四国霊場第六十三番の吉祥寺(きちじょうじ)の境内の、本堂の東側には「成就石」と呼ばれる大きな石があります。
大きく穴が開いている部分があり、金剛杖を下段に構えて本堂前から目を閉じながら穴を目指して進み、杖の先が穴を通ったら願いが叶う、といわれています。
下段に、といっても、杖の先が成就石の穴の高さくらいになるようにして構えるわけです。それで目を閉じながら願い事を念じて、目を閉じたまま進むのです。石がどこにあったか、穴がどのあたりだったか、よく覚えていて強くイメージして進めば出来るでしょうが、集中力が全然ないと失敗するでしょう。
私は過去に訪れた時に挑戦しなかったので、今回こそは挑戦してみようと思い、雨が強めに降り出したり小降りになったりという不安定な天候の中、チャレンジしてみました。
強く思う願い事が二つあります。そのうちの一つを念じながら杖を構えました。
向かって左側の樹が枝を伸ばし、成就石に覆いかぶさるような勢いです。無意識に、その樹の枝にぶつかってはいけないと避けたのでしょうか。杖の先は成就石のすぐ右側にいってしまいました。

樹の枝があると思っていたのがいけない。成就石の穴のことだけを考えるか、もしくは、枝にぶつかってもいいからとにかくまっすぐ進めばいいんだ、と考えた方がよいだろう、と思い、もう一つの願い事を想いながら再チャレンジしました。
願い事が二つとか、二回も挑戦、などということがこの札所の成就石の「しきたり(?)上」いいことなのかどうか、よく分かりませんが、とにかく、仕切り直し(別の願い事で)してみました。
すると今度はうまくいきました。
こういう名物があるのも四国霊場の面白いところです。
(2013年5月25日の「石川鏡介のブログ」の記事を再編集)

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