萩を出てからすぐに、またもや峠に入りました。とはいえ、峠は今までいくつも越えてきたのですから今更驚きはしません。
しかしここでチェーンから凄い異音が。なんというか、調子の悪くなった軽トラのエンジンあたりからするような、ギュルギュルギュルという音。そして気持ちの悪い抵抗感。すぐにタイヤやチェーン付近のチェックをしますが、異物が挟まっていたり部品が曲がっていたりとかではなさそう。ということは、油が切れたか、出雲付近で浴びた潮が悪さをしているのか。すぐに油を注したいところですが、持ってきていた油は米子で使い終わって捨ててしまっていたのです。あのときは、残り450キロくらいだから大丈夫だろうと思っていたのですが、まさか300キロ程度でこんなことになるとは。しかしここは山の中。とにかく進まないとどうしようもありません。ギュルギュルと変な音をさせながら、萩と長門の間の峠を越えて行きます。時刻は朝の6時台。気温が急上昇してきたので、長門に入った所で一気に服を脱ぎ、バッグを整理して再出発。
このチェーンの問題と服の整理とで、合わせて20分以上は消費してしまいました。さらにくじら資料館付近はアップダウンの連続で速度が上がらず、877.4キロ地点のくじら資料館に着いたのは8時45分。スタートしてから67時間45分でグロスタイムは12.95キロ。
残り122.6キロを7時間15分。要求されるグロスタイムは時速16.91キロ!極めて深刻な状態です!しかしくじら資料館への往復では、私の前にも後ろにもそこそこの数の人がいることがわかりました。みんな諦めずに走っている様子!くじけずに頑張らないと!そう心を引き締めて、走り続けます。
なお、このくじら資料館付近の風景は、今回のブルベで個人的に一番素晴らしい景色の場所でした。こんどは家族でのんびり来たいな、と思いつつ出発。ここから楊貴妃の里への間もまた、なかなかにアップダウンのある道です。しかしここまで来たらリタイアなんてありえません。というか、間に合おうが間に合わなかろうが、もう下関まで行くしかないのです。なのでとにかく走る走る。激坂は歩く歩く。
そんなこんなで913.7キロ地点の楊貴妃の里の着いたのが11時ちょうど。スタートしてから70時間でグロスタイムは13.05キロ。
機体不良と坂の連続の状況にしては頑張ったなあと思います。
残りの距離は82.3キロで残り時間は5時間。要求されるグロスタイムは時速16.46キロ!
正直に申しまして、この瞬間においては完走をほぼ確信しました。
というのも、コースの概要を見ると、この楊貴妃の里の直前にあった峠がほぼ最後のヒルクライムで、ここから先には高さ50メートルを超えるような上りがほぼ無いのです。緩やかな上り下りを基本としたなだらかな道を約80キロというのは、普段であればグロス17キロは確実なはず。
そう思って、最後の踏ん張りを見せるべく発進したのですが……。
