「バスカヴィル館の殺人」(高野結史 宝島社文庫)
実際に殺人が起きる推理ゲーム「探偵遊戯」の第2弾。
世界の富裕層をクライアントとする探偵遊戯。北大西洋の孤島で催された今回のゲームは、シナリオ通り進まず、運営側の袋小路や犯人役の凛子は混乱し、窮地に追い込まれる。
ドイル「バスカヴィル家の犬」、クイーン「Xの悲劇」、カー「黒死荘の殺人」、クリスティ「ナイルに死す」といった名作になぞらえていますが、知らなくても特に問題ありません。
最近こういう名作ミステリをオマージュしたような作品が多いですが、読者がミステリマニアとは限らないので、作者もわかりやすく書いていますよね。
この小説の特徴は「多重構造」です。
劇中劇と言うべき推理ゲーム「探偵遊戯」と、ゲームを運営するスタッフやキャスト間で起きる事件、そしてその混乱を引き起こす黒幕の存在。
その多重構造が、スタッフの袋小路やキャストの凛子の視点からどう見えるのか。
特に犯人役の凛子は本人が知らないだけで実は被害者の(殺される)役かも知れないわけです。
没入(イマーシブ)型アトラクションとか流行り始めています(やったことないです)が、アトラクションの殺人が、実は本当の殺人だったら、実は自分が被害者役(殺され役)と思うと、確かに怖いですね。