夏の宵、大きなオレンジ色の満月が
地平線を出発した頃、
車をいつもより少し遠くに止めて、
原っぱの向こうの音楽夜会に、
てくてく歩いて行くのです。
扉の向こうには黒いピアノが一台、
そしてピアニストが一音奏でるや否や、
まるでピアノが生き物のように
手が生え、足が踊り出し、
大きな口がぱっくりと。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20150803/01/marutaichi/75/38/j/t02200147_0800053313384501414.jpg?caw=800)
photoed by You Kusaka
ピアノが本当に奏でたかった音って、
こんな音なのではないか。
そうしてお喋りし、歌い、笑い、浮かれ、
やがてピアノは満足し、
大きな欠伸を一捻り。
今日のところはここらでおしまい。
大好きなライブハウス、
サニーサイドさんが、8月いっぱいで
一旦休業に入られるので、
今回がとりあえずのラストライブでした。
おかげさまで満席の中、
終わりをただの終わりにしないが如くの、
熱い演奏が黒い草原の中を
一条の風のように走って行きました。
さよなら三角、また来て四角。
マスター、ステキな音楽を奏でる場所を
ありがとうございました。
ここの自由さが好きでした。
また、お会いできますように。