新しもの好きの私ですが、昔の良い物って無駄に消費していませんでしたか。この年になり振り返ってみたくなりました。

で、「懐かし映画」として昔(大体1980年以前かな)の名作映画を記憶に頼らず「ちゃんと観直して」みることにしました。

(このシリーズはカタカナ人名が多いので、基本、敬称略です。)


第1回は、ヒッチコックの名作です。


「めまい」(1958年 監督:アルフレッド•ヒッチコック 出演:ジェームズ•ステュワート、キム•ノヴァク)


勤務中の事故で高所恐怖症になり警察を辞めたファーガソンは、友人に妻マドリンの謎めいた行動を監視するよう頼まれる。ファーガソンはマドリンに恋愛感情を抱くようになるが•••。


まず、ストーリーが面白い。

「死者の霊が取り憑く」というオカルトっぽい話が、突然悲劇的な展開になり、更に後半は意外な真相。そして突然すぎるラスト(今どきの映画にはない凄いラスト)。

もし、観てなかったり、観た当時イマイチ理解できなかった(私みたいに)人は、観直す価値ありではないでしょうか。


ヒッチコックサスペンスらしい、観客を不安にさせる映像やカット割は古臭さがなく完璧ですが、ツッコミどころもかなりありますね。

まず、中盤以降ジェームズ•ステュワートの言動がキモいし、皆リスク管理が弱すぎです。

また、悲劇の後の悪夢をイメージするアニメーションがダサめです。

「懐かし映画」にはこういう楽しみ方もありますね。


「ほんとうの名前は教えない」(アシュリィ•エルストン 創元推理文庫)


ミスター•スミスの命令で、エヴィ•ポーターという女に成りすまして、ライアン•サムナーという男に接近したルッカ•マリノ。

しかし、そこにルッカ•マリノを名乗る別の女が現れる。


どんどん予期せぬ展開になっていくサスペンス。

なぜ、主人公が他人に成りすますのか、ミスター•スミスは何者か。

過去と現在を交互に描き、徐々に全容がわかってきます。

また、過去に成りすました事案も現在と繋がっていて、複雑ですが面白さは増していきます。終盤の急展開もよくできています。


まあ、一つだけ言わせてもらうと、何人にも成りすまし、関係者も多いので、名前が覚えられませんでした。

「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」が最終回でした。


30分ですが、毎回、登場人物の後悔や葛藤から生まれる想いが役者の表情や間から伝わる、テーマとしては地味ですが、いいドラマでした。

錦糸町というのがまた、東京なんだけど地方都市っぽくもある「ちょうどいい」ロケーションです。


そういえば、この世に後悔のない人生を送ってきた人って、いるのだろうか。

例えば誰かためだと思って、悩んで選んだ道が、その誰かのためにも、自分のためにもなっていなかったこと。実は自分自身への「言い訳」にすぎなかったこと。(このドラマはそういうのが多かった。)

でもまあ、気づいたらやり直せばいい。それが遅すぎても、何か代わりの方法があると思います。

そうやって生きていけばいいんです。


こういうドラマ、どんどん作って欲しいのだけど、地味で、あまり事前に宣伝されないから見つけるのが難しいんですよね。