日本では終身雇用制度が続き、一昔前だったら「多くの人が知っている企業であれば大丈夫」、「あの会社なら安心」など、会社の規模や知名度でなぜか安心感を持っていた人が多い。
#我が家は典型的なこのタイプ(笑)
いい大学に入って、いい企業に勤めることが目標として一生懸命勉強する。
この考えの本質は「入ることが目的」となり、入った後のことを考えていない。
それでも日本がここまで成長できていたのは、経済全体が急激に伸び、さらに労働基準やコンプラを無視して必死に働き続けてきた人達がいるからだと思う。
ただ、今は労働基準法で36協定や、コンプラ、何かあればすぐに〇〇ハラスメントといった「弱者を守る」ということを重視する社会になり、昔でいう剛腕やぶっ飛んだ人など勢いのあった人が抑制され、個性のない平均的で効率的な人材を社会として推奨している流れになってきている。
#時代の流れは良し悪しだな
経済が衰退し、勢いもなくなるとますます貧富の差が大きくなる。
結果強い企業とそれ以外という垣根が大きく分かれ同時に大企業だから安心という都市伝説は崩壊。
一時売上世界一までいったアパレルの超名門レナウンが呆気なく倒産したのはまさに今の時代の象徴かもね。
時代が変わってっも強い企業は強い。
そんな強い企業の特徴を改めてまとめてみる。
目次 [非表示]
■企業生存率
⚫︎身近ではなかった倒産、リストラ
経済の衰退と勢いを失った社会では当然企業は安泰ということはありえない。
終身雇用が当たり前だった社会ではあまり注目されていなかった企業生存率。
この数値の違和感。
そもそも30年も続く企業が0.02%しかないなら終身雇用ってできなくない?と思うけど、終身雇用はこれまでできていた。
それは、日本のマーケットの特殊性が関係している。
日本はお金を稼ぐということが「汚いこと」と教育されているから、大金持ちにならないように年功序列で皆んな平均に並べるような雇用を良しとされていて、莫大な利益を一気に稼ぐよりコツコツ積み重ねるといった経営スタイルを貫いていたから大儲けは少ないけど潰れることも少ない状況だった。
さらに人材が流出しにくい環境を作ることで、企業は安定していた。
でも今は、「今の会社で定年までむかえられるか?」と問われた時、即答で「大丈夫!」とは言いづらい環境。
それは企業が生存できているか?の不安があるからだと思う。
■強い企業の特徴
時代は変わっても長く続く会社もあれば、潰れる会社もある。
自分はできれば長く続く会社で働きたいと思うのであれば最低限このことは知っていた方がいいビジョナリーカンパニーについて。
⚫︎ビジョナリーカンパニーとは?
マッキンゼー出身のジェームズ・C・コリンズと、GE出身のスタンフォード大学教授ジェリー・I・ポラスによって書かれた『ビジョナリー・カンパニー』。
1994年に出版され、五年連続全米でベストセラーとなり、当時100万人以上のアメリカのビジネスマンを夢中にさせた本と言われ、今でも読み続けられている。
3M、アメリカン・エキスプレス、ボーイング、GE、IBM、ジョンソン・エンド・ジョンソン、マリオット、メルク、P&G、ソニー、ウォルト・ディズニーなど、「最高のなかの最高」の優良企業が、なぜ時代の変遷を乗り越えて、ライバル企業よりも優れた業績を上げてきたのか?の調査から始まる書籍であり、その分析も凄く面白い。
ビジョナリーカンパニーとは、明確な経営理念を持っていて柔軟に変化をし続けている企業を指す。
そして、ビジョナリーカンパニーは目先の利益を追求するのではなく、長期的な成功を目標に掲げる傾向があり、「優良企業」と称される組織の多くがビジョナリーカンパニーであるといる。
あるいは、ビジョナリーの語源である「visionary(先見的)」という言葉を大切にしている企業を意味する。
もう少し簡単に説明すると、
時代の波にもまれながら発展していく企業には明確なビジョンやシステムが確立されているという点が重要。
⚫︎ビジョナリーカンパニーの定義
ビジョナリーカンパニーの具体的な定義は、
・業界で卓越した企業である
・見識ある経営者や企業幹部の間で広く尊敬されている
・わたしたちが暮らす社会に、消えることのない足跡を残している。
・最高経営責任者(CEO)が世代交代している
・当初の主力商品(またはサービス)のライフ・サイクルを超えて反映している。
・1950年以前に設立されている(設立後50年以上経過している)
トヨタやSONYを想像するとわかりすい。
大企業だけどビジョナリーカンパニーか謎なのが日産、パナソニックやシャープなど。
大企業で安定なのに、不安定な経営になってしまうのは明確なビジョンやシステムが確立ができていないってこと。
ビジョナリーカンパニーと言われる優良企業は、ビジョンやシステムが確立されていると言われている。
⚫︎ビジョナリーカンパニーの衝撃的な主張
自分が想像する優良企業の定義ごと壊すような主張がビジョナリーカンパニーに書かれている。
衝撃的な主張の一部抜粋。
①ビジョナリー・カンパニーは、優れたアイデアやビジネスモデルからスタートしているかどうかとは無関係。
→優れたアイディアやビジネスモデルは一時的な結果しか生まないということみたい。
②卓越した英雄のような経営者は不要であり、むしろビジョナリーカンパニーでない企業に多い。必要なのは、基本理念を長期に渡って体現する組織を創ろうと注力した初期の経営者。
→カリスマ経営者を否定していて、基本理念を長期にわたりブレない組織を作った経営者が本当の優秀な人。
③「株主価値の最大化」「利益の追求」は手段に過ぎず、そんなものを基本理念に掲げているビジョナリーカンパニーは存在しない。
→目先の数字や手段を理念に掲げているところは長く続かないってこと。
④全てのビジョナリー・カンパニーが共通して「基本理念」に織り込んでいる項目など存在せず、各社は「自分たちにとって何が重要か」にフォーカスしている。
⑤ それぞれのビジョナリーカンパニーは、万人にとってハッピーな会社では決してない。それぞれ、基本理念に合致する人には素晴らしい環境である一方、合わない人は病原菌のように追い出されるほど辛い。
→万人に合う企業ではなく、基本理念に合わない人にとっては厳しい会社が多い。
⑥ 歴代が生え抜きの経営者で占められており、社外の経営者招聘による変革に頼らない。
→企業を長く期間強くするのは内部昇格で、現在多いプロ経営者に対しては否定的。
⑦ 競合に勝つことなど求めておらず、自分たちが昨日より今日、今日より明日に基本理念に忠実になることを求めている。
→競合の同行に振り合わされるのではなく、基本理念に従って毎日一歩一歩進むことが大切。
⑧ 綿密で複雑な戦略で取り組むのではなく、大量のものを試し、その中の淘汰により進化する(好奇心を刺激して)
→戦略を立てることに時間をかけるのではなく、素早く動いてダメなものはやめて、良いモノだけを伸ばす。
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⑨ 二つの相反するものを常に求める。「短期利益と長期利益」「会社の基本理念と、個人の多様性の発揮」など。
→相反関係にあることを常に求め続けられる企業が強いってこと。
■基本理念の維持
数十年以上成長し続けている「ビジョナリー・カンパニー」の成長の源泉は、「基本理念を維持し続ける」ための組織づくりに、あらゆる努力を払っていることと言われている。
ビジョナリーカンパニーと言われるウォルトディズニーや3Mの理念は、
ウォルトディズニーは
皮肉な考え方は許されない。
一貫性と細部にあくまでこだわる。
創造力・夢・想像力を生かして絶えず進歩する。
ディズニーの「魔法」のイメージを徹底的に管理し、守る。「何百万という人々を幸せにし」、「健全なアメリカの価値観」を讃え、はぐくみ、広める。
この基本理念を体現しているのがオリエンタルランド。
3Mは
「革新ー新商品のアイデアを殺すなかれ」。
誠実に徹する。個人の自主性と成長を尊重する。
誠実に努力した結果の過ちに寛容になる。
個人の自主性や挑戦が企業を強くする文化は創業から受け継がれている。
⚫︎常識を見つめ直す
社会人になると何となく業界や業種の常識に囚われてしまうことが多くなる。
その常識が成長を遅らせ、判断を鈍らせてしまう。
苦しい時期が続くと、爆発力があるカリスマなど個の力に頼ってしまう習慣がある。
でも企業は個ではなく組織。
個の力や、革新的な技術などを頼ってしまう習慣を持っている限り苦しい時期は抜け出せない。
長きにわたり好業績を伸ばせる企業は常に相反する理想像を追い求める。
短期的利益と長期的利益。
組織としての企業文化と個人の多様性。
この相反する2つのバランスが絶妙に保てる会社が強い会社ってこと。
今、このバランスが崩れかかっている。
バランスが崩れた結果が、倒産でありリストラという手段しかなくなった結果。
個人も組織も相反することをバランスよく保つためには「何がしたいか?」という理念は凄く重要だなと考えさせられる。
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