多くの場合、2つのコトを得ることが難しい。

何かを得るためには何かを諦める。

トレードオフと言われるように、2つのベストを得ることは非常に難しいため、人は何かを得るために決断をする。


例えば、

家探しは、駅近になれば物件の価値が上がり家賃も高くなる。

一方、駅が遠ければ物件に価値が下がる代わりに家賃は低くなる。

SDGsな商品を使えば自然に優しい代わりに価格は高くなる。

一方、人権、環境に配慮しない商品であれば価格は安くなる。


このように、何かを得ようとすると何かを失う(諦める)といった関係がトレードオフの関係。


この相反な関係の2つのバランスを取ることが決断すること。

トレードオフの関係をバランスよくとっている身近な成功例を解説。


■丸亀製麺の快進撃
●みんなが知っている丸亀製麺
コロナ禍で大打撃を受けた飲食業界の中で、いち早く復活しているのが丸亀製麺を運営している鳥ドール。


会社としては順調に成長していた中、2021年度に売上、利益共に大失速。
ただ、直近の業績は好調。
その謎が、トリドールが掲げる「二律両立」の考え方!



●二律相反ではなく二律両立
二律背反というは、相反する2つの主張が同時に成り立つか、あるいはどちらも成立せず、決着がつかない状態のこと。

ビジネスで使われる事例としては、
今日の大量消費社会においては、地球環境保護という一見二律背反の課題に立ち向かう必要がり、大量に商品を生産し、大量にそれを消費するという社会ではその分ゴミや不用品なども膨大な量になる。
商品の値段を安くするためには大量に生産しなければいけないのに、大量に作れば消費されなければ大量のゴミとなる。


その他でも、何かを得るためには何かの矛盾点が出てくる関係が多い。



ただ、業績好調のトリドールが掲げるのが「二律両立」

2つの矛盾しているコトを実現させる。

そのためには何をしなければいけないかを考え実現させる。

その結果が顧客価値となり、業績という結果につながっている。




■トリドールが実践する二律両立

●丸亀製麺の例

トリドールは、決算説明でも明確に二律両立を打ち出している。



通常は、手間を掛ければ、人の手間もかかり効率は悪くなる。

手作りにこだわれば人件費が高くなり、商品価格は高くなるし効率は悪くなっていくから、高級レストランや、伝統工芸品は高くなるし、数量が限られてしまう、


そこでしか体験できない空間を作るには、限られた場所が必要となってくる。

アウトドアを体験しようと思えば、奥地に移動しなければいけない。

アウトレットも同じでお得に商品を買える体験をするには少しはなれば場所までいく必要がある。


通常は相反するコトを両立させるという考え方がトリドールが掲げる「二律両立」。


●二律両立のメリット

これまで両立させることができなかったことが両立できれば、お客さんにとってはメリットになる。

安くて鮮度の良い美味しいものが食べられる。

それだけでなく、職人の仕事姿が美味しさをアップさせる体験になる。

これが丸亀製麺の強さの秘訣。


企業側にとって二律両立は難しい課題だけど、お客さんにとっては二律両立されたサービスは顧客満足度に変わる。



■具体的な方法

●ヒットの法則

丸亀製麺は二律両立をキーワードに少しでもお客さんに楽しんでもらう空間に近年店舗リニューアルを加速させている。


【手間暇かけたこだわり】

全店舗で手作りで鮮度にこだわる!

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【スピーディー・効率化】

セルフで揚げ物を提供。

イートイン客とお持ち帰り客の入口を分ける


【そこでしか体験できない】

うどん作りの仕込みから麺をゆがく工程、調理する作業が見れる

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【どこでも体験できる】

これまでは駐車スペースがあるロードサイズ中心だったが、都心の駅近やショッピングセンター内に出店。

この丸亀製麺の戦略は日本だけでなく、海外でも同じ仕組みで成功している。


物価の違いがあるにしても、ハワイのワイキキ店が全世界で一番の売上額を出している。


さらにロンドンでも日本と同じく行列が絶えない店舗に成長。


海外でウケているのも、手間暇かかっているのに安くて美味しい。

店内調理がライブ感の体験が美味しさをアップさせる。




●トリドール運営の店舗の注目

トリドールは丸亀製麺が屋台骨のビジネスだけど、その他にも色々な名前で飲食事業のブランドを運営している。



その全てが二律両立をコンセプトに掲げ運営。

自分の家の近くにトリドールが運営しているブランドの店舗があれば、二律両立の観点を見ながら、こんな工夫をしているから顧客価値を創造しているのだと考えると、これからの生き残り戦略で必要なバランス感覚を体験できると思う。