四国八十八か所の第四番札所は大日寺といいます。
所在地は徳島県板野郡板野町黒谷五番地で、一番札所・二番札所・三番札所よりもさらに山に近い、奥まった静かな場所にあります。
三番札所の金泉寺から北西の方角にあり、山沿いの、坂が多くカーブも続く道を行くと約六キロあります。大日寺の南、約千五百メートルの場所に五番札所の地蔵寺があり、三番札所の近くにある板野駅付近から五番札所の地蔵寺付近は比較的ひらけていて、真っ直ぐな道もあるので、三番札所から直接五番札所の方へ向かい、五番経由で北へ向かって四番札所の大日寺へ向かった方が少し距離が短くなり、坂道も少なく疲れない(比較的)ようです。
私が初めて四番札所の大日寺(なぜ「四番札所の大日寺」とくどくど書くかというと十三番札所も大日寺というから)を訪れたのは一九九九年の八月のことで、朝八時すぎでも既に猛烈な暑さで坂道を登ったり下りたりしてかなり疲労した記憶があるのです。この前、五月に訪れた時には、前日に二つの山を上り下りして、さらに当日の朝には約十キロほど歩いていた(十八番札所の母養山恩山寺や十九番札所の橋池山立江寺へ行った)ので、むかしの三番から四番までの道のりの大変さを思い出し、板野駅前からタクシーに乗ったのでした。
大日寺の三門は赤い柱の楼門で、非常に特徴的です。いろいろとお寺をまわっても四番の大日寺のような楼門はそう多くはないので、遍路にとっても、諸国の札所を巡っている者にとっても、かなり印象にのこる門です。
その門の前には大きな駐車場があります。近くには沢が流れていて、綺麗な水と爽やかな風が吹きわたっていました。
楼門をくぐって真っ直ぐ進むと、正面に本堂があり、向かって右手に大師堂、向かって左手に納経所があります。
四番札所の大日寺は、山号を黒巌山といい、宗派は東寺真言宗。本尊は、お寺の名称から解るように、大日如来です。
むかし、弘法大師がこの地に留まり、大日如来を感得し、その像を刻み本尊として、大日寺と名付けた、というのが四番札所大日寺開創にまつわる伝説です。
本堂も大師堂も古い木造建築で、山に囲まれた静かな札所に相応しいものです。
本堂と大師堂は回廊形式で直接つながっており、大師堂の建物の南端には賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)の像があります。
賓頭盧(びんずる)とは十六羅漢の第一で、古代インドのバラモン出身の仏弟子。「神通力に優れていたが、それ以上に説法に優れていたので獅子吼(ししく)第一と呼ばれた。彼には種々の伝説があり、その伝説をもとに中国や日本では食堂(じきどう)に彼の像が安置された。寺の本堂の外脇に彼の像を安置してあるのを見かけるが、病人が患っている箇所と同じ部分を撫でると治るという信仰が生まれた」と『岩波 仏教辞典』に書いてあります。
私の知り合いの方のお母さんが心疾患で入院したと聞いたので、私自身のことではありませんがその人の代わりに賓頭盧尊者像の胸の部分を撫でておきました。
(2012年6月 4日の「石川鏡介のブログ」の記事を再編集)
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