「標本作家」(小川楽喜 ハヤカワ文庫JA)
西暦80万2700年、人類は滅亡していたが、知的生命体「玲伎種」は、各時代の歴史に名を残した作家を不死固定化処置により再生し、「終古の人籃」で小説を執筆させていた。
いやあ、難しい作品ですね。
人間とは、愛とは、小説とは、という哲学的、観念的テーマであることもありますが、とにかく映像的にイメージすることが難しいのです。
再生された作家のモデルは私でもすぐ分かる、オスカー・ワイルド、メアリ・シェリー、太宰治らなので、ベースとなる小説は親しみやすいのですが、再生された姿というか存在の仕方が、想像できる限界ラインで、更に「玲伎種」がどのような生命体なのか全く想像が追いつきません。
まあ、こういうものを書き上げた作者の精神力はなかなかのものです。
そんな中でも終古の人籃で実体化したサロメ(オスカー・ワイルドの)は鮮烈です。私も高校生くらいの時に読み、有名なビアズリーの挿絵とともに記憶に残っています。
一応SFですが、分野にこだわらず小説好き、という人が読む作品ですね。