突然ですが^、初秋の京都を訪ねました
今作では、悠久の歴史を誇る、2つのお寺を拝観してみたいと思います。早速スタートです
雲の切れ目から抜けるような青空が覗いています
世界遺産の街・京都、↑烏丸今出川角にあった牛丼チェーン店の看板、景観に配慮した白ベースの色
駅から、今出川通を東へ歩きます
↑左側塀のむこうは同志社大学、通りの右側は京都御所です。
御所の今出川御門の前を北側に入ると、これから訪ねる、相国寺(しょうこくじ)への入口です
相国寺の門がみえてきました(※臨済宗)
↑拝観受付の横にあるのが、法堂(はっとう)と呼ばれるメインの建物です(※国重文)
この相国寺、京都に数ある寺院の中でも格が高いとの事で、これから境内をみながら書いていきます。
相国寺は、春と秋に期間を限定して公開されています。
法堂の天井、円形の枠どりの中に描かれていて、お堂の右側から入場して左奥へ向かって見学していくんですが、龍の"目"が堂内左奥へ入るにつれ段々、自分のほうを睨んでくるように見えるんです
計算された描き方で、驚きでした^
つづいて、相国寺開祖の夢窓国師を祀る『開山堂』の縁側から広がる、↑禅庭へ
枯山水の典型的禅庭ですが、庭内に水路がある(※後述)等、様式は定かでなく、各地の禅庭園の優れた点を取り入れているとの事。
久々に間近で見る"純日本の光景"ともいえるこの庭、見ていて心洗われ、爽やかな心持ちになりました
この庭の奥のほうには、水路の跡(※現在は涸れている)があり、かつては今出川(※昔あった鴨川の支流)の水を取り入れて流していたそうです。今出川通の名はこれが由来です。
その水路はさらに、近くにある御所まで続き、御所の生活用水になっていたんだそうです
↑写真左上の屋根に工事の仮枠がついている建物は『方丈』といい、座禅や講演会等の集まりに使われるメインの建物ですが、工事中のため見学は出来ませんでした
寺院内の他の建物と変わらない雰囲気の、↑浴室です
風情ある佇まいです。名の通り、僧侶等が体を清めるための施設です。
どんなオフロかというと~
室内に入ると、↑さらに小さな部屋が内部にあり、それが浴室です。
浴槽は無く、"蒸し風呂"です
ひしゃくでお湯を室内に撒布し、蒸気を発生させて入浴する、日本古来の『サウナ』です^
禅宗寺院の浴室は、正式には"宣明(せんみょう)"と呼ばれ、入浴という行為は、体と心の垢を流し落とすという"修行の一環"という位置づけであったといいます。
なお、↑写真の浴室の屋根の形、僕は"道後温泉本館"の屋根の形を連想しました
お湯はかまどで焚き、浴室に供給していました
以上、観光化されていないこじんまりとした禅宗のお寺でしたが、この相国寺、実は京都でも大変、格が高い寺院との事です。
1382年、足利義満が発願して創建。初代開山は夢窓国師ですが、このお寺は臨済宗相国寺派の総本山で、鎌倉時代より格付けされている『京都五山』中、第二位に位置づけられるとの事です。
さらに、アノ『金閣寺&銀閣寺』は、相国寺の系列下です
水墨画で有名な雪舟、ここの出身との事。
静かな中にも歴史を秘めた、京の名刹でございました
(※公開日時等詳細は、同寺HPを参照下さい)
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つづいて2寺目です。
場面かわって~
これから向かうのは、勿論・
↑九条大宮の交差点に来ると、もう↑五重塔が見えます
東寺です(※真言宗総本山)
正式名は『教王護国寺』というそうですが、"東寺"は同寺公認の通称なので、公式な場で東寺と呼称しても問題ありません。
東寺の門、↑大きなちょうちんが出迎えてくれます
五重塔はじめ、多くの建物が国宝/国重文に指定されているほか、境内全域が国史跡。又、世界遺産にも登録されています
↑メイン通路の右側に、五重塔や金堂、講堂が並んでいます。
左側は、御影堂等、寺院関連施設です。
右手に金堂と五重塔をみながら、有料区域に入る拝観口まで、奥へ歩いていく格好になります
無料区域からでも↑五重塔が拝めます
金堂の隣にある、↑講堂。
これから有料区域に入ります
チケットを購入し、↑拝観口から七堂伽藍へ。より間近に拝観します
有料区域に入ると、五重塔が至近距離に^(※国宝)
796年、京都が平安京として都になってすぐ、国によって創建された、京都に数ある寺社の中でも特に有名な『東寺』
官寺として造られましたが、完成後は弘法大師・空海に下賜され、日本初の密教寺院として繁栄し、今にその姿を伝えます。
まさに"生きた歴史遺産"です。
五重塔も創建当時から建立されていましたが、火災や落雷で4度焼失し、現在のものは江戸時代の建築です。
それでも国宝指定、そして現在でも我が国木造の塔としてトップの高さ(54.9m)を誇っています
↑手前が『金堂』(※国宝)、奥が『講堂』(※国重文)です。
↑講堂に入ってみます
内部は撮影禁止なんですが、中に入ると誰もが一瞬息を呑むような、迫力の光景が広がっていました
講堂の内部には、空海が遺した密教仏像が所狭しと並んでいて、その数は21体です
この時代の密教彫像が、これだけまとまって保存されているのは全国で東寺だけとの事で、その21体のうち15体が国宝に指定されている事でもその貴重さ、稀有さがわかります
実際拝観して、1体1体の精緻なつくりと豊かな表情に魅了されました。僕はかなり長時間、講堂の中にいました
間近から迫りくる仏像群のオーラが凄く、なかなか講堂から離れることが出来ませんでした。"さすがは京都・東寺"という印象のひと時でした
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金堂/講堂を出て、五重塔の周辺でしばし、静寂の時を過ごしました
この日爽やかな秋晴れで、平日で拝観客も少なかったため、ホント静かな東寺を味わうことができました
境内に1輪だけ咲いていた、↑季節はずれの彼岸花
改めて、五重塔をゆっくりと眺めます
この五重塔、正月や特別拝観時に限り、一番下の層に入る事が出来ます。
ホントどの角度から見ても、均整美というか、洗練されたデザイン。こういう塔を1000年以上前に造営した当時の人々の発想と技術、そして心意気が凄いと思いました
見学を終え、拝観口に戻ると、入るとき気付かなかった↑2つの祠が目に留まりました
祠の中には、↑"夜叉神"と呼ばれる木像が入っています
おどろおどろしいお顔(※実物を見ると、もっと恐ろしいお顔でした^)
弘法大師が直々に彫ったと伝えられる夜叉神、昔は旅人が東寺に立ち寄ってこれを拝まなかったら祟るとも言われていたそうです
又、"歯の神様"でもあり、おみやげにキシリトール配合の"食べるお守り"も売られています
東寺拝観を終え、門まで戻ってきました
平安期の造営から幾星霜、大きく変貌したこの日本・京都を、奇跡的に往時の姿を今に伝える東寺。弘法大師は今も静かに、京の街を見守り続けていると思います。
門から出ると、九条通の向かい側にあるのは↑パチンコ屋さん
しかしこの光景、今も100万人以上が生活する政令市、"生きている古都"・京都の姿です。
ますます変化激しくなる時代の中で、東寺/五重塔は永久に、京の都を守って建ち続けると思います。
以上、今作は突然の、京都の寺院を訪ねる小トリップでした。シリーズ化しようかと考えなくもないんですが、もうしばらく年月が経ち、当別荘がもう少し成熟してきたら検討しようかと思います。
ともあれ今後も、折にふれ京都の寺社には小出しに訪ねていきます^
(※2022.4 2024.2 文一部修正)