「令和 人間椅子」(志賀晃 文春文庫)

AI搭載のマッサージチェアを愛用する、人気女性作家のもとに、ある日ファンが書いたという小説がメールで送られてくる。


私は子供の頃から江戸川乱歩が好きで、乱歩作品を翻案したというこの短編集を、つい手に取ってしまいました。

他にも「令和版」の「屋根裏の散歩者」「人でなしの恋」「陰獣」などの翻案もあります。


乱歩作品は二十面相なども好きですが、「人間椅子」「屋根裏」などのように、実は気づかない間に触れられるほど近くに人がいる、というぬめっとした気味悪さのある小説は特に大好きです。中でも人間椅子は、ぞわぞわする恐怖が徐々に伝わってきて衝撃のラスト、未だに最初に読んだ興奮は忘れられません。


昔は、物理的に距離をとれば「他人との接触」は現実に避けられましたが、AI家電やスマホなどが身近にある現代は、他人がすぐ近くにいるのと同じ状態かも知れませんね。

乱歩の時代、再来でしょうか。