「神田ごくら町職人ばなし(一)」(坂上暁仁)
ちょっと前に話題になって、読む機会がなかったのですが、ようやく読めました。
江戸時代の神田で働く職人を、リアルに描いた短編集。
この巻では、桶職人、刀鍛冶、藍染職人、畳職人、左官が取り上げられています。
まず、職人技を表現する画力が凄い。畳とか染物をリアルに何コマも描く作業は気が遠くなりそうです。写真ならラクなのにと思いたくなりますが、絵なのがまたいいです。背景に白が多いのは絵を見ろということなんでしょうね。
内容は、ストーリー性がある作品もありますが、日常を描いたものもあり、私は後者が好きですね。
第1話の「桶職人」の日常はホントに渋くて、これを巻頭に置くところがいい。
また第4話の「畳刺し」は、吉原遊郭の畳張替の話で、花魁にからかわれるなど落語のような雰囲気もあり、これもまたいいです。
とにかく異色な漫画ですが、こういうのがまた、漫画の可能性を広げていくのでしょう。