「アナヅラさま」(四島祐之介 宝島社文庫)
長野の山中にある、放り込んだものが完全に消滅してしまう大穴の存在を知り、若い女性の誘拐殺人を繰り返すシリアルキラー。
都市伝説「アナヅラさま」という噂が広がる。
行方不明の捜索依頼を受けた探偵、小鳥遊穂香は真相に迫っていくが。
ミステリでは、死体や証拠品を完全に隠すことができれば完全犯罪に近づくとされていますが、これはそこをクリアさせた特殊設定ミステリとも言えます。
ただこの小説では、「アナヅラさま」の存在自体はさほど問題ではなく、問題なのは「アナヅラさま」によって犯罪者となる人間だということだと思います。ちょっとポップな雰囲気もありますが、犯罪に至る過酷な背景も描かれています。
さて実は、冒頭で「アナヅラさま」となる犯人の素性がわかってしまうので、倒叙ミステリか、ホラーかなと思っていると、ちゃんと謎解き要素があり、ラストまで意外な展開が続きます。