歌舞伎座初日、猿若祭「18世中村勘三郎追善興行」
開場前に、歌舞伎座前で1番太鼓と勘九郎のご挨拶が有った。
「勘三郎襲名興行の時もご挨拶が有って、来たな~」と懐かしく思った。
人混みで全く見えなかったけれど、傳左衛門の太鼓の音が内臓に響いた。
勘九郎の挨拶で思わず「中村屋っ!」と大向こうをかけてしまった。
そして、昼の部。
「野崎村」
鶴松のお光が大抜擢!出て来た時のパッとした野花の様な可憐な明るさが良かった!
欲を言えば最後の幕切れはもう少し派手に悲しみを表現した方が観客にはグワッとくると思った。
勘三郎に見せたいね。
初舞台の鼠小僧、サン太役の鶴松を観ているから感慨深い。
「釣女」
松羽目物だからね…獅童がやると品が無い。違うんじゃないの~?
「籠釣瓶」
勘九郎、七之助。
初日なのに、両人ともしっかり自分の物にしている感。
勘九郎はお父さんに似ているけど、今までみたいにマイナス要素は無い。
勘九郎は勘九郎だった。そこに勘三郎を想わせてくれて、心地良く観れた。
七之助も八ツ橋の花魁道中の出が見事で、花魁ゆえの哀しみや儚さ、華や格の相反する物が滲み出ていて「立派になったな~」と感心した。
大詰めでは、怖くて私が殺される気分になった!
人間の狂気、愛憎を感じた。
怖かった~!
追善興行だからなのだろうけど、出演者が凄くて。勘三郎の人柄と、頑張って来た中村屋へのエールなのだろう。
久しぶりの大歌舞伎。
勘三郎も喜んでいるだろう。それとも
「俺がやる!」って悔しがってるかな。
死んでも、客を呼べる役者…中村勘三郎。
彼の思いを、彼への想いを感じた良い追善興行だった。
どうか、千穐楽まで無事に勤められますように。
やっぱり初日は良いねぇ。