「火星の女王」

NHK放送100年で、小川哲さんのSF小説を90分✕3回のドラマにしたものです。


火星に人類移住し40年が経過した2125年。

火星を管理統治するISDA(イズダ)は全住人10万人を地球に帰還させることとしたが、反対する火星住人は、ISDAの局長タキマ(宮沢りえ)の娘で目が不自由な少女リリ(スリ•リン)を誘拐する。

一方、22年前に地球で発見された謎の黒い球体と同じ物体をカワナベ(吉岡秀隆)が火星で発見する。リリの恋人であり、カワナベの元同僚の息子アオト(菅田将暉)も地球で物体の行方を追う。


派手なCGなどを使ってはいませんが、本格的なSFをNHKがやってくれるのは嬉しいですね。

火星の環境は建物やファッションなど丁寧に作られていて、地球とのメッセージ通信に10分かかったり(これは後で重要になりますが)、登場人物の使う言語がバラバラ(日本語、英語、中国語など)だったりと、妙なところがリアルです。


さて、問題は謎の物体です。火星と地球に一つずつあり、強い重力波を発生させているのですが、これが最終回で何を起こすのか。

この結末は、肩透かしという感じもしましたが、皆さん納得するのでしょうか。私はそんなところもNHKドラマらしくて良いと思いましたけど。

2026年になりました。

昨年2025年も良い読書ができました。

例によって「文庫おち」してから読むので、発表時期よりかなり遅れています(笑)

何故か創元社と早川書房が多いのが、2025年の読書傾向を物語っています。


【国内編=日本語で書かれたという意味】


「プロトコル•オブ•ヒューマニティ」(長谷敏司 ハヤカワ文庫JA)

事故で右足を失いAI制御の義肢をつけたダンサーと、伝説の舞踏家である父。父子の関係と鬼気迫るダンスシーンが印象的でした。


「不在の存在証明」(西式豊 ハヤカワ文庫JA)

自身の脊髄損傷によりVR手術を専門とする脳外科医が、恩師の依頼で少女の視覚回復手術を行うが、その後奇妙な事件が起きる。

VRやロボットなど医療技術が進歩した世界のミステリですが、アクションも上手い具合に入って面白い。


「わたしたちの怪獣」(久永実木彦 創元SF文庫)

妹が父を殺し、姉が怪獣が暴れる東京に死体を棄てに行く表題作など、非日常を描く短編集。ゾンビ小説「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」がゾンビ好きには面白い。


「イヴの末裔たちの明日」(松崎有理 創元SF文庫)

数学の証明に取り憑かれた男、刑務所でタイムマシンを作ろうとする受刑者など、ちょっと変わったSF短編集。この作者のSFは以前の「シュレーディンガーの少女」も好きなのですが、シチュエーションから引き込まれます。


【海外編=翻訳ものという意味】

たまたまですが、ロードムービー的な小説が気に入りました。


「銃と助手席の歌」(エマ・スタイルズ 創元推理文庫)

姉の恋人を殺してしまった少女チャーリーと、居合わせた大学生ナオの、車での逃避行。ちょっと「テルマ&ルイーズ」を思わせますが2人の描き方は鮮烈です。


「ボニーとクライドにはなれないけれど」(アート•テイラー 創元推理文庫)

コンビニ店員のルイーズは強盗に入ったデルと恋に落ち車で旅に出るが、その行程で様々な事件に巻き込まれる。ちょっと笑える連作短編集。


Netflix映画「大洪水」を観ました。


アンナが幼い息子ジャインに起こされ目覚めると、マンションの周囲は水没し、急激に水位が上昇していた。南極に小惑星が落下したため世界中が洪水にみまわれ、人類滅亡の危機の中、母子はマンション上階に逃げる。


この映画を予備知識無く観た(私のような)人は、災害パニックに知恵と努力でどう生き残るかという話だと思うのではないでしょうか。

全然違うので、ビックリします。


(以下、ネタバレの無いよう冒頭で判明する情報のみ書きますが)

アンナはAI用の感情エンジンの研究者で、人類滅亡後の「新人類」を作る研究チームに加わることを要請されます。

これが唐突すぎて、え?何の話?と思います。

その後の子連れの脱出劇は災害パニックものっぽいのですが、たまに私も見る「逃げようとしても逃げられない」悪夢のような展開になります。


そして徐々に明かされる真相に、人によっては更に当惑することでしょう。

当然ながら母性というのは主要テーマだと思いますが、それ以外は人によって受け止め方も違うでしょうし、私は結構好きですが、苦手な人も多いかと思います。


なお、アンナ役のキム・ダミさんが好きな人は、びしょ濡れ大活躍なので、是非観てください。