「エイリアス•エマ」(エイヴァ•グラス 集英社文庫)


英情報機関〈エージェンシー〉の新人スパイ、エマ•メイクピースは、ロシア人科学者夫婦の息子で医者のマイケルを保護するという指令を受けた。

エマはマイケルを連れて、ロシア工作員の追跡をかわしながら、監視カメラをハッキングされたロンドン市街地を縦断し、MI6本部に辿り着けるのか。


新人スパイなので007のように秘密兵器で華麗に切り抜けるわけではないですが、ボロボロになりながらも思い切りの良さと引きの強さでなんとかする、映画を観るような緊迫感と興奮を感じるスパイ小説です。


サイバー空間での情報収集が全盛で、アナログな侵入や盗聴器によるスパイ活動が軽視されている、というのは今どきのスパイ事情です。この小説でもロシア側のハイテクな追跡をローテクでかいくぐるというのが痛快ですね。

エマと、上司のリプリーは魅力的なキャラクターなので、続編も期待です。