ようやく少し気温が安定し、外金魚の水もぬるま湯にならなくなってきた。
暑いときは、人間も金魚もボーっとして食欲はなかった。
今年の暑さが毎年になるようでは、金魚の飼育設備等考え直さないといけない。
少し真面目に働きましょうかと心を入れ替えた。
みのる(リサイクルショップのおっさん)からこれを使えと秘伝のブツ、怪しく光る九谷焼の古い壺を数点渡された。
これを一つ200万で売れば、金魚の近代的な小屋が建ちますよ。
みのるは怪しくニタニタ笑っていた。
食器用洗剤で壺をゴシゴシ洗ったら、少し高い壺のように見えた。
ネットで調べたら、作家物の少しお高い壺だった。
壺に関しての苦情はこちらへとチラシの裏にみのるの携帯番号を書き、壺の脇に掲示した。
消費者センターの電話番号もと思ってやめた。
壺は今流行りの大問題を引き起こすグッズの最たるものであるので、自分に火の粉が降りかかるのだけは避けたい。
そこで漁師のお客さんに直接売りつけようと画策し、本人に電話した。
本人でなく奥さんが電話に出て、今入院していて壺どころじゃないんだよね。
と声が暗かった。
私は、漁師のお客さんの病状を心配するよりも壺を売るチャンスを逃したと地団太を踏んだ。
どうせあいつずっとスナック行っていて、あの病気にでもなったのだろうと悪態をついた。
壺には期待できそうにないので、諦めてがむしゃらに働きだした。
休みには、草彅くんがほとんど出ていない草彅くんのサバカンを観て、大急ぎで昼食を食べ、別の映画館に移動し、さかなクンの半生の映画を観た。
夕飯にはもちろん魚であり、一日魚尽くしな気分だった。
冷やし中華、そば、うどん、そうめんのめぐるめくヘビーローテーションを脱却し、久しぶりに炊飯器のスイッチを入れた。
さかなクンの映画は是非とも観に行きたかったので亭主も誘ったが、
俺はさかなクンの映画行くくらいなら家で待っている。ジョニーデップのなら一緒に行く。
とさかなクンを異常に毛嫌いしているので、一人で行った。
亭主が、僕は一人でお家に待っていると言うときは、本当に嫌いな人に会うときとか嫌いな事が待っている時だ。
そこまでさかなクンが嫌いなのか、可愛い女優さんが役に付いているんだよと言っても無駄だった。
第一映画は幼少期から一人で行くものと決めている。
観るもので揉めるし、観た後にお茶でもとか映画の梯子はやめましょうと同行者に意見されたくないからである。
そして金魚の本日二食目の餌をあげた。
金魚も普通に戻った。
うちのパンデミックも終わった。
パンデミックというものは、ある日突然終わる。
あれ終わったかなという感覚がある。
みのるのところのジイサマも、
メダカ全部煮えちゃったんだよ暑さでさー、全くまいっちゃったよ。
と嘆き悲しんでいた。
テレビで久しぶりにテドロスが出ていて、人間のパンデミックも終わりに近い、ゴールが近いと言っていた。
私の周りでは、人間のパンデミックよりも自分の魚のパンデミックの方が関心が深いし、非常に心配していた。
そういう一週間だった。