十夜ヶ橋の伝説に関して、以下のような歌があります。
「ゆきなやむ 浮世の人を渡さずば 一夜も十夜の 橋と思ほゆ」
四国別格二十霊場の第八番、十夜ヶ橋永徳寺の御詠歌でもあるのです。
むかし、弘法大師が四国巡錫中にこの地を通り、泊まる宿もなく野宿となり橋の下で一夜を明かして、この歌を詠じて久万高原の菅生山方面へ向かったという。
ただの伝説としてだけで、この御詠歌がなかったならば、ただ大師が宿もなく寂しくて心細くて一晩過ごすのも長く感じただけのようにも解釈できますが、「浮世の人を渡さずば」とあるので、一切衆生をこの世から浄土へと渡そうという決意とその道のりの長さを織り込んだ歌とも解釈できます。
川崎一洋著『四国「弘法大師の霊跡」巡り』(セルバ出版)には、
【この歌を解釈すれば、「俗世の迷いの世界で苦しむ人々を、安楽なさとりの世界へ余さず渡す方法を考えていたら、一夜が十夜のように感じられたよ」。よいう意味になり、大師が一睡もできなかったのは、空腹や寒さのためだけではなかったことが理解されます】
tお書かれています。
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