【クライアント】
70代 女性
【症状】
両膝を人工関節にしてから、よりいっそう全身が凝っている。
【施術内容】
数年前に、両膝を人工関節にする手術を受ける。
その際、医師から
「人工関節にしたので、絶対に転ばないようにしてください」
と言われたらしい。
本来の関節とは違うので、膝をケガしてしまうと、通常以上にリスクが上がるため、と説明を受けたそうです。
そのこと自体は、嘘ではないのでしょうが、この女性の場合、転ぶことを恐れるあまり、ほとんど外出しない生活になってしまいました。
特に、今のような道路が凍ってしまう冬場は、よほどのことがない限り、家でじっとテレビばかり見ているそうです。
手術の効果で、膝自体に激痛が走るようなことも、歩けないこともないそうですが、極度の運動不足で、筋力の低下による全身の症状はあります。
転ばないことは、大事なことでしょう。
でも、そのために、外出しなくなるのでは、いったい何のために人工関節にしたのか?と思ってしまいます。
家でじっとテレビばかり見ていることが、長生きする意味なのでしょうか?
私は、そうは思いません。
それは、生きているのではなく、死んでいないだけの人生です。
何歳になろうと、どんな状態になろうと、人間としての尊厳ある人生を送る努力は必要です。
そのために整体にできることは何か?
それは、出かけたくなる体になっていただくことだと思います。
スポーツジムに通うような運動は必要ありません。
ただ、外出するだけでも、体にとってはいい運動になります。
だからこそ、家でじっとしているのは、肉体的にも精神的にも、不幸なことです。
テレビを見るだけの人生なんて、「尊厳ある人生」であるはずがない。
全身が凝りかたまった症状でも、すべてを改善する方向では施術しません。
そうではなく、体のどこか一ヶ所でも、状態が良くなることを目指します。
状態のいい部分が出てくれば、勇気が湧いてくるもの。
「私だって、まだまだ大丈夫!」と。
そういった精神的な効果も考慮に入れると、全体をまんべんなくするよりも、ポイントを絞った施術に意味があります。
この女性の場合は、腕を中心に施術を組み立てました。
元々、細かい作業がお好きな方なのですが、最近はすぐ疲れてしまい、それもしなくなっている、と。
好きなことができる体になること。
それは、何よりも優先すべきことだと思います。
思うように腕が動くようになると、自然と表情も明るくなりました。
身体は何かひとつ変わるだけでも、全体に影響が出るものなので。