連休はいかがお過ごしでしょうか?

 

今は室内でも三日で金魚が見えなくなる。

 

家はまだ金魚は産まないし、皆さん外に出たくて西に東にと忙しいようだったので仕事も暇になり、近場に一日一回外食に出て、一日は都内はすいているべえと思って銀座あたりに出掛けた。

 

ネズミの国を横目に見ながら高速を行くとそこも佃煮に出来るほど人の頭が見える。

都内も人、人でどこに行っても行列で、とにかくどこから沸いて来たのかという人口密度にうんざりし、何も買わずに帰って来た。

 

しかし、この開放的な世間の空気は久しぶりなものだ。

よっしゃー趣味の見合いババアでもするかと二件の見合いを企画し、一件は前回まとめ上げたヤングカップルを弟子にして代理で行かせた。

 

そしてホームセンターのゆとり(下の亀の元飼い主)には、久しぶりに会って見合いの前に私とメシでも

 

食おうよ、玄ちゃん(亀)の思い出話しようよとなり、見合いババア自らがわざわざ現場に赴いてやることにした。

 

ゆとりは独立開業を決心し、広大な土地を購入し、一人親方だがお店を開くことになって今絶賛売り時のオトコである。

 

その金は、真面目に働き、車はお父さんから貰った軽のハイブリット、家は会社家賃支給のワンルーム、猛暑でもクーラーを決してつけず、扇風機の強だけで真夏を乗り切った節約で金を貯めた根性のある大したオトコである。

気は優しくて力持ち(稼ぐ力)が見合いをさせる男の、私のお眼鏡にかなう条件である。

 

「本当は焼肉屋に行きたいんだが、ニオイが付くから我慢してベトナムラーメン食いに行こうな。」

 

ゆとりはベトナムラーメンは食べたことが無いと言っていたが、素直に従うので私のような人格破綻者ともうまくやっていけるのだろう。

 

「これはもうルビコン川を渡るしかない。

月が綺麗ですねと夏目漱石を気取り、文学のプロポーズをしろ。

一応昭和じゃ、男が金出した方がカッコよいからな。

だからメシは私と食べて、女にはコーシー一杯にしておくからな。暑かったらレイコ―でも良いな。クリームソーダ―は子供だと思われるから頼むな。

当日先負だから午後ランデブーにしといたからな。」

 

と言ってゆとりは理解したかわからないがハイとうなずいた。

 

そして女と落ち着いて会話させる、ルノアールとか新宿にあった喫茶室滝沢のようなプライベートの守られるような昔の喫茶店を探し、周りに聞いてみたが、そんなものはもう存在しないとわかり慌てふためいた。

 

「個室なら駅前にカラオケボックスがあるよ、ほらビックカメラの先にさ。」

亭主がカラオケボックスを見合い場所に勧めた。

 

昭和だと写真館に着物を着て、すました顔の見合い写真を撮りに行き、その写真は見合いババアに風呂敷に包んだ虎屋の和菓子とともにお宅に伺い、どうか見合いをさせてくださいとお願いしたものだ。

当日は着物姿で帝国ホテルのラウンジには見合いジジイやババアを携えた若人が佃煮に出来るほど居た。

そう休日の帝国ホテルは見合いのメッカだった。

 

今は、メールでモノの五分で互いの写真を見合いババアを介して送りあい、当日はカラオケボックスで見合いババアのうんちくを若人達に嫌と言うほど聞かせ、最後にババア十八番の、ジュリーの勝手にしやがれを熱唱して突然若人を残して帰ってくることに決めたのである。

 

ゆとりとZ世代の見合いだ。

時代に迎合しなければいけない。

昭和のババアはそう決心した。