
客車は寝台車のほか座席車もあり、KLへ向かう乗客が次々乗り込みます
マレー鉄道の急行列車は全車指定なので、東南アジアの駅でよくある”喧噪の乗車風景”はなく、皆ゆっくりと乗り込みます
僕は寝台車を予約していました(※マレー鉄道HPで、時刻検索から予約/支払/寝台位置の指定まで可能)
チケットも、予約した時に自宅のプリンターで印刷してきたEチケットがそのまま切符として通用します(※駅で引き換える必要なし)、飛行機の予約と全く同じで便利でした
ここで、シリーズ初回の"例のドタバタ話"に戻りますが、もし羽田出発時の飛行機遅れで上海からのKL行に乗り継げていなかったら、この列車やペナンへ入った時のLCC便等、日本で段取りしていた予約が全てパーになっていたところでした。ホント東方航空はよくやってくれたと今更ながら思います^
↑寝台車に乗り込みました^
僕がとったのは日本でいえばA寝台にあたるクラスですが、まぁそんな豪華ではなくw、日本の2段式B寝台と同じような感じでした。リネン類は日本並みにすごく清潔、エアコンも快適
22時過ぎ、KL行き寝台急行はバタワース駅をあとにします・
1月に厳寒の東北で『あけぼの』に乗った作をupしましたが(vol.162参照)、今度は熱帯の異国で寝台車に揺られ、一夜を過ごします
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・翌朝~
バタワースから約9時間、一昨日入国した、首都KLに戻ってきました
↑終着のKLセントラル駅、ホームが地下になっています
KLセントラル駅に着いて、日本人なら"あっ"と思う↑の案内表示
駅内いたるところの表示が、英語と日本語のみ
マレー語や、同国に多い華僑の中国語が見当たりません(驚)
同駅は、”ルックイースト政策”で知られたマハティールさんが首相だった2001年に、それまでの旧クアラルンプール駅から、首都玄関としての機能を引き継いで開業したそうです。そのため、日本びいきだった彼の指示で、こういう看板になったのかもです(※2014年当時)
KLセントラル駅は、僕が乗ってきたマレー鉄道の長距離急行のほか、マレー鉄道運営の近郊電車(※KTMコミューター)、空港鉄道(※KL国際空港に直結)、マレー市内電車のLRT(※日本でいえば地下鉄)の各線が乗り入れ、名古屋の金山総合駅の大型版みたいな雰囲気です^
この日は一日KL市内をジャラン・ジャラン(街ブラ)する予定なんですが、まずは同駅から、KTMコミューターに乗って隣の駅へ行ってみます
最近導入されたと思われる真新しい車両、日本の通勤型電車と遜色ないです
数分で着いた↑隣駅、地下ホームのセントラル駅とは打って変わり、高いドーム型の屋根が気持ちいい広々とした地上駅です。
先程セントラル駅のところで『2001年、旧駅から移転してオープンした』と書きましたが、移転前の旧駅も引続き現役なんです
現在は、近郊電車のみ停車する途中駅として使われています。
で、僕がなぜこの駅に立ち寄ったかというと~
↑ホーム右側の壁、なんかレトロな感じです
実はこの駅、1910年に建てられた優美な旧駅舎を今も使っています。改札を出て見てみます
改札から外へ出ると、↑いきなり目の前にそびえ立つ石造りの重厚な建物、旧クアラルンプール駅舎です
1910年築、マレー鉄道を代表する駅舎で、日本の『東京駅丸の内レンガ駅舎』に相当する、文化財級の駅舎です。
英国・トルコなどヨーロッパ各地の古今の様式を貪欲に採り入れた名建築といわれています
幅の広いドデカイ駅舎で、駅前広場が無いため、道路を渡って道向かいからでないと全貌が撮影できません
大きいだけでなく、細部にまで配意された豪華なデザイン、かつてこの地を支配していた大英帝国の栄華が偲ばれるような白亜の殿堂です。
そして、駅舎から道を挟んで向かい側にも、↑駅舎に負けないほどの重厚な歴史ありそうな建物が
↑は、マレー鉄道公社(※KTM)の本社です
現在も本社オフィスとして使われているため内部には入れませんが、駅舎とセットで大変絵になる建物です^
駅舎見学を終えて構内に戻ると、↑古いけどかわいい荷物列車が入れ替え作業をしていました^
一旦セントラル駅に戻り、↑次は市内電車のLRT(※実質地下鉄の役割)に乗り換えます
切符は↑自動券売機で購入します
↑女性専用車も連結。こういう車両はもう世界の時流のようです。
LRTは2014年現在、KL市内に4路線(※軌道3路線・モノレール1路線)あって、2路線あるマレー鉄道運営の近郊電車と共に、首都の足となっています。
LRTは『ラピッドKL』というバスも兼営している民営(※多分第3セクター)の運営です。ペナン島の回で出てきた、ラピッドペナンのバスは子会社になります
2駅目の"マスジット・ジャメ駅"で下車
路線は地下になったり地上になったり、ホームドアも駅によりあったりなかったりです。
駅から外へ出ると・
ビルの谷間に高架道路が走る、都会の真っただ中
この都心ど真ん中にある、KLで一番有名なモスクを訪ねます。
↑マスジット・ジャメ・モスクです。駅名はこのモスクからとっっています。
このモスクは、2つの川が合流する地点に位置しています。
KL(クアラルンプール)という名の由来は、『泥の川が合流する場所』という意だそうで、このモスクの建つ場所は、まさにKLの基点/原点だという事です。
KLで数あるモスクの中でも、最も美しい建築といわれています
礼拝場におじゃましてみます。
さすが首都、ペナンでいろいろ見たモスクより数段広い印象です。
石の床はピカピカに清掃されています。礼拝の時は、各自が携帯用カーペット(?)のような敷物を持参してお祈りします。
モスクではどこでもそうですが、特に女性の場合は服装制限があり、肌が露出した服では入れません(※男性でも、短パンやタンクトップ等は×の場合多し)
そういう観光客用に”レンタル服”が用意されているモスクもあります。
異教徒の女性にはいちいち着替えるのが面倒かなぁとも思うんですが、でも女性客を見てると、このレンタル服を着て楽しそうに記念写真を撮っている人が多く、かえって着替えるのが『イスラム体験』になっているようで、意外と好評なのかもw
“ムルデカ・スクエア”という首都KLの中心部、というかマレーシアの中心です
高層ビルの林立するKLですが、このあたりはペナンのジョージタウンと同じく、19世紀に建てられたイギリス統治時代の薫りが残っています。
↑の美しい時計台を持つ建物は、サルタン・アブドゥル・サマッドビル(※1897年築)
かつてはマレー連邦や州の行政官庁がおかれていたそうです。
ムルデカ・スクエアに行ったら必ず立ち寄りたいのが、↑『KLシティギャラリー』
↑ギャラリー内、1FはKLの歴史を解説した写真ギャラリーと土産物店、2FはKLの都市計画の未来を巨大模型を使って紹介しているジオラマになっていました。特に1Fの土産物屋が大変充実していたので、買い物好きな人にはおすすめです
そして、ムルデカ”スクエア”というからには、このエリアの中央にはドデカい広場があります
”ムルデカ”とは、マレー語で”独立”の意なので、『独立広場』という事です。
広場の一角には、↑物凄く高い国旗掲揚柱(※高さ100m、街中にある国旗塔としては世界一高いとの事)があり、1957年ここで、マレーシア連邦の独立が宣言された場所です。
掲揚台の付け根には、↑独立当時のKLの古写真が
現在の高層ビル群からは想像もつかない街並が写っていました。
で、肝心の”広場”なんですが、↑残念ながら2014現在、整地工事中のため閉鎖中でした
(※↑紅白の仮枠の中が、ムルデカ広場です)
本来は、芝生が敷き詰められた緑のじゅうたんが美しい広場だそうです
それにしてもこの界隈、歴史的な建物の背後に高層ビルが並ぶ、見事な新旧コラボの街並でした
KLのビル群の都市景観は世界有数の美しさと言われていますが、僕もホントそう思いました^
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そして、ムルデカ広場から少し歩くと、英国式の↑セント・マリー教会があります
1894年築、イギリス植民地時代の名残をとどめる歴史的建物です。
イスラム教のモスクと同様、観光名所である以上に信仰の場なので、異教徒はマナーを心得て訪問する必要があります。
その一方、単なる観光地でないこういう場所こそ、魅力あるスポットでもあります。
2009年の長崎シリーズで訪ねた、大浦天主堂を思い出す雰囲気でした
↑押しボタン信号もありました
この辺りはビジネス街でもあるので、銀行も沢山あります
マレーシアの銀行にはイスラム系と非イスラム系があり、イスラム教義では利息を禁じているため、イスラミックバンクでは”分配金”(?)のような名目で預金者に還元しているみたいです。でも、利息も分配金も結局は同じだと思いますけどね^
↑マスジットジャメ駅から再びLRTに乗り~
次に着いたのは、↑KLCC駅です。
駅から地上に出ると、目に飛び込んでくるのは~
天に向かってそびえ立つ超高層ビル!
有名なKLのシンボル、ペトロナス・ツインタワーです
地上452m、88階建てのツインビル(※1988年完成)
完成後しばらくはここが世界一高いビルだったそうで、マハティール元首相が推し進めたマレーシア経済成長の象徴です
メタリックな壁面が、近くから見ても遠くから見ても、凄く美しかったです
このタワービル、主にオフィスが入ってますが、低層階は高級ブランド店が入るモールになっています。又、86階には展望デッキもあるんですが1日あたりの人数制限があり、大人気のため朝一に整理券をゲットしないと入れないみたいです(※残念ながら僕は入れず)
というところで作容量限界になりました、今作ここまでです!
次作は、KLの街中をさらに散策、そして次の街へ向かうところまで行けるか?wという作になります。お楽しみに^
(※2023.1 2024.6 文一部修正)