四国霊場第五十一番札所の石手寺は、四国屈指の有名寺院です。その魅力は国宝が在るとか重要文化財が在るという事にとどまりません。
有名寺院なだけに参詣者が多く、活気に満ちていますが、それだけでなく、なにか、不思議な魅力に溢れています。
四国霊場の中には、田舎の田園風景の中にひっそり建つ静かな「癒しの空間」ともいうべき札所もあり、山奥の深い森林の人を寄せ付けないかのような静寂さの中の札所もあります。そういうところに比べると石手寺は、町の中といえる場所にあって、道後温泉への観光も兼ねて石手寺に訪れるという観光客も多く、門前は大変賑やかな感じですが、境内の建物は昔のものがそのまま(ほとんどそのままといっていい状態で)残されており、無理に現代風に作り替えるということがありません。
洞窟などは、現代人の為に作った、という感じがなきにしもあらず、ですが、それもまた景観をそこねるようなものではありませんから、境内を見た感じとしては昔のものがそのまま残っているという印象を拭い去るようなものではありません。
境内の一部を現代風に建て替えたり、新しい、現代風な仏像を置いたりするのが良くないと言っているわけではありません。それはそれでいいのですが、石手寺の境内の印象としては、伝統的なものを尊重しているのがよく分かるのです。それが魅力なのです(奥ノ院は独特な雰囲気がありますが)。
しかし、けっして保守的なだけにとどまりません。かつてこのブログでも紹介しましたが、他の札所では見られないようなものがあるのです。ただのお寺ではない、という存在感を示しています。
また、ただ昔のものが遺されているとか、伝統を守っているというだけではなく、現代に生きる我々に対して、また、世界に対して、未来に向けて、メッセージを発信しているように感じるところがあります。
石手寺公式HP
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(2014年5月24日の「石川鏡介のブログ」の記事を再編集)
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